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自転車ロードレース中継 観戦用語集【更新中】

自転車ロードレースのテレビ中継でよく出てくる言葉を集めています。
(更新日:2022/09/05)

[限] テレビ中継など一部の界隈でのみ通用する言葉
[栗] 解説者の栗村修氏に関係する言葉
→ 参照せよ(noteの使用上、リンクは各行の最上段の項目に移動します)


あいうえお

アウタートップ ギアを最も重い設定にしている状態。前をアウター(外側の歯数の多いギア)、後ろをトップ(外側の歯数の少ないギア)に入れ、ギア比を大きくしている。踏むには多大な力が必要だが、高速巡航できる。→ギア比

赤ゼッケン 背中に付けるゼッケンは通常は白地だが、前日のステージで敢闘賞を受賞した選手に赤地のものを与えるレースがある。レースによって異なり、敢闘賞のほか、チーム総合トップのチームに色付きのゼッケンを与える場合もある。

アクチュアルスタート レースがスタートすること。いきなりレースを開始するのではなく、パレード走行区間を経て、走りながらスタートする。パレード区間で何らかのトラブルがあった場合、アクチュアルスタート地点が流動的に変動する。実スタートとも。

アルカンシェル、マイヨ・アルカンシェル、マイヨ・アルカンシエル【maillot arc-en-ciel】 世界選手権で優勝した選手に贈られる特別ジャージーで、原則として1年間は公式戦で着用しなければならない。ジャージーには5大陸を示す5色(青、赤、黒、黄、緑)のラインが入る。アルカンシェルは虹のこと。翌年の世界選手権で再獲得できなかった場合でも、チームジャージーの袖口に5色のラインを入れて、過去に優勝した選手であることを示す。

アルカンシェルの呪い 世界選手権の優勝者が不調に陥ること。目立つ虹色のジャージーを着るためにライバルチームからマークされやすいとか、不調でなくとも世界選手権覇者だけに一つの負けを大きく扱われやすいなど、「呪い」と言われる要因は多様。

アルデンヌ・クラシック【Ardennes Classics】 オランダ南部からベルギー東部にかけてのアルデンヌ地方で開かれる著名なワンデーレースの総称。一般にアムステルゴールドレース、フレッシュ・ワロンヌ、リエージュ~バストーニュ~リエージュを指す。開催時期は4月中旬から下旬にかけて。丘陵地形の中を走り、パンチャーや総合系の選手に有利とされる。

1円貯金 [限]山岳ポイントをコツコツと取っていくこと。100円貯金とも。

移動ステージ 山岳ステージと山岳ステージに挟まれた平坦ステージのこと。ツール・ド・フランスではアルプス山脈とピレネー山脈で厳しいステージが組まれるが、その両山脈をつなぐ区間が平坦ステージになる場合が多い。

芋掘り [限]逃げ集団の形成が終了したあとで、メーン集団からほとんど無意味なアタックを仕掛けること。逃げ集団とメーン集団の間で中途半端な動きを強いられる。

エース選手【ace】 チーム内で最も重要視されている選手のこと。ワンデーレースであれば優勝候補となる選手。ステージレースではチーム戦略によってエースが変わる。個人総合時間賞を狙うチームであれば、ステージ全体の特性に合った選手(主にオールラウンダー)がエースを担う。総合時間賞ではなくステージ勝利の量産を狙うチームであれば、主にスプリンターがエースに就く。チーム内でゼッケンナンバーの最も若い選手がエース役となる場合が多い。

エシュロン【echelon】 横風が吹いた時に組む斜めの隊列。横風時に縦方向の隊列のままでは、守るべきエースも風を激しく浴びるため、隊列を斜めにして風の抵抗を減らす。ただ、斜め方向の隊列は道幅の制約を受けるため、集団全員が斜めに並べられるわけではない。これを逆手にとって横風時に攻撃に出るチームもある。一般にオランダ人やベルギー人は横風に強く、スペイン人やコロンビア人は遅れる傾向にある。

黄金のタレ [栗]勢いよく飛び出した選手が、最終局面で力を出せず、勝負に絡めないこと。

大きな小石 [栗]踏めばパンクするような砂利のこと。荒れてはいないが、締まってもいない絶妙な未舗装路に転がっているとされる。

大逃げ 逃げ切り勝利のうち、逃げた距離が長かったり、逃げ集団のメンバーが少なかったりすると、名誉ある逃げ切りとしてそう呼ばれる。実績に乏しい選手の逃げ切り勝利のほうが「大逃げ」と言われやすいが、内容次第ではベテランでも「大逃げ」として称賛を受ける。ジロ・デ・イタリア2018第19ステージではクリス・フルームが約80キロの独走逃げ切りを成功させ、総合順位を逆転するという歴史的な大逃げを成し遂げた。

オールラウンダー【all-rounder】 脚質の一つ。山岳コースや個人タイムトライアルなどを上位でこなす選手たちを指す。個人総合時間賞を狙う選手の多くが含まれる。クライマーに比べて体重が重いため、山岳コースで勝利するのは簡単ではないが、それでも上位で入るためタイムロスは少ない。

漢ギア [限]重いギアのこと。現在の上り坂では、脚をくるくると回す高ケイデンスでのペダリングが一般的だが、かつてはギアの歯数の制約もあり、重いギアを踏み込むことが多かった。体への短期的かつ長期的な負担を考えれば漢ギアは推奨されない。

泳がす 逃げ集団を射程圏内に置きながら、あえて捕まえないでおく状態。逃げ集団を吸収してレースを振り出しに戻すと、再びスタート直後に起きるようなアタック合戦が発生して集団が混乱しやすいため、それを嫌うチームが一定距離を保って巡航する。

