e-Juggling Competitionを終えて

はじめに

この記事は、2020年から2021年にかけて計五回実施されたe-Juggling Competitionというジャグリングのオンライン大会に関しての情報を残しておくためのものです。大会そのものの客観的な情報と、主催の考え方、苦労した点等についてまとめています。

目次

① e-Juggling Competitionとは
② 第一回大会振り返り
③ 第二回大会振り返り
④ 第三回大会振り返り
⑤ 第四回大会振り返り
⑥ 第五回大会振り返り
⑦ スタッフについて・仕事の分担について
⑧ 配信の方式について
⑨ 運営中に発生したトラブル一覧
⑩ 審査員について
⑪ 視聴者数の推移
⑫ スポンサーについて
⑬ 経費について
⑭ 大会が目指していたもの
⑮さいごに


① e-Juggling Competitionとは

e-Juggling Competitionは、2020年から2021年にかけて、新型コロナウイルス感染拡大により中止になった各種大会を代替すべく行われたオンラインジャグリング大会である。
・第一回・・・2020年3月
・第二回・・・2020年6月
・第三回・・・2020年11月
・第四回・・・2021年3月
・第五回・・・2021年6月(最終回)

事前に撮影を行った演技映像を提出し、それをもとに審査が行われて順位が確定する。また、当日にはすべての演技がYoutubeで放映され、多くのジャグラーが同時に観戦することができる。
開催部門は歴一定未満の人のみ出場可能なジュニア部門・歴制限なしのシニア部門の2部門を中心とし、第二回大会より動画編集可のエキシビジョン部門を加えた3部門である。


② 第一回大会振り返り

第一回大会は、2020年の
2月28日 運営発足・Twitterで告知
3月1日 大会要項公開(現在は削除済み)
3月7日 エントリー開始
3月9日 エントリー締め切り
3月19日 動画提出締め切り
3月21日 大会当日
という、恐ろしいほどの強行日程だった。

第一回大会はコロナで大会が次々中止に追い込まれていく中、年度末の大会向けに演技を作っていた人に発表の場を用意したいという思いで急遽始めることにした。あくまでも、中止になってしまった学生大会や他の大会の代理という位置づけで行うという内容だったため、e-juggもそれらの大会の時期と同じ時期に終えて、新しい気持ちで次の年度に入ってほしいというのを踏まえた結果の強行日程。大変だったけど仕方ないね。
https://twitter.com/e_juggling/status/1233324361311875072?s=20

さて、大会の運営経験がない私が何故この大会をやろうとしたかというと、オンライン配信で大会を実行できる人間の数が少ないだろうなと考えたからである。
・配信可能なレベルのPCを持っていますか?
      ・・・学生だと入学時に買ったノートPCしかないケースが多い
・ 配信の仕方を知っていますか?
  ・・・流石に配信の仕方を勉強するところから始めると時間がかかる
・ 現時点で時間に余裕があって大会を運営できる状況にありますか?
  ・・・年度末が繁忙期の人は多い
・ それなりにジャグリング界とつながりがありますか?
  ・・・ある程度つながりがないと告知しても広められない
こんなことを考えてみて、自分が今動かなかったらオンライン大会を行う人が今後現れたとしてもかなり先の話になる可能性がある。その場合今ルーチン発表したくて作った人たちはそれを当分供養することができないなと。

大会そのものの機能(審査とか部門分け)とかについては、一緒に運営をしてくれたやむ君が以前に北海道東北学生大会の運営をしていたこともあり、それを参考にすることですぐに決めることができた。要するに、大会運営経験者と配信経験者の2人がそろって初めてe-juggが生まれたということですね。


・エントリーについて
初回であることや、日々情勢が変わっていくこともあって、どの程度のエントリーが来るかは全く読めなかった。参加者が少ない分には何とでもなるけど、殺到した場合のことを想定してエントリーの仕方を考えた。具体的には、先着順でエントリーが間に合えば出場可能な「先着枠」、先着枠が埋まった後でも期間内ならエントリーできて期間終了後に抽選に通った人だけ出場可能な「抽選枠」に分けて募集を行った。(確か2018年に名古屋で行われていたサマーフェスタで採用されていた方式だったと思います)エントリー終了後に枠数を調整できるのでとても良い方法だなと思ったものの、結局ちょうど良いくらいの人数が集まったので、抽選は行わずに済み、全員出てもらうことができた。
https://twitter.com/e_juggling/status/1236957045540016129?s=20


