大人のための文章教室 第28回

ライター・編集者
松本 正行

ついついやってしまう述語の共有

(例文)イベントの詳細については掲示物か、係の者にお尋ねください。

 本稿で何度も書いていますが、プロのライターでも「うっかりミス」はあります。例文のような間違いは、その典型で、だからこそ読み直す際の“重点チェックポイント”なのです。
例文では「掲示物」と「係の者」が「お尋ねください」という述語を共有しています。係の人に尋ねたら詳しく教えてくれるでしょうが、掲示物に質問しても返事はないでしょう。

(修正)イベントの詳細については掲示物をご確認いただくか、係の者にお尋ねください。

 「掲示物」に対応する述語(ご確認いただくを補うことで、文章が正確になりました。「趣味はゴルフとお酒を飲むこと」といった表現も話し言葉では許されるでしょうが、文に書く場合は「私の趣味はゴルフをすることとお酒を飲むこと」にしたほうがいいでしょう。
 なお、「ギターも弾くし、ヴァイオリンも弾きます」のような文は述語をまとめたほうが読みやすくなります(「ギターも、ヴァイオリンも弾きます」)。共通の動詞を用いることができないときは「正確に」、できるときは「すっきりさせる」を心掛けてください。

筆者紹介:上町台地上にある高津高校出身。新聞社・出版社勤務を経て、現在、WEBや雑誌等で活躍中。NPO法人「まち・すまいづくり」会員。

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