かきくけこ

獲得標高 レースに含まれる上り坂の合計標高。山岳での急な登坂だけでなく、アンダーパスや橋梁によるわずかな上り坂も計算されるが、下り坂による減算はしない。1日の獲得標高が4,000mを超える場合もあれば、200m以下の完全な平坦もある。

カテゴリー山岳【climbs】 山岳ポイントが設定された登坂およびその頂上。

監督【sports director】 いわゆる現場の責任者、指導者。定点で指示を送ることもあるが、ロードレースでは複数の監督がチームカーに分乗して指示を送る場合もある。UCIのレースカテゴリー1以上ではチーム内無線が使えるため、無線を積極的に用いる。スポーツ・ダイレクター、フランス語からディレクター・スポルティフ(directeur sportif)とも。

ギア比 フロントギアとリアギアの比率。フロント(チェーンリング)は内側(インナー側)が歯の枚数が少なく、外側(アウター側)が多い。リア(スプロケット)は多段階で内側(ロー側)のほうが歯が多く、外側(トップ側)が少ない。

歯数の一例
    内側  ⇔ 外側
 前:インナー 37 & アウター 53
 後:ロー 28 ~ トップ 11

ギア比に着目すると、前がインナー(歯数少)で後ろがロー(歯数多)の選択がギア比1に近く、一漕ぎでの進む距離は短いが、ペダリングは軽くなる。上り坂では「インナー・ロー」で登る選手が多い。
前がアウター(歯数多)で後ろがトップ(歯数少)の場合は漕ぐには力がいるが、1回転で走れる距離が伸びる。タイムトライアルで高速巡航する場合は、この「アウター・トップ」を積極的に用いる。タイムトライアルスペシャリストのフィリッポ・ガンナ(イネオスグレナディアーズ)はジロ・デ・イタリアの15キロのタイムトライアルで前60、後ろ11で走り、時速58キロ超で駆け抜けている。

20210614_ツール・ド・フランス_ギアの話_1

脚質 選手を体格や能力によって分けた分類。明確に分けられるわけではないため参考程度にとどまる。また、年齢を重ねて他の脚質へと移る場合もある。

脚質ファンアールト [限]ベルギー人選手のワウト・ファンアールトはシクロクロスとロードレースの両方で活躍しているが、ロードレースでは平坦ステージで勝てるスプリント力、山岳ステージで先行できるヒルクライム能力、個人タイムトライアルで勝利できる巡航能力を発揮している。脚質を一つに分類できないことから、日本のテレビ中継では「脚質ファンアールト」などと呼ばれている。

救済措置 平坦ステージと宣言されているレースにおいて、フィニッシュの3km手前からゴールまでの区間で起きた集団落車等による遅れは救済対象となり、トラブルに巻き込まれた時点で属していたグループと同じ時間でのフィニッシュ扱いとなる。平坦以外のステージやワンデーレースでは採用されない。また、同タイム扱いになるとはいえ完走しなければ救済されず、リタイアとなる。

ギョームスーパー [限][栗]ステージレースで大きく遅れている選手が逃げ集団に乗り、メーン集団よりも先にゴールすること。これによって総合成績が回復し、再び総合優勝争いに名乗りを上げることができる。フランス人選手のギョーム・マルタンがよくやる手法として、栗村修氏が命名した。

クイーンステージ【queen stage】 その大会の中で最も山岳が厳しく、個人総合時間賞をめぐる争いが起きやすいステージのこと。 

クライマー【climber】 脚質の一つ。体重が軽く、登坂能力の高い選手を指す。総合時間賞の優勝候補にも挙げられるが、小柄だったり、体重が軽かったりするため、長距離の個人タイムトライアルが含まれるステージレースでは後手に回りやすい。

クラシック【classics】 1日間で行われるワンデーレースのうち格式の高いものを差す。このうち5レースが「モニュメント」と呼ばれて、さらに差別化される。→モニュメント

グラベル【gravel】 未舗装路。砂利道。

グランツール【grand tour】 ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャの3つの大会のこと。いずれも3週間に及ぶ過酷なレース。

クリテリウム【criterium】 基本的には市街地をぐるぐると回るような短距離の周回レースを指す。原則として1周回は10km以下。公式戦ではなく、エキシビションマッチとして行われる場合もある。ただし、クリテリウムは本来は「選抜戦」という意味であり、ステージレースの「クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ」は短距離周回レースはなく、『ドーフィネ地方自転車選手権』のようなニュアンスである。

栗ノート [限][栗]クリノートとも。ロードレース解説者の栗村修氏が優勝予想した選手がことごとく不運に見舞われることから、デスノートに掛けて呼ばれるようになった。呪いが及んでいないのはタデイ・ポガチャルのみ(2021年時点)。

グルペット【gruppetto】 山岳の険しいステージで形成される後方集団。登坂を苦手とする体重の重い選手などが集まり、協力してタイムアウトにならないようなスピードを保ってゴールを目指す。イタリア語が語源。

車を使う [限]何らかのトラブルで遅れた選手がチームカーのスリップストリームを使って高速巡航し、集団に復帰すること。罰金や失格の対象となる違反行為だが、長いステージレースでは距離が短ければ黙認されることもある。モーターペーサーとも。

