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さいとう・たかをが分業制のプロダクションを設立した理由

劇画の第一人者で、「ゴルゴ13」の作者であるさいとう・たかをさん。

プロダクションを設立し、

漫画家で分業制をはじめた第一人者でもあります。

設立は昭和35年。

当時はまだ、漫画は漫画家がひとりで描くもの

という常識がありました。

さいとう・たかをさんの劇画工房の仲間である、

辰巳ヨシヒロさんや松本正彦さん、佐藤まさあきさんもそうでした。

なぜ、プロダクションを設立して分業制にしたのか。


映画を参考にしたといいます。

映画は一人で作るものでなく、それぞれの専門家が集まって作ります。

著書「俺の後ろに立つな さいとう・たかを劇画一代」を引用します。

「漫画仲間の中には、絵はうまいのだが、ストーリーが今一つ

という者もいれば、絵はからっきしだけど、脚本、構成が

ずば抜けた者もいた。

もし、彼らが共同作業をしていれば、彼らの多くが才能を

開花できただろうし、人材確保、そして人材育成も容易に

なったはずだ。

もちろん、企画者、作家、画家、構成者、監修者とも

自分の仕事に集中でき、

よりすばらしい作品を生み出す可能性は高くなる」

いまこの文章を読むと、当然のことを書いていると

思うかもしれません。

ただ、当時は相当な批判をうけ、

仲間になってくれるひともなかなか集まらなかったといいます。

異端児扱いでした。

しかも、プロダクションの設立にあたって

「企画者、作家、画家、構成者、監修者」

だけを集めたのではありません。

営業と総務の担当として、大阪にいた実兄を呼び寄せたのです。

実兄の発司さんは、大学をでて会社勤めをしていたにも

かかわらずです。

漫画家は漫画だけ描けばいい、、、

クリエイターは普通、こう考えます。

営業のことまで考える。

まさにプロデューサーです。

現在は、構成と演出をさいとうプロ内で担当し、

脚本は外部に任せています。

脚本家を内部におくと、さいとう・たかをさんが描きやすい

内容のものばかり持ってくるようになるからです。

外部から脚本を募るからこそ、「ゴルゴ13」のような

国際謀略の奥の奥をえぐるような漫画を描けるのでしょう。

「ゴルゴ13」の一話は、8名のスタッフで仕上げています。

さいとう・たかをさんは昭和11年生まれ。

80歳を超え、藤子不二雄Aさんやちばてつやさんと並ぶ

漫画界の大御所であり、長老です。

「ゴルゴ13」の200巻到達、楽しみにしています!




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