3rd TOUR 2023 Final 櫻坂46がしっかり芸術だった話

今回の櫻坂のライブ、あまりにも心が動いたので感想書き殴り。


〇欅坂の思い出語りと櫻坂への印象

最後に現地で見た櫻坂(欅坂)のライブは2019年9月の東京ドーム。そのとき抱いた感想は、「やはり彼女達は"芸術家"という意味での『アーティスト』なのだ」というもの。芸術性の高い鑑賞物としてのライブ。

平手友梨奈様という絶対的存在、彼女の存在が生み出す爆発力、今にも崩壊してしまいそうな不安定さが醸す儚さこそ欅坂の魅力なのだと感じた。
そして平手友梨奈様の喪失、櫻坂への改名を経てそれらは失われ、櫻坂以後のライブにあまり魅力を感じることができずにいたが、今回のライブで櫻坂の何たるかを教示されたような気がする。

これまでの櫻坂に対しての印象は、「当たり障りのない感じ」「角が取れて丸くなったかな」というものだった。それは楽曲に対してというよりは、むしろパフォーマンスや演出に対して。

そこにはもちろん欅坂が宿していた「不安定さ」との対比があって。欅坂の、歪で、尖っていて、今にも崩れそうな儚さ。あの時、あの瞬間に奇跡的に集った、あの少女達にしか創り出すことのできない魅力。僕はその脆さ・儚さにこそ「アイドル」としての強さを感じたし、それこそが美徳だとさえも思っていた。


〇櫻坂の魅力について

僕が感じた櫻坂への印象―「当たり障りのない感じ」―は、年月を重ねることで魅力へと転換された。「当たり障りなさ」はそこだけを切り取ってしまうと陳腐に見えてしまうかもしれないが、その蓄積の先には安定感・安心感の形成という段階が待っているのではないかと思う。

安定感とは、年月と共に醸成されていくもの(そもそも前例のないものに対して「安定感がある」と揶揄するのは語義的矛盾だろう)。当初「当たり障りがない」と感じていた彼女達のパフォーマンスは、月日を重ね、積み上げられていったことで「安定感のある高いクオリティ」へと昇華した。「安定感」が評価されるのは、その言語的規定からして一定の積み上げを経てからでしか有りえない。今の櫻坂は、まさしくその「評価」の段階へと差し掛かっているのだと感じた。

同時に、楽曲のメッセージ性についてはパフォーマンスの安定感と相反して、欅坂の頃に感じていた刺激がある、みたいなところもまた良くて。

欅坂から続く芯の部分というか、社会で腫れ物扱いされている人間に対して手を差しのべてくれる、肯定してくれるようなメッセージだったり、権威への反抗的なスタンスだったりは変わらず根底にあって。この点こそ僕が欅坂を好きになった真髄の部分だったから、そこがちゃんと生きていてくれてすごく嬉しかった。

〇情景をリアルに落とし込む演出

欅坂時代から続く「魅せる演出」のクオリティの高さを強く感じたし、照明やスクリーン、メンバーの表情や動きで作り上げる幻想的空間の美。ブルームーンキスとかね。
あと「五月雨よ」。セカアイセゾン大好き人間だったから、ライブ空間に情景描写を再現するような演出がたまらなく好きで、「五月雨よ」は楽曲の切ない心情も相まって胸が熱くなった。
あと山崎天が強すぎる。

そして、ラストの桜月。桜月は正直これまであまり魅力を感じていなくて、それこそ当たり障りない感じの卒業ソング的なやつか、程度の認識だった。なんでCoolが表題ちゃうねん、そっちの方が櫻坂っぽい感じしないか?とすら思ってた。
が、桜の木の下でひらりと舞う守屋麗奈を見て完全に考えを改めさせられた。
楽曲の世界観を現実空間に落とし込む演出、表現。今ここにしかない空間、アウラ、すなわちその一回性。これこそが櫻坂なのか。
更に推せるのが本編の終幕がメンバーの挨拶とか礼ではなく演出の内に組み込まれていること。この演出自体は他のグループでもやってたりするけど、ここまで作品性を持たせた終幕を魅せてくれるあたり、やっぱ彼女達は「アーティスト」なのだなと思った。


〇3期生について
最初のダンストラックから、演出もダンスも新規加入のメンバー達だと感じさせない。日向坂だと初々しさを押し出すところなんだろうけどね。敢えてクールでキレのある、突き刺さるようなダンスパフォーマンス。
からの夏の近道、曲調はフレッシュで演出も明るいっていう抑揚。コントラストで魅せにきてる。芸術ですよね。

Dead endの3期単独も痺れたけど、やはり特筆すべきはBANだと思う。
え、BANを3期だけでやるのか!?って驚かせられたかと思えば
1番を3期ちゃんだけでパフォーマンスして2番で颯爽と姉さん達登場。ヒーローが遅れてやってくるというのはベタなんだけど、ロマンに溢れた定石だとも思うわけで。「お前ら無事か!?助けにきたぞ!!」の美学。森田ひかるをモーゼと見紛うほど。そして2サビ終わってからのダンスパート。3期含め、集った大所帯でガッツリ踊る。観ていて高揚が抑えられなかった。

櫻坂の3期生は完成度が高い、というのはなんとなく耳にしていたけど、想像の遥か上だったし、そのうえで1期・2期の姉さん方が頼もしく映るものだから、グループとしての洗練が過ぎる。



結論、今回のライブは、僕みたいな欅の亡霊を成仏させてBuddiesにさせるには十分すぎた。普段お気持ちを言語化しない自分がこうして感想文書いてるくらいだから、このライブの持つパワーというか、その辺の衝撃が伝わっていてほしい。
櫻坂になってからは現地参戦できてないし、今度ライブがあったら是非とも投げたいですね。

櫻坂46さん、最高のライブをありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?