ケイデンス【cadence】 ペダルの回転数。1分間の数値で比較する。→漢ギア

降格 ①レース中のラフプレーや反則行為のために成績を下げさせられること。ゴール前の危険な斜行によるものが多い。
②下位カテゴリーに落ちること。原則としてUCIポイントの獲得数が少ない場合、当該カテゴリーでのライセンスが発給されず、下位カテゴリーに降格する。ポイントの集計期間は当該年を含む直近3年間。ただし新規スポンサーを得られずに解散するチームや経営面の懸念から高いカテゴリーでのレースを諦めるチームがあるほか、下位カテゴリーには昇格の意志がないチームもあるため、他のスポーツで使われるような「降格」はほとんど起きない。過去にはヨーロッパカー(ユーロップカー、現・トタルエネルジー)、コフィディスなどが「降格」と表現できるライセンスの扱いを受けている。

国際自転車競技連合【The Union Cycliste Internationale】 UCI。自転車の国際競技連盟で、スイスのエーグルに本部がある。日本の所属団体は日本自転車競技連盟(JCF)。

5勝クラブ ツール・ド・フランスの個人総合時間賞で5回もの総合優勝を誇る名選手たちのこと。具体的には、ジャック・ アンクティル、エディ・メルクス、ベルナール・イノー、ミゲル・インドゥラインの4人。現役選手の最多優勝回数はクリス・フルームの4回。

個人総合時間賞【General Classification】 2日間以上の日程で行われるステージレースで最も重視される賞。累計走行時間が最も短い選手が表彰される。1位の選手には特別ジャージー(リーダージャージー)が贈られる。特別ジャージーは、ツール・ド・フランスが黄色の「マイヨ・ジョーヌ」、ジロ・デ・イタリアがピンク色の「マリア・ローザ」、ブエルタ・ア・エスパーニャが赤色の「マイヨ・ロホ」となっている(2021年時点)。

個人タイムトライアル【individual time trial】 選手が一人ずつ出走して時間を競うレース形態。純粋な個人の脚力を測るレースではあるが、現実には機材差も大きい。ステージレースでは累計時間の最も遅い選手からスタートする。ただし初日に個人タイムトライアルを設定する場合は、各チームが一人ずつ任意の順番で出走させる。ITT。

ゴミ ゴミ捨ては決められたゾーンで行う。ポイ捨ては原則としてペナルティーの対象。ただし、熱心なコレクターがいるボトル等については、ゴミ捨てゾーン以外でも、観客に向けて転がすように捨てればペナルティーの対象にはならない。

コミッセール・パネル【commissaire panel】 審判団のこと。コミッセールが監視対象とするのは選手に限らず、チームの監督に制裁を科すことも多い。また、彼らの決定権は競技の幅広い領域にわたる。主催者からは独立している。

コミュニケ【communique】 公式発表のこと。選手やチームへの制裁、レースの変更点や注意点、チームカーの序列など多くの情報を扱う。

コンチネンタルチーム、UCIコンチネンタルチーム【UCI Continental Team】 3番目のカテゴリーに属するチーム群。原則として主活動地域のUCIコンチネンタルサーキットのレースに出場する機会が多い。

コンチネンタルサーキット、UCIコンチネンタルサーキット【UCI Continental Circuit】 大陸別のレース群のこと。基本的には1クラスと2クラスのレースが該当する(→レースカテゴリーの略称)。2020年に創設されたUCIプロシリーズに昇格したレースもある。

さしすせそ

サイクルコンピューター【cycle computer】 速度、ケイデンス(回転数)、心拍数、出力(ワット)などを表示できる器具。地図や勾配を表示できる機種もある。数値を見ながら出力を加減して走り、心拍等の極端なアップダウンを防げれば体力の温存につながる。ただ、公式戦でのサイクルコンピューターに頼った走り方には批判もある。

最高標高地点特別賞 大会期間中の最高標高地点を最初に通過した選手に与えられる特別賞。特別ジャージーはないが、ゴール後に表彰される。ジロ・デ・イタリアの「チマ・コッピ」が最も有名で、往年の名選手、ファウスト・コッピを顕彰している。ツール・ド・フランスでは大会創設と発展に貢献したアンリ・デグランジュを偲んで、「アンリ・デグランジュ記念賞」が設けられている。

サコッシュ【sacoche】 補給食を入れる布袋。→ミュゼット

山岳ポイント カテゴリー山岳の頂上通過順位に応じて配分されるポイント。

シクロクロス【cyclo-cross】 自転車のオフロード競技で、ロードレースとは異なる。悪路や障害物がある周回コースで競い、スムースな乗り降りや高度なバイクコントロール能力が求められる。競技時間は1時間と短いことから、短時間高強度の出力も必要。マチュー・ファンデルプール、ワウト・ファンアールトなどシクロクロス出身の選手がロードレースでも活躍している。

師匠 アレハンドロ・バルベルデのこと。バルベルデ師匠、バ師匠とも。40歳を過ぎても通年で高い能力を見せている。

ジマノート [限]解説者の飯島誠氏が細かく書き込んでいるノートのこと。

社長ポジション [限]集団後方のこと。現役時代にその位置を走ることが多かったトマ・ヴォクレールを指す場合が多い。ヴォクレール自身がチーム内の重要人物だったことから、風貌や走行位置を含めて日本ではそう呼ばれていた。

三味線を弾く 勝負できる力があるがあえて隠していること。日本語の用法とほぼ同じ。「本心を隠すために、むだぐちを言う」(出典:新明解国語辞典第七版)

周回レース スタート地点とゴール地点がほぼ同じで、一定の地域を周回するレースのこと。日本国内で行われるロードレースは大半がこの形態。また、1周回の距離が極端に短いものに関しては「クリテリウム」とも呼ばれる。クリテリウムの原意は選抜戦という意味であり、「クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ」も短距離周回レースではない。

主催者 大会主催者。ツール・ド・フランスはアモリ・スポル・オルガニザシオン(A.S.O.)が主催する。国際規模の大会では主催者が放映権を含む様々な権益に関わっており、UCIなどと対立することもある。