・部門分けについて
e-juggはオフラインの大会に出たくても大会がなくなってしまって出られなかった人たちの受け皿のような大会である。なるべく細かく部門分けをしないことで幅広い人が出やすいようにということで、「ジュニア部門」と「シニア部門」の2つのみで開催した。多分男女わかれていない大会は稀だが、それぞれの部門で枠数を決めてしまうのは大会の意図と反するのでそこも分けていない。

・協賛について
運営に必要な資金は配信当日とある方法で寄付を募ることで集めた。(方法はあまり良い方法でなかったのでここには書きません)また、初回の突発的な大会にも関わらず、3組の方から協賛や賞品提供を受けることができ、入賞者に賞状とともに賞品を贈ることができた。ありがたい限りですね。


・審査について
審査員に事前に動画を共有する余裕がなかったので、当日の配信を見てもらいながら審査を行って、結果をネット上で共有してそのまま審査結果の発表を行う方式にした。


動画の提出期限から2日後に配信をするというのは正直馬鹿でした。死ぬかと思った。
後述しますが、GoogleDrive等を使用して動画を送ってもらった際に、ダウンロード権限を付与してくれていないためにダウンロードができないといった事例が多発したり、ほぼ全員動画のタイトルをつけていなくて何が何だかわからない状況の中、配信予定時刻までに準備を終えたのは偉すぎた。


③ 第二回大会について

実はe-jugg直前にDiceという舞台公演を仙台で行っており、その際の協賛返礼品準備などの後処理をしていないまま第一回e-juggをやってしまっていた。e-juggも配信して終わりではなく、賞状や賞品を集めて発送する業務もあったので、4月はe-juggとDiceの後処理をひたすらやった。それらもひと段落したGWに宮田さんから連絡をいただき、「WJD in Osaka 2020」はオンライン開催となるという話と、そこでイベントの一環として第二回e-Juggling Competitionをしてほしいという話をされた。第一回大会と異なり、準備にも時間をしっかりとれそうということでこれを快諾して、第二回大会の開催が確定した。(第一回の大会時は複数回やることを想定していなかったため、「e-Juggling Competition」という名称だったが、第二回からは「第〇回e-Juggling Competition」という名称で開催している)

第二回大会はWJD運営さんの方でWEBページを作成してもらって、そこに要項などの情報をすべて載せてもらったので、下記URLから確認することができる。
http://wjd-osaka.com/2020/e-juggling/


スケジュールは
エントリー期間:2020年5月16日~同年5月23日
動画提出期間 :2020年5月25日~同年6月13日
大会日時   :2020年6月20日(土)17:00~


第二回大会の特徴的な部分は
・宮田さんのアイディアでエキシビジョン部門を新設した
・Youtubeだけでなくニコニコ生放送でも同時に配信をした
・e-jugg側では募金を行わず、WJD側で一括して募金を募り、その一部を頂いて運営を行った
といったものが上げられ、その中でもとりわけエキシビジョン部門については大きな転機となった。
エキシビジョン部門は動画編集無しのジュニア部門やシニア部門と異なり、動画の編集をいくら入れても良い部門になっている。正確には、「編集を施した演技作品」を募集した。ジュニアやシニアほどの人数は集まらないものの、毎回一定人数がそれぞれ独創的だったり綺麗な作品を提出してくる場として、第五回e-juggまで残り続けることになった。エキシビジョン部門の動画はほとんどがYoutubeにアップされているはずなので、よければ検索して見てみてほしい。


④ 第三回大会について

第二回大会が終わった直後からJJF2020の運営に入った都合でe-juggのことは忘れて活動をしていたが、8月・9月になってもいくつかのオフライン大会が中止になってしまったので、まだ情勢的にe-jugg続ける必要がありそうだな…と判断して第三回の開催を決定した。
第三回大会はe-juggの形式が完全に確立した大会でもあり、運営が一気にしんどくなった回でもあった。

スケジュールは以下のような感じ。
9月26日 一次エントリー開始
10月15日 一次エントリー締め切り
10月17日 二次エントリー開始
10月25日 二次エントリー締め切り
11月12日 二次エントリー動画提出締め切り
11月22日 第三回e-Juggling Competition


