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周庭さん逮捕_議論されるマグニツキー法とは何か

【日本は国際的な人権侵害事件にどう向き合うのか】

香港の民主化活動家、周庭(アグネス・チュウ)さんが10日夜、自宅で逮捕、連行された。

若き活動家の突然の逮捕劇は容疑の不確かさも含めて、世界に衝撃を与えた。これを受けて日本でも「民主主義運動への弾圧」としてSNSを中心に中国政府への抗議の声が相次いで投稿されている。

同じ日に香港の民主化運動を支持するメディア王の黎智英(ジミー・ライ)氏も逮捕されている。二人とも、香港国家安全維持法に違反した容疑だ。

二人は香港民主化のインフルエンサーだった。

周庭さんは香港民主化運動のアイドル的存在で常にマスコミに囲まれていたし、黎智英氏は豊富な資産を使い、民主化政治運動に資金を提供していた。

中国政府は香港民主化の運動を鎮火させるのに最も効果的なこの二人を見逃さなかった。

今後は厳しい取り調べが予想される。(周庭さんは11日夜に保釈されました)

【マグニツキー法】

そこで今後注目されるのが日本が中国政府に対する「人権侵害」への制裁措置だ。日本は「マグニツキー法」を取り入れて人権侵害国家を制裁することができるのかという議論が必要とされる。

国際社会で一つの国家が人道的に許されない行為をした時、抗議の声をあげるだけではなく、どう実効的な制裁措置ができるか。

対象国家がさらなる人権侵害をするかもしれない場合、国際社会がどう抑止させるか。人類は地球規模で一つの国家に介入し人権侵害を止めさせることができるか。

今の所、有効な手立てと言えば、世界にはマグニツキー法というものがある。

それに向けて日本でも取り入れられるか、人権侵害国家に強い抗議と制裁に踏み切ることができるのか。今後の議論形成が期待される。

【マグニツキーとはロシア人の弁護士でロシア政府の腐敗を告発し、獄中死した人物である】

アメリカでマグニツキー法が制定される事になったのは一人の弁護士が痛ましい獄死をしたからだ。

その名前はセルゲイ・レオニドビッチ・マグニツキー。

マグニツキー氏はロシアの税務弁護士の顧問をしていて、ロシア国税局の2億3千万ドルもの巨額な横領事件を当局に告発した。

彼は2008年にロシア政府に脱税支援の疑いで逮捕された。裁判無しに合法的に拘禁され、11ヶ月服役させられたのち、2009年11月16日に刑務所で獄中死した。持病の治療も拒否されていた。遺体には拷問による暴行の跡があった。

出典


マグニツキー氏は自分の横領調査を隠蔽するために逮捕されたのだと主張していた。

この事件は国際的な注目を集め、公式にも非公式にも多くの反響を呼んだ。ロシア政府の非道な横領、腐敗、人権侵害について「ロシアは今や犯罪国家だ」との抗議の声が上がった。

アメリカのオバマ大統領は、2012年にマグニツキー法を制定した。

主な目的は人権侵害に対する国際的な制裁。

マグニツキー事件に関与した人物のアメリカへの渡航を禁止し、ビザの発行を拒否、銀行へのアクセスを制限し、資産を凍結するなどを決行。2016年以降、アメリカ政府は、世界中の人権侵害に関与している外国政府当局者を制裁することができるようになった。

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記憶に新しいところではサウジアラビアのジャーナリスト、カショギ氏殺害事件でも発動されている。

またアメリカは今年8月に入ってから民主化運動を弾圧したとして香港の要人にこの法律で制裁を加えている。

今回の民主化シンボルであった香港人の逮捕に対して、アメリカはどう動くのか。イギリスは。そして日本は。

官房長官が抗議文を声明で発表するに止まるのか。国際的な人権侵害に対して、日本が世界の動きと足並みを揃える日が来るのか。

まとめ

マグニツキー氏の名前が多くの人々の心を動かし、世界中で人権擁護に対する思いが共有される事を強く希望する。



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