昇格 昇格の意志のあるチームが、UCIから上位カテゴリーのライセンスが発給されることで昇格が叶う。原則として成績と経営面によって判断される。成績の基準は直近3年間のUCIポイント。ただし純粋な昇格や入れ替えは少なく、下位カテゴリーのチームが経営難の上位チームを形式的に吸収合併して上位チームに移行するということがしばしば起きている。また、トップカテゴリー級の実力がありながら、セカンドカテゴリーで展開するチームもある。

新聞紙 吸水性と保温性が高く、下り坂でジャージーの胸元に入れておくと防寒になる。ウインドブレーカーよりも簡便かつ廃棄しやすいため、この方法を好む選手も多い。山岳コースでは観客が新聞紙を渡す姿が風物詩。

スイスフラン【CHF】 何らかのルール違反があったとき、罰金は全てUCI本部があるスイスの通貨に換算する。

スーパータック【supertuck】 2021年4月から反則となった乗り方の一つ。サドルから乗り出し、トップチューブ上に腰をおろすこと。下り坂で用いると空力に勝るとされているが、危険だとしてUCIが禁止した。マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス)の得意技で、多くの選手に広まった。

スタートリスト【startlist】 出走者の一覧。選手名やゼッケンナンバー(ビブナンバー)などがチーム別に示される。各チームのリスト最上位は基本的にはエース級の選手。

スティッキーボトル チームカーからボトルや補給食を選手に渡す際、チームカー側が少しアクセルを踏んだり、選手がボトルにしがみついたりして加速すること。短ければ黙認されることもあるが、原則として違反行為。過度なスティッキーボトルは「魔法の絨毯」と呼ばれることも。

ステージレース【stage race】 2日間以上にわたって行われるレースのこと。最長は3週間のレースで、ツール・ド・フランス、ジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャの3大レースをグランツールを呼んでいる。近年、グランツール以外のレースは日程が縮小傾向にあり、アジア最長とされる「ツアー・オブ・チンハイレイク」は2019年までは2週間全13ステージ(途中に休息日がある)で行われていたが、2020年以降は全8ステージで開催されている。

スプリンター【sprinter】 脚質の一つで、大型の選手が多い。短時間で高出力を出し、トップスピードは他の脚質を大きく上回る。平坦のレースで優勝する筆頭候補。

スプリントポイント【sprint point】 レースの途中に設けられるポイント付与地点。通過順に応じて、特典が与えられる。大会によって内容は異なるが、ポイント賞ジャージーに関係する「スプリントポイント」を与えたり、総合時間賞の争いの活性化を狙って数秒の時間減算(ボーナスタイム)を行ったりする。

スペインクオリティー [限](※蔑称になるため注意が必要)スペインで開催される「ブエルタ・ア・エスパーニャ」で起きる現象の総称。山岳地点があらかじめ発表されていた場所と異なる、残り距離やタイム差の表示が実際と大きく異なる、厳しい山岳を過ぎたあとにスプリントポイントが設定されている、平坦ステージという設定なのに上り坂が厳しい――などが代表例。蓋を開けてみなければ分からないところが同大会の魅力の一つとも言える。ブエルタクオリティー。

スペースペダリング【Space Pedaling】 [栗]スーパータックの状態でさらにペダルを回すこと。栗村修氏がクリス・フルームの走りから名付けたもので、用語としては一般化されていない。スーパータックとともに現在は反則行為。

スリップストリーム【slipstream】 前方の選手の真後ろに付くと、通常よりも少ないパワーで追尾でき、体力の消耗を抑えられる。この効果を利用し、ローテーションで高速巡航したり、トレインを組んでエース選手を保護したりする。ドラフティング効果とも。

セミクラシック【semi-classic】 ワンデーレースのうち、「クラシック」と呼ばれる格式高いレースには及ばないものの、コース設定や内容に優れ、有力選手の出場が多いレースのこと。

前哨戦 ツール・ド・フランスの場合、前哨戦と見られているのは「クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ」と「ツール・ド・スイス」の2レース。いずれも7~8日間のステージレース。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネはツール・ド・フランスと同じようなコースを使うことが多く、2大会を続けて優勝する選手もいる。

総合系【GC rider】 ステージレースでは個人総合時間賞が最も名誉ある賞で、それを狙う選手を指す。GC(General Classification)ライダーとも。山岳ステージが入る場合、オールラウンダーやクライマーが該当する。

村長 [限]ナイロ・キンタナのこと。デビュー当初から「老け顔」だったことから日本ではそのように言われることもあるが、地元のコロンビアでは村長どころか国民的英雄。農家の家系から生まれたグランツールチャンピオンとして広く尊敬されている。

たちつてと

大佐 カザフスタン出身の元レーサー、アレクサンドル・ヴィノクロフのこと。シドニー五輪(2012年)ロード男子で金メダル。カザフスタン軍の名誉大佐でもある。引退後はアスタナプロチーム(アスタナ・プレミアテック)のGMを務めてきた。2021年にチーム内事情から事実上の解任となったが、スポンサーの変更などでチーム運営が再整理され、要職に復帰する見込み。

大明神 [限]ロードレース日本代表監督の浅田顕氏のこと。緻密な計算に基づいて次々と優勝者を当てることから名付けられた。

タイムオーバー【outside time limit, over the limit】 制限時間内にゴールできず、失格となること。OTLとも略される。制限時間は先着した選手のレースタイムによって決められる場合があり、山岳ステージが高速で展開すると、後方集団の時間切れリスクが高まる。