第二回からの大きな変更点はこんな感じ
① 審査を当日審査ではなく事前審査に変更
② ロゴデザインを作成してもらい、配信画面の背景などを大きくアップグレードした
③ 公式グッズを販売開始
④ エントリーフィーを取るようになった(全部門共通1,000円)
⑤ WEBサイトを作成 https://e-juggling2020.wixsite.com/mysite
⑥ 申し込みを一次エントリー、二次エントリーの2つに分けるようになった
⑦ 使用楽曲に制限を設けた
⑧ エントリー時にエントリーネームのフリガナ等、ないと困る情報をしっかり収集するようになった

といった感じで、大幅なアップグレードを施した。前述したように、このアップグレードが私をかなり苦しめることになる
というのも、例えば①のように審査を当日審査ではなく事前審査に変更すれば、事前に審査員に審査するための動画を送る必要があるため、配信用映像を作成する前に審査専用の映像を作成する必要が出てきてしまう。(当日配信用のしっかり作りこんだ映像を準備してから渡すと審査が間に合わないため、最優先で審査に耐える最低限の動画だけ作る必要がある)
②や⑤も同様で、準備に必要な工数が一気に増えるため、大会としてのクオリティ向上と引き換えに大変にはなる。本来であればそれに応じて人員ももっと増やす必要があったが、それをしないままだったのもよくなかったと反省しているが、人を増やすための予算もなかったので仕方がない。
④や⑦に関しても確認の工数が一気に増大した。特に⑦に関しては、条件を満たしていることを示すスクリーンショットを提出することと定めていたが、大半の出場者は一部の情報分しかスクリーンショットを提出してくれなかったので、不足分はこちらで検証を行うことになり、非常にしんどかった。この部分は改良の余地も少なく、第五回e-juggまで大変な思いをすることになった。だが、「正しいスクリーンショットを提出していないのでこういうものを提出しなおしてください」と一から説明して対応するよりはまだ自分で調べる方がまだ早く済んでしまうので自分で調べるしかなかった。少し手を抜いてもいいのでは?という指摘はあったのだが、実は条件を満たしていない楽曲を使用しているのに提出してくるケースが後を絶たず、確認しないまま放映するわけにもいかなかったので、作業量軽減もなかなか難しい。

上記取り組みを通して、第二回大会までの付け焼刃のような運営からしっかりそういう業者が放送してるなみたいな雰囲気に近づけることができたのは良かった点でもある。


・資金面について
これまでは寄付を中心に運営してきたが、今回初めて出場者からエントリーフィーを頂くようにした。寄付がないと大会が成立しないという状況は持続性の観点から好ましくないので、今回の大会からは「エントリーフィーのみで審査員およびスタッフへの謝礼を含めた運営に本来必要なすべての経費」をしっかり賄うことができる状態を目指すことにした。
エントリーフィーだけで大会が運営できることをしっかり世に示すことで、今後別の団体が同様の大会を開くための敷居を下げたいという意図もあった。

エントリーフィーの1,000円の算出基準については、
・第2回e-juggの出場人数が50人程度で、第三回e-juggの支出概算が5万円程度なこと
・いきなり高額なエントリーフィーを要求すると炎上する恐れがある
といった内容を踏まえて決定した。(BASEというサービスを使用して集金しているので手数料が持っていかれて1人当たり880円程度入ってくる)
オンライン大会だとオフライン大会と異なり会場費がかからないが、代わりに配信機材や賞状・賞品を送るために別途費用が掛かる。しかし、残念ながら「オンライン大会だから会場費がかからない分安上がり」という勘違いが多く存在するため、そこには配慮をする必要があった。今後オンラインでの運営もかなり費用が掛かるんだよということを理解してもらいたくてこの記事を書いている部分もある。

結局、エントリー数が一気に減少し30人強になってしまい大赤字になってしまったので、急遽追加で寄付も募集することにした。多くの方のご協力があり、赤字の補填をできただけでなく、かなり余剰金が発生したため、これが残り2回のe-juggの原動力になった(仮に赤字になっても補填可能という安心感は大きい)
残念ながらエントリーフィーだけで運営をすることができなかったという課題が残り、第四回大会以降もこの解決が私の裏目標となった。


