不特定への電話

電話というものは不思議だ。
声が電波を介して相手に届いている。
電波は波である。
電気という化学に加え、地球が回転している事で得られる磁力によって波が発生する。
我々はこの波を使い言わば魔法のような力を得ている。

波は様々に利用されているわけで、
万能ではない人間は、その波達を完璧に制御している訳では無い。(そもそも目に見えない波を管理している事がおこがましいと思えるのだが。)
使用しただけで違法とされるような周波数もあるのだ。

さて、波が正しく制御出来ていないとなると、
こんな事も考えられるのではないか?

ある日、全く知らない人からの電話、
その人はどうやらあなたを勘違いしているらしく、
声を荒らげている。
「おい、例の男を殺しちまった。本当は殺したくなかったんだが、俺の妹を散々レイプしたんだ!やっぱり許せない!しかも、母親を侮辱されて、つい頭に血が上って撃っちまった。まあ後悔はしてない。むしろスッキリした。ただ、警察に電話を入れられた!早くそっちもアジトから逃げろ!」
無くはない。
こんな事がもし起きたら、あなたは何を考える?
面倒事に巻き込まれたくないと無視をする?
とりあえず考える事を放棄して、または貴方なりの正義感で警察に届ける?
殺した男に感化される?
無視という選択は、寝付きは悪いが、まあ殺しをした男が、間違え電話に気づき口封じに来なければ安泰だろう。
自身の身を守るという面では警察に行くのは正しい。
ただ、もし貴方に妹や母親が居て、少しでも男の立場になれば、その考えには至らないのでは?
殺した男に正義があると、感化された場合には、彼に間違え電話である事を伝えるべきだろう。仲間が逃げ遅れないように。

こんな場合もある。
「もしもし、見知らぬ人。今、強盗に軟禁されているの。彼らにスマホは没収され、固定電話は壊されたけど、電話線は何とかつながってて電気は流れているから、露出した電線をショートさせて信号をおくって、あなたに電話が繋がったの。お願い、助けて。電話は切らないで。」
これは簡単な2択である。
助けるか、助けないか。
ヒーローになるか、ならないか。
電話を切るか、切らないか。

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