タイムトライアル【time trial】 一斉スタートする通常のレースとは異なり、個人もしくはチームで別々に走ってタイムを競うレース形式のこと。個人タイムトライアルとチームタイムトライアルがある。アシストを使って風を避けることができないため、特別仕様のタイムトライアルバイクを使う場合が多い。

タイムトライアルバイク【time trial bicycle】 タイムトライアルステージ向けに仕立てられた自転車。TTバイクとも。平坦の直進方向への空力に優れるが、コースに極端な上り坂が含まれる場合、重さやバイクコントロールの難しさを嫌ってノーマルバイクに乗り換えることもある。

タイムトライアルスペシャリスト【time trialist】 脚質の一つ。風の抵抗があっても一定速度で長時間を走り続けられる。タイムトライアルで目立つ存在だが、ステージレースではエース選手を守るために先頭に立って風除けになったり、レーススピードを一定に保ったりする。

タンパーニ [限]フォトグラファーの辻啓氏のこと。国内外を問わず短パンを着用していることから、往年の名選手マルコ・パンターニをもじって名付けられた。レース中継で電話出演する際はタンパーニタイム(TPT)とも呼ばれる。

チームカー【team car】 各チームのサポートカー。通常、監督とメカニックスタッフが乗車し、指示を出したり、パンク時などに機材交換したりする。大会規模に応じて各チーム1~2台が走る。

チームタイムトライアル【team time trial】 一斉スタートするのではなく、チーム単位で出走して、チームの総合力を競うレース形態。1チーム8人で出走した場合、4人目のゴールタイムがチームの成績として採用される。仮に4人目の記録を採用する場合、その4人目が含まれる集団にいる選手は全員が同じタイムを個人総合時間に組み込む。遅れた選手は、4人目の記録ではなく、遅れた時間を含む実走行時間が総合時間に加えられる。TTT。

ディスクブレーキ【disk brake】 車輪中心部分にある金属円盤をブレーキパッドで挟んで減速させる。近年の主力機構。リムブレーキに比べ雨天時の制動力に優れるが、パンク時の車輪交換に時間が掛かる。

ディスクホイール【disc wheel】 車輪の内側を覆う円盤のこと。主にタイムトライアルで用いる。整流効果があり直進時の抵抗が弱くなる。上り坂区間では重さが負担になる。横風にも弱いため、天候や地形によって装着の判断は分かれる。

ディレーラー 変速機のこと。また、落車などによってペダルから車輪へと力を伝えていく一連の機構が壊れた際に、便宜的に「ディレーラーの破損」と言うことがある。

デヘント先生 逃げ集団に乗る機会が多いトーマス・デヘントのこと。いくつものアタックのうちプロトンが容認する逃げ集団を見極めてそれに乗ったり、逃げに入ったあとも絶妙なスピードコントロールで最終局面まで残ったりと、逃げの職人技を見せる。

手を上げる 選手たちは手を上げて(挙手して)審判団に何らかの許可を求める。基本的には補給の受け取りや作戦確認のために、チームカーとの直接のやりとりを求める場合が多い。審判団は選手の合図を確認した上で、安全であればチームカーに前に出ていくように指示をする。

トイレタイム [限]レースが落ち着いたタイミングで集団の選手たちがトイレ(いわゆる立ちション)をすることがある。公衆の面前で行った場合はペナルティーの対象。レース時間が長い自転車レースならではの光景。日本ではレース距離が短いことと倫理上の観点から容認しないか、簡易トイレを用意してあらかじめ資料で示している。

等級【category】 難易度の高い順に、超級(HC、オークラス、Hors Class)、1級、2級、3級、4級などと続く。

ドーピングコントロール【doping inspection】 アンチ・ドーピング検査。不当な薬物摂取をしていないかを検査する。レース終了後に実施したり、レース外で抜き打ちで行ったりする。

ドクターカー【doctor car】 ニュートラルサポートのうち、医療スタッフが乗車している車のこと。

ドラフティング効果【draft】 前方の選手を風よけに使うことで得られる走行への効果。後ろを走る選手は力を軽減できる。スリップストリーム。

トルク【torque】 車輪を回転させる力。踏み込んだ時の加速力と考えることもできる。ギア比が1に近いほどトルクは掛かりやすい。

トレイン【train】 チームごとに形成される縦一列の隊列のこと。真上から見れば列車の車両編成に似ている。各チームのトレイン(隊列)の最後方または一つ手前の位置がエース選手の場所とされ、アシスト選手が風よけになったり、路上のリスクを事前に察知したりして、エースを守る。平坦コースの最終盤では極めて高速なトレインとなり、他チームを排除しながら徐々に加速し、余勢を駆って勝負に臨むスプリンターを発射させる。

ドロッパー・シート・ポスト【dropper seat post】 サドルの高さを動かせる機構。ミラノ~サンレモ(2022年)でマテイ・モホリッチが使用し、通常よりも低いサドル位置で「ポッジオ」からの下りを駆け抜けた。障害物の多い道を走るマウンテンバイクでよく知られた仕組みだが、ロードレースの著名レースで使用して優勝したのは初の事例とされている。ロードレースでは重心が下がり、ダウンヒルの走行が安定する。

なにぬねの

ネオプロ UCIワールドチームまたはUCIプロチームに所属して1年目の選手のこと。

逃げ【breakaway】 メーン集団(プロトン)から抜け出て先頭を走る小集団のこと。

レースは基本的には最序盤で逃げ集団とメーン集団(勝負に直接関わる選手が含まれる大集団)に分かれ、逃げ集団は数分の時間差を付けて先行する。平坦レイアウトでは最終盤になってメーン集団が逃げ集団を吸収し、ゴールになだれ込む。丘陵レイアウトのワンデーレースや山岳ステージでは、勝負どころとなる登坂区間の前に逃げ集団を吸収。そこから今度は優勝候補やセカンドエースクラスの選手が飛び出して強力な先頭集団を形成することがある。