・ロゴデザインについて
ロゴデザインはふいきっくさんが作成してくれた。実はこちらから依頼したわけではなく、先にふいきっくさんから作って良いですか?と聞かれて、こちらとしても非常にありがたい申し出だったので、そのままお願いすることになった。WEBページや配信ページには基本的にフリー素材の画像を使っていたが、こういった専用のデザインを用意してもらえるとWEBや配信画面が一気にマトモなものになった感じが出るので非常にありがたかった。大会の雰囲気が良くなっただけでなく、個人的に非常に励みになった。

・一次エントリー、二次エントリーについて
今回からエントリーを二段階に分けている。
これまでのエントリー方式だと完全に先着順でエントリーとなるため、ルーチンを用意しているにもかかわらずエントリーに間に合わないことで出場できない可能性があった。それを解消するため、エントリーと同時に動画の提出を行う1次エントリーを用意した(2次エントリーは従来の方式と同様で、エントリー完了後所定の日までに動画を提出する方式)
早めに動画を撮影した人は必ず出場できますよという保証を付けることで、参加をしやすく、そして運営目線だと早めに動画が集まるのでタスクが集中せずやりやすいというメリットがあった。今回は1次エントリー利用者は8名程度だった。


⑤ 第四回大会について

第四回大会は、残念ながら2021年の3月も各種学生大会が中止になってしまったことを受け開催した。(第三回大会実施時は既に第四回大会まで予定していて、そこで最終回とするつもりだった)
運営が一番しんどい回でもあった。

スケジュール
1次エントリー
※エントリーと同時に動画提出、枠制限なし
開始:12/20
終了:1/30

2次エントリー
※先着順
開始:1/31
終了:2/7
動画提出締め切り3/5

本番:3/20


第三回大会からの主な変更点
・先の赤字を踏まえてエントリーフィーを1,500円に変更
・採点方式の変更
・スタッフの増員

第三回大会までは私・やむくんと司会音声担当、雑務担当で4人でやっていたが、審査用の映像作成を担うスタッフを増員した。

真面目に計算をした結果、エントリーフィーを1500円とした場合44人エントリーすると黒字になる計算となった。宣伝を頑張ったことや、時期的な都合もあり二次エントリーが完了したタイミングでは53名のエントリーが確認できた。勝ち確かと思われたのだが、なんとそこから15名が動画を提出せず棄権したため、赤字転落した。中には動画を提出もせず棄権の連絡も全く入れない、そしてこちらから連絡をしても返信もないような人もいて、前述の赤字転落と重なってやる気がかなりそがれた。運営しているのも人間なので、もう少し誠実な対応をお願いしたい。こんな適当な扱いを受けてまでなぜ自分が大会の運営をしているのか本気でわからなくなってしまった。

大会自体の話に移ると、大枠は第三回大会でほとんど完成していたので大きな変更はなかった。あったところといえば、点数の算出方法を変更した程度である。これは、審査員ごとに点数の偏差が異なる事例があったため、それを打ち消すために導入したものである。(審査項目ごとの重みづけは以前と同じままにしてある)
具体的に説明すると、例えば演技構成点を100点満点でつけることになった際、審査員Aが60点~40点の範囲で点数を付けたのに対し、審査員Bが100点~0点の範囲で点数を付けた場合、最終順位が審査員Bのつけた順位に近づいてしまう可能性が高い。それに対して、偏差値を算出してから足し算することで審査員ごとの点数のつけ方による影響が出にくくなる。この計算方法は、じゃぐなぎ杯という大会の方式を参考にしており、非常に良い方法だと思っているので是非ほかの大会でも導入してほしい。

第四回大会は、配信中に地震が起こる、大会終了後私が過労なのか体調を大きく崩し2週間近く布団で寝ているだけの日々を過ごす羽目になる等、さんざんであった。


⑥ 第五回大会

第五回大会の運営コンセプトは、楽をする。第四回大会は経費を節約するためにスタッフの増員を少なくする等していたが(その分人件費のかからない自分が動けばいいという本末転倒な考え方になってしまっていた)第五回では赤字になっても構わないから私が体調を崩したりしないで運営できるようにという点を強く意識した。正直社会人として本業が別に存在していてそれで生計を立てているので、ジャグリングイベントの運営で疲弊して倒れてしまうわけにはいかないのだ。

大会直前に第二回大会でお世話になった宮田さんからWJDで第五回e-juggを行ってくれないかと打診を受け、想定以上にコロナの感染拡大が収まらないことでオフラインのイベントが中止になり続けている事実や、この大会をここまで続けるきっかけになった宮田さんに恩返しをしたいといった気持ちも踏まえて開催することにした。

