世耕弘成元大臣が青学中野教授を訴えた裁判概要。みっともない！

「また、スラップか」Twitterの裁判告知を見てそう思った。

私は即座に傍聴を決意した。

何しろ、自民党の大物政治家が文化人をTwitter投稿で訴えているのだ。

【みっともない】

それしか浮かばない。「自民党はIT疎いくせにTwitterの言論には噛み付いてくるんだな。」そんな評価しかできない裁判だ。

原告は世耕弘成氏。自民党の参議院議員。

世耕氏は安倍内閣の元で経済産業大臣を歴任、現在は参議院自由民主党幹事長という要職におり、当選回数は５回。近畿大学の理事長も兼ねていて、近畿大の教職員組合からは「理事長、みっともない真似はやめてください。」と懇願されている。わたしもそう思う。政治家が文化人を訴えて何の得があるのだろうか？

祖父の世耕弘一氏は衆議院議員当選回数８回。丁稚奉公から苦学の末、政治家に身を起こしたそうだ。近畿大学の初代理事長でもある。

そう、世耕弘成氏は政治・教育一家に育ったサラブレットなのだ。更に言えば、配偶者は元報道部キャスターの林久美子氏。政治家でもある。

二世議員の多い自民党でも群を抜く「華麗なる一族」の世耕氏。そんな世耕氏が青学の中野教授を相手取り、１５０万円の賠償を求める裁判を起こした。

事件番号　民事第２５部甲A係　令和２年（ワ）第２３４４４号

■原告　世耕弘成

■被告　中野昌宏（青山学院大学教授）

令和２年３月２４日　火曜日　６１０号法廷　１５：００開廷。

この日は第四回口頭弁論。

■裁判長　谷口安史　■裁判官　島尻香織　白井宏和　■書記官　佐藤慎一

SNSでこの裁判を検索すると原告側、被告側の立場に立った、詳しい検証記事を拾うことができる。

■被告側の支援記事　『白坂和哉 デイ ウォッチ』

■原告側の支援記事　『事実を整える』

この二つの記事に目を通すとだいたい「何が起こったのか」が分かるようになる。こちらは共同通信の記事。

ざっくりとした内容では、中野教授がインターネット短文投稿サイトTwitterで世耕氏は「世界平和統一家庭連合（旧統一教会）に所属していた」と投稿。

これについて、世耕氏は名誉を毀損されたとして、中野教授に１５０万円の賠償と謝罪文の掲載を求めた。対して中野教授は公人が政治的権威を使って言論に圧力をかける「スラップ訴訟」だとして原告の訴えを棄却するよう求めている。

民事では訴えた側、原告に立証責任がある。世耕氏は「世界平和統一家庭連合（旧統一教会）に所属していた」と書かれたことで社会的評価を低下させられた、またはそのことに真実相当性はない、と証明しなければならない。

また被告の中野教授は自己の表現において、真実相当性があり、公益性があると主張することで原告の請求を退けることができる。

【カルトなのか統一教会】

統一教会というと、真っ先に思い浮かぶのは「霊感商法」である。どんな事かというと、街中やキャンパスなどで「あなたには悪い先祖の因縁がある」とか「悪霊がついている」とか言って信じ込こませる。そしてそれを払う壺や印鑑などを高額で売りつけていく「悪徳商法」のことだ。「統一教会/霊感商法」で検索するとじゃんじゃん被害例が引っかかってくるので、お試しください。（合同結婚式やマインドコントロールなども検索して見てください）

このような「カルト」とされる統一教会の信者だと、そういう風に言われたのは名誉毀損だと。これはわかる。そうすると、世耕氏は統一教会は関わりがあると社会的評価を低下させるカルト教団だと、法廷で訴えればいいのである。「それと関係あるとは身の汚れ」とか裁判長に言えばいいのである。

どしどし統一教会の信者だと言われたことで傷ついた、被った被害を訴えればいいのである。そんなに悪徳なのか。カルトなんだ。そうか統一教会。知らなかった。

翻って、被告の中野教授は政治家がそんなカルト信者であれば、多くの国民に不利益をもたらすものであるから、自分の発言には正当性があり、公益性があると主張すれば良い。政治家が特定の宗教の信徒であれば、信徒以外の大多数の国民は安心して国政に信託を置けない。

【政治家は研究者・文化人と分裂するな】

中野教授は「社会思想史研究者」である。わたしは常々政治家は文化人を尊重しなくてはならない、と思っていて、なぜなら限られた人数の官僚と政治家で政策を治めていくのは至難の技だからだ。政治家は沢山の文化人・研究者と知古になってもらわなければならないと思うからだ。より良い立法・治世のためには政治家は頭を下げて文化人と交流し、教養・知見を積むことに汗を掻き、研鑽に務めるべきだと、そう思う。政治家は接客業の最たるものだと思う。

そんな政治家が、文化人を訴えたのは実に行動が貧しく、みっともないことだと思う。

【世耕氏の奥様は元ジャーナリスト】

世耕氏の奥様の林久美子さんは元びわこ放送報道部のキャスター。記者でもある。奥様は夫の世耕氏が言論での対話ではなく、法廷を使って言論弾圧行為をしてると指摘されてることに対して、どのような評価を下すのだろうか。問い合わせをして見たい。

次回は裁判傍聴の内容をお伝えします。裁判終了後には被告側の報告会があり、それも詳報します。

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

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