逃げ切り 逃げ集団に乗った選手がそのまま勝利を飾ること。通常であればゴールする前にメーン集団(プロトン)に飲み込まれるが、逃げ集団のメンバーが強かったり、逃げを飲み込むべきメーン集団の計算が狂ったりすると逃げ切りが起きやすい。また、グランツールの終盤戦では、メーン集団が逃げ切りを容認することもある。逃げに乗っている選手が個人総合時間賞に関係なかったり、メーン集団内で余計な争いを起こさせたくない(ボーナスタイムを逃げ集団で消化してほしいなど)という心理があったりすると、このような状況が起きる。

ニュートラルサービス、ニュートラルサポート【neutral support】 大会側で用意するレース中のサポートサービス。組み上がった状態のロードバイクやタイヤを提供して故障に対応したり、飲料を配ったりする。車、モーターバイク、定点などでサポートする。

20210614_ツール・ド・フランス_ギアの話_2

ネーションズカップ、UCI U-23 ネーションズカップ 【UCI U-23 Nations Cup】 23歳以下を対象とした国別シリーズ。最大規模の大会は「ツール・ド・ラヴニール」で、優勝者にはエガン・ベルナル、タデイ・ボガチャルなど、「ツール・ド・フランス」を制することになる選手たちが名を連ねる。

ノーマルバイク【normal road racing bicycle】 通常のロードバイクのこと。タイムトライアルステージで「タイムトライアルバイク」と比較して用いられる。→タイムトライアルバイク

はひふへほ

パヴェ【pavé】 石畳のこと。

はする 車輪が接触すること。落車を引き起こす原因の一つ。

ハッシュタグ【hashtag】 中継の際にtwitterで利用されるハッシュタグは、J SPORTS、GCNともに2種類あり、雑談用と質問用に分かれている。レース展開が単調な平坦ステージでは、実況・解説者が質問用のタグが付いたツイートを読んで質問に答えることが多いが、実際には雑談用のツイートを読んでいることもある。J SPORTSの中継で使われているのは、雑談用が #jspocycle 、質問用が #jspocycleq 。GCNでは、雑談用が #GCNjapan 、質問用が #GCNQ 。

バッドデー 体調の悪い日のこと。ステージレースでは疲労の蓄積、飲食物による胃腸障害、風邪などの感染症、落車によるダメージなどが要因となる。体調の優れない日が山岳レイアウトのステージと重なった場合は、総合順位を大きく落とすことになる。

バルベルデ師匠 [限]アレハンドロ・バルベルデのこと。目立つ割には勝利数が少ないほか、所属するモビスターチームが戦術面で不可解な動き多いこともあって、やや侮蔑のニュアンスが込められて日本の観戦者界隈でバルベルデ師匠、バ師匠などと言われるようになった。しかし、40歳を超えても強さを見せつけていることから、一転して「師匠」という言葉が良い意味で受け止められてきている。

パレード走行【neutral section】 実スタートの前に設けられる準備走行区間。市街地区間での顔見せや機材チェックなどを兼ねる。

パワーウエイトレシオ【power to weight ratio】 体重1キロあたりの出力値。平均出力(ワット)を体重で割る。登坂能力を示す指標として使われる。

パワーメーター 選手の出力を計測する器具。サイクルコンピューターに表示できる。→サイクルコンピューター

ハンガーノック【hunger knok】 レース中の栄養補給が不十分で、運動量が極端に落ちること。

バンチ・スプリント【bunch sprint】 大集団でゴールになだれ込むこと。平坦のレイアウトで起きやすく、往々にしてスプリンターが勝利する。

パンチャー【puncher、puncheur】 脚質の一つ。上り下りが繰り返されるようなコースに強い選手たちを指す。アルデンヌ・クラシックなど丘陵地形のレースを得意とする。新城幸也もパンチャーの一人。

ハンドル、ドロップハンドル【handle】 ロードバイクに用いるハンドルを左横から見た場合、੮(Unicodeグルムキー文字から借用)のような形をしている。左上先端部分をブラケット、下の丸い部分を下ハンドルと呼ぶ。これらの部分よりも中央寄りが上ハンドル。上ハンドルを持つとブレーキから遠くなるため、リスクが高いシチュエーションには向かない。

ハンマーシリーズ【Hammer Series】 ロードレース11チームで組織したメディア企業・ヴェロンが2017年から2019年まで開催していたロードレースシリーズ。完全なるチーム戦として実施した。3レース構成で各チームが5人ずつエントリー。登坂区間がある「ハンマークライム」、平坦中心の「ハンマースプリント」の2レースが実質的な予選で、定点通過順位に応じてチームにポイントを配分。最終日の決勝レース「ハンマーチェース」は一斉スタートではなく、ポイントの順位に応じて時間差を付けて出走するチームタイムトライアルを行った。「ハンマーチェース」の勝者がそのまま大会の勝者となることから最終日は白熱し、通常のチームタイムトライアルでは見られないような混戦や混乱もエンターテインメント性の向上に一役買った。しかしUCIから独立した状態での開催を目指したものの、言葉の使用などを巡ってヴェロンとUCIの対立が表面化。2020年は開催を断念した。

不文律 大会のルールブックに書かれていない紳士協定。トラブルに乗じたアタックをしない、リーダージャージー保有者のいるチームが率先して集団先頭を引くなど明文化されていないルールは多い。