スケジュール
4/24 エントリー開始
5/27 エントリー締め切り
6/19 配信

今回は赤字になろうと無茶しない運営をすることを前提としていたので、第四回大会の2次エントリーのように、参加者を増やすために用意していたものを無くすことにした(2次エントリーのように、先にエントリーしてから動画の提出をするタイプのエントリー方式では、エントリーの敷居が低くなり、かつエントリーしてしまったので頑張って動画を撮ろうと思ってもらえるので結果的に参加者が増えることが想定されていた。残念ながら第四回大会の大量棄権を見るにその想定は正しくなかったようだが)第五回大会のエントリー方式は第四回大会の1次エントリーとほとんど同様である。

また、第三回・第四回とWEBサイトの運営は私がやってきていたが、正直不慣れなこともあり重荷であった。今回はWEBサイトの業務を新しいスタッフにお願いすることにし、負担軽減とWEBサイトの刷新を行った。個人的にはWEBページ更新が早くなったことと、WEBサイトそのものの見やすさにこだわってもらったことで使用しやすくなるメリットがあったと思う。負担もかなり小さくなった。

また、第三回大会以降じわじわと動画提出締め切りから本番までの日程を長くするようにしてきたが、今回は思い切ってかなり長めにした。毎回配信前夜が徹夜になるなど、明らかに無茶な設定だったので、これでも短すぎだったかもしれない。(おそらくこれ以上長くするとTwitter上で不満を言う人が現れそうだが)

最終回だから出ておくかという人が多くいてくれたことや、WJDおよび零運営の方でも宣伝をしていただいたこともあって、想定以上のエントリーが来た。第四回大会の赤字をちょうど補填できる程度の黒字になり、黒字にこだわった第三回・第四回大会の結果は何だったのかと思うような結果になった。


⑦ スタッフについて・仕事の分担について

中心メンバーは自分とやむ君の2名で、途中からメンバーが増えいったが、基本的に協力者のようなポジションで入ってもらって、仕事は私から依頼するという方式だった。

 第一回大会・・・上田、やむ、上田の配信補佐の人(匿名希望)の3名
 第二回大会・・・司会音声さん(匿名希望)追加
 第三回大会・・・ふいきっくさん追加(審査員用動画や放送用動画の素材作成)
 第五回大会・・・じゃぐたくさん追加(WEBページ作成)

 最終的に6名で実施していた。大会運営にしては明らかに少ないと思う。


⑧ 配信の方式について

 配信の基本スタンスは、「予め放送用動画を作成しておき、それを取り込んで放送する」としていた。それぞれの映像を手動で切り替えながら配信することも可能で、その方が事前準備は楽になるが、配信クオリティを高めることを優先してこのような形式となっている。

・第一回大会はまだ司会がいなかったので、司会音声を私が自分で録音して動画化した。ただ、当時は審査員に放送を見てもらいながら審査する方式だったため、審査結果発表の映像を事前に作成することができなかった。審査結果発表は生でマイクから私の地声で行った。

・第二回大会も基本は第一回大会と同じだが、司会音声を事前に依頼して作ってもらったので自分の声を入れなくて済んで楽になった。また、審査結果発表も、動画編集ソフトのプロジェクトを予め作成しておき、審査結果が出そろったらプロジェクトをその順位に応じて編集して書き出しをし、それをそのまま放送に持っていくという手段にした。
(変な放送事故は起きにくい反面、動画書き出しに時間がかかるためエキシビジョン部門終了から結果発表までは長い時間が必要で、30分程度お待たせしてしまった)

・第三回大会は審査を事前審査にしたが、結局エキシビジョン部門の結果は当日までわからないので第二回と同様結果発表までの時間はかなりかかった。(事前に他部門は結果がわかっているため15分程度だったと思う)

・第四回大会・第五回大会では、予め審査結果発表の映像をエキシビジョン部門の出場者分作成した。すなわち、エキシビジョン部門のエントリーNo.1の人が優勝するナレーションの動画、No.2の人が優勝する動画、…… という感じで差分を作って作成しておき、エキシビジョン部門の結果が判明し次第その人用の動画を再生して審査結果発表を行うようにした。エキシビジョン部門の投票終了直後ラグなしで審査結果発表に移れる、最も最適化ができた方式だと思う。


