見出し画像

第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識

医薬品とアレルギー


▢ 1.医薬品の本質
医薬品は本来、人体にとっては異物であるため、好ましくない反応を生じる場合もあります。
有益な効果は薬効、好ましくない反応は副作用です
 
▢ 2.情報の伝達
医薬品は、必要な情報が適切に伝達されることを通じて、購入者が適切に使用することにより、その役割を十分に発揮します。
必要な情報は:効能効果、用法用量、副作用などです。
 
▢ 3.市販後の見直し
医薬品は、市販後にも、医学・薬学等の新たな知見、使用成績等に基づいて、その有効性、安全性等の確認が行われます。
有効性、安全性等の確認の結果により、リスク区分、承認基準の見直しを行います。必要に応じて添付文書、製品表示の記載に反映されます。
 
▢ 4.医薬品の水準
医薬品は、人の生命や健康に密接に関連するものです。よって高い水準で均一な品質が保証されていなければなりません。
薬事法の規定では、健康被害の発生の可能性の有無にかかわらず、異物などの混入、変質などがあってはならないと定めています。販売業者は、製造販売業者からの情報に注意します。
 

医薬品の副作用

 ▢ 5.副作用の分類
医薬品の副作用は、薬理作用によるものと、アレルギー(過敏反応)によるものに大別することができます。
薬理作用は、薬物が生体の生理機能に影響を与えることを言います。
 
▢ 6.副作用
医薬品は、十分に注意して適正に使用された場合でも、副作用を生じることがあります。
医薬品の作用、副作用はすべて解明されているわけではない、十分注意して適正に使用された場合でも副作用を生じることがあります。よって副作用を初期段階で認識し、適切な対応をする必要があります
 
▢ 7.副作用の扱い
主作用以外の反応であっても、特段の不都合を生じないものであれば、通常、副作用として扱われることはありません。
副作用は、有害事象であり人体に好ましくないものをいいます。副作用の程度は、軽微なものから重大なものまであります。
 
▢ 8.副作用の回避
一般用医薬品は、通常は、その使用を中断することによる不利益よりも、重大な副作用を回避することが優先されます。
一般用医薬品は、医療用医薬品に比べ軽微な疾患の症状改善に利用されます。よって使用中断による不利益は少ないので、重大な副作用を回避されることが優先されます。
 

医薬品とアレルギー

 ▢ 9.免疫機能とアレルギー
細菌やウイルスなどが人体に入ったとき、免疫機構が過敏に反応して、好ましくない症状が引き起こされることがあります。
アレルギーとは、免疫機構が過敏に反応して、身体の各部位に好ましくない症状が引き起こされることをいいます。
 
▢ 10.医薬品とアレルギー
医薬品によってもアレルギーが引き起こされることがあります。内服薬だけでなく外用薬などでも引き起こされます
医薬品によるアレルギーは、医薬品の薬理作用とは関係なく起こり得ます。内服薬だけでなく、塗り薬や貼付薬等の外用薬によって、湿疹やかぶれ等の皮膚症状等が引き起こされることがあります。
 
▢ 11.アレルギー歴
医薬品を使用してアレルギーを起こしたことがある人は、その原因となった医薬品の使用を避ける必要があります。
アレルギーを起こすものとして、過去に原因となった医薬品の使用、医薬品には鶏卵や牛乳等を原材料とするものがあり、使用を避けなければならない場合もあります。
 
▢ 12.抵抗力の低下とアレルギー
医薬品でアレルギーを起こしたことがない人でも、病気等に対する抵抗力が低下している場合にアレルギーを生じることがあります。
過去に医薬品によるアレルギーを起こしたことがない人でも、病気等に対する抵抗力が低下している場合には、医薬品がアレルゲンになりやすくなり、思わぬアレルギーを生じることがあります。
 

医薬品の不適切な使用と有害事象


▢ 13.適正な選択と使用
医薬品は、保健衛生上のリスクを伴うものであり、適切な医薬品が選択され、適正な使用がなされなければ、有害事象を招く危険性があります。
医薬品のリスクを避けるためには、疾病の種類や症状等をしっかり判断する必要があります。
 
▢ 14.医薬品の選択
一般用医薬品を使用しても症状が改善しない場合は、適切な医薬品が選択されていない可能性があります。
一般用医薬品を一定期間または一定量使用しても症状が改善しない場合は、適切な医薬品が選択されていない可能性があります。漫然と使用を続けると、有害事象を招く危険性があります。
 
▢ 15.乱用による薬物依存
適正に使用される限りは安全で有効な医薬品であっても、乱用された場合には薬物依存を生じることがあります。
適正に使用される限りは安全で有効な医薬品であっても、乱用により薬物依存を生じることがあり、いったん薬物依存が形成されると脱却は容易ではありません。必要以上の大量購入や頻回購入を試みる者には注意が必要です。
 
▢ 16.青少年と薬物乱用
青少年は、薬物乱用の危険性に関する認識や理解が必ずしも十分でなく、身近に入手できる薬物を興味本位で乱用することがあります。
一般用医薬品にも習慣性・依存性のある成分を含むものがあります。青少年は薬物乱用の危険性についての認識や理解が必ずしも十分でなく、興味本位で乱用することに注意が必要です。
 

他の医薬品や食品との相互作用


▢ 17.相互作用とは
医薬品を併用したり、特定の食品と一緒に摂取した場合に、医薬品の作用が増強したり減弱したりすることを相互作用といいます。
相互作用により、作用が弱くなり効果が得られない、作用が強く出て副作用が発生することがあります。
 
▢ 18.成分・作用の重複
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等では、成分や作用が重複することが多い。
かぜ薬、解熱鎮痛薬、鎮静薬、鎮咳去痰薬、アレルギー用薬等は成分が重複することが多いので相互作用による副作用の発生が心配されるので、併用には注意が必要です。
 
▢ 19.アルコールの影響
酒類(アルコール)は、医薬品の吸収や代謝に影響を与えることがあります。
酒類(アルコール)は主に肝臓で代謝されるため、酒類をよく摂取する者は肝臓の代謝機能が高まっていることが多く、体内から医薬品が早く消失して十分な薬効が得られなくなることがあります。
 
▢ 20.カフェインの過剰摂取
カフェインを含む医薬品とコーヒーを一緒に摂取すると、カフェインの過剰摂取となります。
カフェインやビタミンAなどのように、食品中に医薬品の成分と同じ物質が存在することがあります。それらを含む医薬品と食品を併用すると成分の過剰摂取となることがあるので注意が必要です。
 

ここから先は

6,665字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?