ブラケット【bracket】 ブラケットは支えのこと。通常、手を置く位置のうち、ハンドル左右の先端部のことを言う。

フラム・ルージュ【flamme rouge】 ゴールの1キロ手前にある赤い三角旗。

フランドル・クラシック、フランダースクラシック【Cobbled Classics】 ベルギー西部からフランス国境付近のフランドル地方で行われるワンデーレースのこと。石畳がある道路を使って春先に集中して開かれる。北のクラシック、石畳のクラシックと総称され、ロンド・ファン・フランデーレンは最も格式が高い。フランス北部で開かれるパリ~ルーベは石畳の距離が長く、北の地獄とも言われる。コースの特性上、スプリンターなど重量級の選手が勝ちやすい。英語のcobbleは丸石のこと。→アルデンヌクラシック

ブルゴス応援団 [限][栗]栗村修氏のこと。栗村氏自身はスペイン・ブルゴス地方やUCIプロチームの「ブルゴスBH」との直接的な関係はないが、ブエルタ・ア・エスパーニャ2020第6ステージの最序盤で「逃げに乗れという指令があったチームには、監督から強引な無線が入っているはず」と解説。そのタイミングでブルゴスBHの選手が画面に映ったことから、同チームの監督に成り代わって「これで終われるか! 今シーズンラストレースだぞ! ブルゴスはこれでいいのか! ブエルタは俺たちの全てだろ。今日一日を行こう! 戦ってこう! ブルゴス、ブルゴス!!」と絶叫した。これ以降、ブルゴスBHが目立った場合は、「ブルゴスブルゴス!」というかけ声が出るようになった。

プロシリーズ、UCIプロシリーズ【UCI Pro Series】 ワールドツアーに次ぐカテゴリーのレース群。UCIプロチームの主戦場ではあるが、UCIワールドチームやコンチネンタルチームも出場する。日本ではジャパンカップサイクルロードレースが対象レース。

プロチーム、UCIプロチーム【UCI Pro Team】 セカンドカテゴリーのチーム群。旧称はプロフェッショナルコンチネンタルチーム。日本にはこのクラスに属するチームはない。

プロトン【peloton】 メーン集団、大集団。主にエース級の選手が多く含まれる集団のこと。

プロローグ【prologue】 ステージレースの1日目に開催されることがある、10km未満の個人タイムトライアル。「第1ステージ」とは呼称せず、「プロローグ」と表記する場合が多い。その場合、レース2日目を「第1ステージ」とする。プロローグと名乗るが公式戦であり、タイム差やポイントは反映される。

平坦ステージ【flat stage】 登坂区間が全くないか、あっても勝負にはほとんど影響しない前半部分にしかない場合、平坦ステージやフラットステージ、スプリンター向けのレイアウトなどと言う。逃げ切りはほとんど起きずスプリンターが勝利する。なお、スペインの開催レースでは平坦と言いながらも突然の登坂が出てくる場合があるため、平坦詐欺と揶揄されることもある。

ボーラ大作戦 [限][栗]レース途中の起伏を使ってスピードアップし、重量級スプリンターをふるい落とす作戦。ボーラ・ハンスグローエに在籍していたペーター・サガンはピュアスプリンターとゴール勝負をすると後手に回る可能性があるため、チームが一体となってP.サガンは残れるが他チームのスプリンターは残れないスピードで丘陵地帯をこなそうとした。

補食補給食 レース中などに食べる食事。固形やゼリー状の栄養食、パン、バナナなどがある。長時間かつ高強度のレースでは、捕食の量やタイミングが重要。→ハンガーノック

まみむめも

前待ち 先行する逃げ集団にアシストを入れておくこと。山岳コースで用いられる作戦の一つ。エース選手がメーン集団から飛び出したり、エース選手周辺のアシストが不足したときに、先行集団に入れておいた「前待ち」が減速してエース選手を待ち、しばらくの間、風よけやペースメーキングなどでサポートする。

ミュゼット【musett】 補給食やボトルを入れる袋。補給ゾーンでスタッフから受け取り、中身をロードバイクや背中のポケットなどに差し、袋は廃棄するか、チームカーに戻す。日本ではサコッシュという呼び方のほうが一般的。「(肩から斜めにかける)布袋、かばん」(出典:ロワイヤル仏和中辞典)

無線機 大会側からチームカーに情報を伝えるラジオツール以外に、チーム内でコミュニケーションを取れる無線が1クラス以上のレースで使える。選手は背中にレシーバーを入れ、耳にイヤホン、胸元にマイクを当てている。→レースカテゴリーの略称

メーン集団、メイン集団、プロトン【peloton】 エース級の選手がいる大集団のこと。

メッシーナのサメ イタリア人オールラウンダー、ヴィンチェンツォ・ニバリのこと。シチリア島のメッシーナ出身。全てのグランツールを制している。

モニュメント【monument】 ワンデーレースのうち格式が高い5つのレースのこと。ミラノ~サンレモ、ロンド・ファン・フランデーレン(ツール・デ・フランドル)、パリ~ルーベ、リエージュ~バストーニュ~リエージュ、イル・ロンバルディア。