⑨ 運営中に発生したトラブル一覧

・動画を正しい形式で提出してくれない
・ドライブのアクセス権付与していない問題
・人によって音量バランスが全然違う問題
・使用楽曲関係の情報の不備
・大量の棄権
・エントリー・質問フォーム連投問題(フォームに回答したものの回答が遅いからと言って何度も同じ内容のフォームを連投されてしまう)
・こちらから設定した問い合わせ先使ってくれない問題(問い合わせフォームに一本化したいのにTwitterのDMに来る)
・期日までに入金してくれない問題
・運営中にPCが故障する

等々。おそらく抜けがある。運営する際は不慮のトラブルが必ず発生すると考えて余裕を持たせておくべき


⑩ 審査員について

審査員は当初ジュニア部門用に3名、シニア部門用に3名に依頼していた。
第三回大会からは出場者が減少したことと、3名だと外れ値が出た際の影響が大きすぎるということを踏まえて、両部門共通4名の審査員に依頼するようにした。
審査員選定はやむ君にお願いしていたが、実は出場者の道具傾向を踏まえて審査員を決定していたようである。
毎回非常に多くの、しかも多種多様な種目の審査をしなければならず、審査員の方々には負担を強いてしまったのですが、ご協力いただけてとても助かりました。ありがとうございました。


⑪視聴者数の推移

 同時接続の数は、
 第一回・・・250人
 第二回・・・250人
 第三回・・・200人
 第四回・・・200人
 第五回・・・300人
 といった推移だった。途中少し減ったものの、最終回はWJD及び零の方で宣伝してもらったおかげもあり過去最高になった。この値から、現在のアクティブなジャグラーの数も見えてくるのかもしれない。

余談だが、動画の再生数は配信時間に左右されることもあり、第二回が最大の3200回再生となった。
無駄な時間を省いていった結果、最終回は配信時間が2割程度短くなり、再生数は2500回だった。


⑫ スポンサーについて

e-juggへの支援は下記の2種類で可能としていた。
①大会入賞者への賞品の提供
②第一回~第三回大会における直接の金銭的な寄付

WEBページやTwitterでスポンサー様として紹介していたのは①の方のみ。ほとんどのスポンサー様が団体や何かしら宣伝したい内容を持っている個人だったので、審査結果発表やTwitterでの積極的な宣伝を行い、少しでもスポンサーをしていただいた分のリターンができるように努めた。とはいえ、明らかに費用対効果が出ていないと思われる中でスポンサーをしていただいて本当に助かりました。ありがとうございます。
②に関しては、第一回と第二回は集金方法の都合で誰がいくら送ってくださったのかがブラックボックス化されており、紹介することができなかった。第三回では私の口座への銀行振り込みで寄付を募ったので、掲載OKの方のみWEBページで紹介させていただいた。第一回と第二回大会はそもそも寄付のみを収入源として大会運営をしており、第三回大会でも赤字が出てしまったため寄付を募ったという経緯もあり、多くの方から寄付を頂けて非常にありがたかったです。(さすがに土居さんから尋常じゃない額の送金が来たときはびびって冷や汗が止まらなかったが…)


⑬ 経費について

経費は
・審査員や協力者への謝礼
・賞状等発送物
・賞品・賞状発送代金
・配信機材の補修費用
といった内容に使用させていただいた。

(1)収入
第四回大会、第五回大会はエントリーフィー制を用いたが、大体収入全体が5万円程度となった。
BASEを使用して集金したので、1,500円入金してもらった時に私の手元に届くのは手数料が差し引かれた1,391円となる。また、大会終了時に私の口座へ振り込みをするので、その際に手数料が440円引かれることにも注意が必要である。手数料がもったいないといわれるかもしれないが、銀行振り込みで集金すると私が更に多忙になって死ぬのと、銀行振り込みでも手数料は発生する場合が多いことも鑑みてこの方式とした。


(2)支出
・協力者への謝礼は一人4,000円程度お渡しした。正直割に合う金額ではなく、せいぜい作業や審査の際の食費や諸経費だけでなくなってしまう額だと思う。予算の都合でこれが限界だったが、もっと金回りの良い環境になればいろんな人が企画を作れて良い世界になると思うのでそうなることを願っている。

