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第5章 医薬品の適正使用、安全対策

添付文書

▢ 1.添付文書の改訂
添付文書の内容は、医薬品の有効性・安全性に係る新たな知見や情報に基づき、必要に応じて随時改訂がなされています。
添付文書において重要な内容が変更された場合には、改訂年月を記載するとともに、以前から使用している人が変更箇所に注意を払うことができるよう、改訂された箇所を明示することとされています。
 
▢ 2.添付文書の保存
添付文書には「使用にあたって、この説明文書を必ず読むこと。また、必要なときに読めるよう大切に保存すること」等の文言が記載されています。
医薬品は、実際に使用する人やそのときの状況によって留意する事項が異なるため、添付文書は、実際に使用する人が必要なときにいつでも取り出して読むことができるように保存される必要があります。
 
▢ 3.使用上の注意の記載
添付文書における「使用上の注意」は、「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」から構成されています。
「してはいけないこと」「相談すること」「その他の注意」の文字は、枠囲いまたは文字をゴシック体にするなど他の記載事項と比べて目立つようになっており、医薬品を適正に使用するために重要と考えられる項目が前段に記載されています。
 
▢ 4.標識的マーク
「使用上の注意」「してはいけないこと」「相談すること」の各項目の見出しには、それぞれ標識的マークが付されています。
 
 ▢ 5.「してはいけないこと」の記載事項
「してはいけないこと」には、守らないと症状が悪化したり、副作用や事故等が起こりやすくなる事項について記載されています。
添付文書の「してはいけないこと」の記載事項には、①次の人は使用(服用)しないこと、②次の部位には使用しないこと、③次の医薬品を併用しないこと等の項目があり、それぞれについて具体的な記載がされています。
 
▢ 6.「してはいけないこと」の記載事項
「してはいけないこと」には、副作用または副作用により誘発される事故を防止するため、避けるべき事項が記載されています。
副作用または副作用により誘発される事故を防止するため、添付文書の「してはいけないこと」には、①服用後は乗物や機械類の運転操作をしないこと、②授乳中の人は服用しないか授乳を避けること、③服用時は飲酒しないこと、④長期連用しないこと等が記載されています。
 
▢ 7.使用する前に「相談すること」
「相談すること」には、その医薬品を使用する前に、適否について専門家に相談することが望ましい場合について記載されています。
添付文書の「相談すること」には、①医師の治療を受けている人、②妊娠または妊娠していると思われる人、③授乳中の人、④高齢者、⑤アレルギー歴のある人について、その医薬品の使用の適否について専門家に相談した上で、慎重な判断がなされることが望ましい旨が記載されています。
 
▢ 8.使用したあとに「相談すること」
「相談すること」には、医薬品の使用後に、副作用と考えられる症状を生じた場合や改善がみられない場合の対応等が記載されています。
添付文書の「相談すること」には、その医薬品を使用したあとに、副作用と考えられる症状を生じた場合や、―定期間使用しても症状の改善がみられない場合には、いったん使用を中止した上で適切な対応が円滑に図られるように、具体的な対応等が記載されています。
 
▢ 9.医薬品の保管
医薬品は、品質を適切に保持するために、「直射日光の当たらない湿気の少ない涼しい場所に(密栓して)保管すること」とされています。
医薬品は、適切な保管がなされないと化学変化や雑菌の繁殖等を生じることがあり、特にシロップ剤などは変質しやすいため、開封後は冷蔵庫内に保管されることが望ましい。その際は、食品と区別して保管されることが重要です。
 
▢ 10.小児への配慮
乳幼児は好奇心が強く、届くものに手を出して口に入れることがあるので、医薬品は小児の手の届かないところに保管します。
小児の誤飲事故は、家庭内において、小児が簡単に手に取れる場所や目につく場所に医薬品が置かれていた場合に起こることが多いため、注意を喚起するために「小児の手の届かないところに保管すること」と記載されています。
 
▢ 11.他の容器への入れ替え
医薬品を他の容器に入れ替えると誤用や品質の劣化を招くおそれがあるので、「他の容器に入れ替えないこと」とされています。
携行するために医薬品を他の容器に入れ替えた場合、日時が経過すると中身がどんな医薬品だったかが不明になり誤用を招くことがある。また、容器が湿ったり汚れていると、適切な品質が保持できなくなるおそれがあります。
 
▢ 12.眼科用薬
眼科用薬は、細菌汚染があった場合に別の使用者に感染するおそれがあるため「他の人と共用しないこと」とされています。
眼科用薬(点眼薬)は、複数の人が使い回しすると、薬液に細菌汚染があった場合に別の使用者に感染するおそれがあるため、「他の人と共用しないこと」とされています。
 

製品表示

▢ 13.外箱等への記載
医薬品によっては、「用法・用量その他使用及び取扱い上必要な注意」等の記載を、外箱等に行っている場合があります。
添付文書がある場合でも、通常は外箱等に封入されているため、購入後に製品を開封して添付文書を見て初めて、自分にとつて適当な製品でなかったことがわかるといったことを防ぐため、添付文書のうち、効能・効果、用法・用量等については、外箱にも記載されています。
 
▢ 14.アルコール含有の記載
1回服用中のアルコール含有量が0.l ml未満の内服液剤については、アルコールを含有する旨及び分量を記載しなくてもよい。
1回服用中に0.1mlを超えるアルコールを含有する内服液剤(滋養強壮を目的とするもの)については、たとえば「アルコール含有○○ ml以下」のようにアルコールを含有す
る旨及びその分量が記載されています。
 
▢ 15.使用期限の表示
使用期限の表示は、製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品については、法的な義務はない。
適切な保存状態の下で製造後3年を超えて性状及び品質が安定であることが確認されている医薬品については、使用期限の表示について法的な義務はないが、流通管理等の便宜上、外箱に記載されるのが通常となっています。
 
▢ 16.使用期限
表示された使用期限は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限です。
医薬品の使用期限は、未開封状態で保管された場合に品質が保持される期限であり、開封されたものについては記載されている期日まで品質が保証されない場合があります。
 

安全性情報

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