モニュメントの一覧
ミラノ~サンレモ イタリアで開催されるレースで、左手に地中海を見ながら300キロ近い長距離を走る。春を意味する「プリマヴェーラ」とも呼ばれ、クラシックシーズンの到来を告げる。別称は「スプリンターズクラシック」。見どころは終盤に凝縮され、「チプレッサ」と「ポッジョ」の二つの丘が仕掛けどころ。
ロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・デ・フランドル) ベルギーで開催されるレース。モニュメントの中でも極めて人気が高く、「クラシックの王様」とも称される。石畳の急坂「コッペンベルフ」が最大の勝負どころだが、石畳や急登坂が随所に散りばめられ、様々な攻撃ができることから終始目の離せないレースになる。
パリ~ルーベ フランス北東部のベルギー国境に近いエリアで行われる。約250キロのコースのうち、60キロ弱が石畳で、選手にもバイクにも厳しいレースになる。特に困難な石畳(レベル5)は3カ所で、直線基調で路面が激しく荒れている「アランベール」(アーレンベルグ、2.3km)、道が狭く路面が滑りやすい「モン・サン・ペベル」(3km)、途中に直角カーブがある「カルフール・ド・ラルブル」(2.1km)が最も警戒される。ゴール地点はルーベのヴェロドローム(自転車競技場)。近年では石畳区間ではなく、石畳と石畳の間にある通常の道路区間で決定的な動きが起きることがある。過酷さから「北の地獄」や「クラシックの女王」と称される。
リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ ベルギーのアルデンヌ地方で行われるレース。最古参を意味する「ドワイエンヌ」とも呼ばれる。路上に選手名をペイントした「ラ・ルドゥット」、急坂の「サン・ニコラ」などが勝負の分かれ目となる。総合系の選手やパンチャーなど比較的軽量な選手に向いている。
イル・ロンバルディア(ジロ・ディ・ロンバルディア) モニュメントの中では唯一の秋開催で、「落ち葉のクラシック」とも呼ばれる。イタリア北部・コモ湖畔を走るレースで、美しい風景も見どころ。上り下りが厳しいため、ミラノ~サンレモとは対照的に「クライマーズ・クラシック」とも称される。

やゆよ

らりるれろ

ラインレース スタート地点とゴール地点が異なり、明確に別の地域へと移動していくレースのこと。対義語は周回レースやクリテリウム。

落車 ①転倒すること。②[限]本来の意味から転じて、単調なレース展開によって視聴者が寝落ちてしまう場合を指すこともある。

ラジオツール【radio tour】 レース状況を逐一、伝える無線。コミッセールまたは担当委員から発信され、運営関係者やチームカーが受信する。「radio TOOL」ではない。

リードアウトトレイン スプリンター向けの平坦コースの最終盤に組まれるトレイン(隊列)。スプリンターを飛び出させるためにチームが一列になって極めて高速で巡航する。

リムブレーキ【rim brake】 リムはふち(縁)のこと。タイヤ外周部分を挟んで減速させる。雨天時は泥や雨粒の影響を受けやすく、制動力がディスクブレーキに比べて落ちる。ただ、リムブレーキはタイヤ交換時の干渉がほとんどないため、パンクしても時間のロスが少ない。イネオス・グレナディアーズは2021年まではほとんどのレースでリムブレーキを採用し、ディスクブレーキへの移行が最も遅かった。→ディスクブレーキ

ルーラー【rouleur】 脚質の一つ。一定出力で長時間巡航できる。オールラウンダーやタイムトライアルスペシャリストなどにも近い。

レースカテゴリーの略称【race cetegory】 レースカテゴリーの略称は「1.UWT」「2.Pro」などと表示される。先頭の数字はワンデーレースかステージレースかを区分し、「1」はワンデーレース、「2」は複数の日程で行われるステージレースを指す。「.」の右側はレースのヒエラルキーを示す。UWT(UCIワールドツアー)、Pro(UCIプロシリーズ)、HC(超級。※原則としてプロシリーズに統合された)、1(1クラス)、2(2クラス)の順でヒエラルキーが下がる。

レースディレクター【race director】 レースの責任者。

ローテーション【rotation】 選手数人が順番に先頭に立って集団を引っ張ること。先頭に立っている間は強烈な風圧を受けて多大な体力を消費するが、しばらくすると次の選手に先頭を譲ってスリップストリームに入り、体力を回復する。これを繰り返して高速巡航を可能にする。

わをん

ワールドチーム、UCIワールドチーム【UCI World Team】 トップカテゴリーのチーム群。2021年は19チーム。ワールドツアーレースへの出場義務を負う。日本にはこのクラスに属するチームはないが、新城幸也がバーレーン・ヴィクトリアス、別府史之と中根英登がEFエデュケーションNIPPOに所属している。

ワールドツアー、UCIワールドツアー【UCI World Tour】 世界にあまたあるレースのうち、トップカテゴリーに属するレース群。ワールドチームの主戦場。プロチームも一部が出場する。日本での開催はない。

ワイン畑 [限][栗]ワイン向けのぶどう畑のこと。誤用。

我らワールド [限]ロードレース解説者の栗村修氏と実況のサッシャ氏とのコンビのこと。派生形として「俺らワールド」(栗村氏と飯島誠氏)、「なにわワールド」(栗村氏と谷口廣明氏。辻啓氏が入ることも)などがある。

ワンデーレース【one-day-race】 一日で決着をつける大会のこと。ステージレースの対義語。このうち格式の高いものをクラシックと呼び、さらにそのうちの5レースをモニュメントと呼んでいる。

わんわん落車 [限]沿道から飛び出してきた犬によって引き起こされる落車。

英略称

DNF【Did Not Finish】 途中でのリタイア。

DNS【Did Not Start】 未出走。

GC【General Classification】 個人総合時間賞。

HC【Hors Class】 超級。

ITT【Individual Time Trial】 個人タイムトライアル。

OTL【Over The Limit, Outside Time Limit】 制限時間内での不着。タイムオーバー。

TTT 【Team Time Trial】 チームタイムトライアル。

UCI【The Union Cycliste Internationale】 国際自転車競技連合。

UWT【UCI World Tour】 男子のUCIワールドツアー。

WWT【UCI Women's World Tour】 女子のUCIワールドツアー。

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