・発送物に関しては、ジャグリング道具等宅配便じゃないと送れないものと、郵便で送れるシャツ+賞状の組み合わせのものの数によって支出額が変動する。宅配便で発送する場合は一人当たり1,050円~1,650円程度となり、郵便で送る場合は510円だった。
また、賞状を買ってきて印刷する費用や、発送用の段ボール・緩衝材・クッション材付き大型封筒等の購入費用も掛かる。入賞者7名で1万円程度の支出になるパターンもあったので、同様の大会を企画する場合は注意が必要。

・配信機材の補修費用
これは本来計上するつもりがなかった内容なのだが、第一回大会の動画編集及び当日の配信に使用していたノートPCが第一回大会直後に疲労でファン故障を起こしてしまい、修理に15,000円程度かかってしまったことで計上することにした。元々配信に必要な機材は私がすべて保有していたので、どれに対してどの程度計上するべきかがわからなかったため、「配信及び準備に使用したPCの価格の36分の1を計上する」という方式を取った。これは個人事業主においてPCの減価償却を36か月で行うことを参考にしており、大体1回大会をやるごとに1か月程度PCに負荷をかけるため妥当かなと考えている。(配信専用にPCを買い増ししたりしたこともあったので割に合っていたかは怪しいが)

・その他
実は私の自宅だと回線速度があまり早くなく、e-jugg配信中にかくついてしまうリスクなどがあった。そのため、遠方にある回線の早い場所まで移動して配信を行っていたが、その費用については計上していない。状況によってはほかの団体が大会をしようとした際に費用計上が必要になる可能性もあるので記しておく。この分を計上してしまったらどうやっても黒字にはできなかったので諦めた。


⑭大会が目指していたもの

e-Juggling Competitionが目指していたものは大きく分けて2つある。
一つ目は、オフライン大会がなくなってしまってルーチンの発表の場を失った人へ可能な限りそれを提供し、ジャグリング界の衰退を防ぐこと。二つ目は、本来大会運営があるべき姿に近い状態で運営を行い、その実現可能性を示すこと。

一つ目を実現するために、大きな大会が中止になるたびにe-juggを企画するようにしていた。例えば、第一回大会は関西学生大会の中止を、第三回大会は2021年の静岡ディアボロコンテストが中止の発表をした際に実行を決定した。大会出場を希望する人達のセーフティーネットとなるべく、大会の部門も最小限のものにするように意識している。流石に歴制限を設ける大会が多い中でそれすら撤廃してしまうと、逆に歴の浅い人たちが出にくくなってしまう可能性が高いので、ジュニア部門とシニア部門だけとした。男女で部門を分けてそれぞれで枠を持つとうまく機能しない可能性もあったので、ここは統合してしまっている。

二つ目については、具体的に説明すると。「本来お金を受け取るべき人がちゃんとそれを受け取れる」が目標である。それは、必要経費をしっかり収入の中で賄ったうえで、謝礼をお渡しできる余力を残す必要があるため、実現は案外難しい。あまり高いエントリーフィーを得るようにしてしまうと、出たくても出られない意味のない大会になってしまったり、反感を買って炎上してしまうリスクもある。かといってエントリーフィーを低くしすぎると赤字になり私の私費で賄う必要が出てきてしまう。バランスが難しいのだ。
さて、なぜこれを目指すのかというと、今後のジャグリング界のイベント持続性のためである。学校の文化祭実行委員のように、無償で運営をやってくれる人もいるが、これに加えて赤字になり自分たちのお金を持ち出す必要が出てきてしまってはどんどん運営をしたい人が減ってきてしまう。大会審査員についても好意でやってくれる人もいるだろうが、多少でもお礼を受け取ることでより質の高い審査をしようという気も出てくるだろうし、何よりやりがい搾取の状況は健全ではない。同様にスポンサーをしたらそれに見合った宣伝効果が得られるべきである。遠い未来で、ジャグリング人口がもっと多くなって、運営や審査員をすることで生計が立つような世界になることが究極的な目標だが、そのための第一歩として、まずは自分が主催する大会で最低限のところを達成したい。そのために色々と調整したり努力はしてきたつもりだし、第五回大会ではその条件を満たして黒字を達成することができてとてもうれしい。

⑮さいごに

煩雑でまとまりきっていない部分もあるものの、e-juggについての情報をまとめるとこんな感じになります。もしもオンラインイベントをやろうと思っている人や、数年後にe-juggを思い出したい人などの参考になれば幸いです。

最後になりますが、大会に関わってくれたすべての人に感謝しています。ありがとうございました。いつかオフラインの大会で会いましょう。

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