キャリアウーマン

東京へ出稼ぎ。昼だから電車も空いてるかなと思ったらわりと混んでいる。いつも都心のビル街にでて謎に思うのは「なんで相手がよけてくれるぎりぎりぶつかるところまでまっすぐ進もうとするんだ」だ。
しかもふつうに考えてもしも肩があたっちゃったら咄嗟に衝撃をやわらげようと反射的に肩が後ろに引けると思う。「押されれば引く」のは1歳でもできるあたりまえの本能なはず。しかし今日の怒り肩スーツ男もそうではなかった。

地下鉄の細い階段のど真ん中をズンズンまっすぐ降りてきて、人が上ってきたら少しは端に寄るかと思いきや1ミリも寄らないためいやでも肩があたる。そして肩があたると、引くどころか肩で押し返してくるのだ。
どう考えてもそのほうが難しいし、そこにエネルギーを使う意味がわからないし、「僕はセックスが下手くそです」と声を大にして言ってるようなもので、ショックというより「そこまで下手をアピールしなくても…」と恥ずかしくなる。

今日の用事はニューヨーク帰りのキャリア中のキャリアあるキャリアウーマンの女性とのはじめての仕事。「このハゲ〜!」と怒鳴られたらどうしよう…と若干の不安をもちつつ、湿気が多くふだんにも増してスパイラル天然パーマ大爆発で現場に向かう。
すると登場したのは50後半くらいのおっとり物腰は柔らかいが「無駄な会議はいらない。無駄な資料もいらない。仕事しましょう仕事を。適材適所で。」という感じの1言えば100伝わり即行動におこす真のキャリアウーマンであった。男だらけの世界でどれだけ肩をぶつけられて今の境地に至ったのだろうと思うと頭が下がる。