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立憲民主党の末松義規議員、国会質疑「台湾の独立を封じる」発言に全台連から抗議声明、謝罪と撤回要求に「謝罪と撤回はしません」と即答。

立憲民主党の議員が次々と『台湾有事』に言及、岸田首相に台湾独立阻止を求める

2022年10月17日に立憲民主党の岡田克也幹事長が衆議院予算員会の質疑で岸田首相に台湾有事について、「もし、独立を支持してもらえると思えば、そういう人たちが台湾で増えれば、その動きは止められなくなるかも知れない。アメリカは台湾の独立は支持しないと言っていますよ、その表現、総理、口にできないんですか?」と迫り、末松義規議員も11月29日の同委で「台湾が独立するような動き、これは封じていかなければいけない」と訴えた。

岸田:台湾海峡の平和と安定がわが国に重要であると中国側に伝えている

岸田首相はこれを受けて「まず、台湾につきましては、日本にとって、基本的価値を共有し緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人です。」(以下中略)

続「そして、台湾海峡の平和と安定を確保する為にわが国としてその重要性について、中国側にもしっかり伝えております。そして、米国をはじめとする同盟国、同志国とも緊密に連携しながら、各国共通の立場として明確に発信しており、これからもこうした外交努力は続けていきたいと考えております。」

とそつなく答弁をこなした。

この岡田・末松議員の発言に在日台湾人の連合会「全日本台湾連合会」が猛反発、令和4年12月5日付けで謝罪と撤回を求める抗議声明が出された。(以下、全台連)

全台連の抗議ツィート

小平にある末松議員の事務所へ秘書本庄氏対応〜

本庄「謝罪と撤回はしません。抗議電話はかかってきています。
末松の主張は、「ウ露戦争で中露が接近した時、台湾有事が起きたら中国、ロシア、北朝鮮と対峙することになるので、(日本は危険な状況になる)今の枠組みを変えない事が肝心です。米が「台湾の独立は支持しない」と明言したように、日本も明確に宣言すべき。田中角栄と中国の「共同声明」の(3)で台湾が中国の領土の一部と明言されているので、今この現状でそれを動かすべきではない、との趣旨です」

以上の事から、末松議員は全台連の要求に対し謝罪・撤回はしない意向を示した。

考察

中国からの独立を目指す台湾人にとって、「台湾の独立したいという動きを封じる」という国会議員の主張はセンセーショナルだっただろう。「弾圧」であり「内政干渉」だと感情的になるのも無理はない。今回、末松義規議員の小平事務所を訪ね、秘書・本庄政之氏に資料説明などを受け、末松議員の意向を伺った。末松議員の考える中国、ロシア、北朝鮮に隣接する日本の平和外交上の意思表示が大切とする考えは充分にわかる。今、台湾が独立運動を本格化すれば、アジアの平和バランスは一気に崩れる。

ただ、台湾人の独立を封じるのが日本の平和外交に必要であれば、中国にも軍事侵攻するな、今はするな、侵攻したら経済、人的被害など相当なリスクが伴う、と、日本の首相が言わねばならない、と両論併記しないと台湾人の反発が伴うのは当然ではないかと思う。

岡田・末松両義委員の質疑はアメリカが台湾独立を支持しないと言ってるのだから、今のうちに台湾独立の希望の芽を潰せ、とも取れる台湾人に労わりのない言葉選びだったかな、との印象を受けた。それに対して、岸田首相の答弁は中国にも台湾にもどちらかを支持する人にも角が立たない深い配慮を感じた。岡田幹事長も末松議員も公人である。公に多くの人々にわかりやすく、人を傷つけない形で日本の安全外交理論を展開していただきたい。

国会議員は常に紳士であれ


これは対日感情の良い台湾人にとっても、台湾と友好関係を結びたい日本人にとっても残念な舌禍事件と言える。末松議員は過去に何度か舌禍騒ぎを起こしているので、議員として一つの大きな欠点だと思う。言葉選びは慎重にしていただきたい。全台連に謝罪と撤回をしないのであれば、末松議員は「日本を取り巻く国際状況に鑑み、台湾は今は独立する動きをすべきではない。日本は「今はその時ではない」と台湾に忠告できるように、親密な連絡関係を結び、常に中国を監視し、アジアの巨人を起こさないように努力すべき」と紳士的な表現を選ぶべきだったと苦言を呈したい。

※ウクライナロシア戦争で時代は大きな転換期を迎えつつある中、1972年に作られた日中共同声明の見直しなど、そろそろすべき時ではないかとも感じた。

              (了)


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