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相続人不存在の方の場合

我が国の少子化の問題が、長い間取り沙汰され、また国の存亡を揺るがしかねない危機だと専門家の方が喧しく伝えております。

日頃、お客様の遺言作成や相続手続きをサポートする立場でお客様のご家族状況を伺ったり、戸籍謄本等を拝見して感じたことは、子供さんのいないご夫婦や独身で婚姻歴が無い方も相当数いらっしゃるという事です。(先日、確率のことを調べてみたら、生涯独身の男性の割合は約20%だそうな!)

そしてそういった方の相続が発生した時、兄弟姉妹、甥姪が相続人になるケースも多いのですが、中にはごきょうだいがおらず、一人っ子だった境遇の方もいらっしゃいます。そうなると相続人不存在となり、遺言書が無ければ、どなたも(たとえ、いとこ等の親族であっても)受け取る権利が無いのです。

ご自身が築いた財産やご先祖様から受け継いだ財産の行方を気にされる方の
終活対策の相談を受けたとき、「遺言書」の作成をお勧めしています。
その際に財産を受け継ぐ方の指定を考えるにあたり、複数人を指定するのではなく、おひとりの方に「包括遺贈」をされた方が、後々のお手続きを任せるのにスムーズにいくことが想定できます。

なぜなら、相続手続きをご経験された方なら「思った以上に相続の照会等を役所や金融機関にするとき大変だった」と感じているのではないでしょうか。
窓口の方「お客様は、亡くなられた方のご相続人のでしょうか?そうでない場合はお答えできません。」と、にべもない回答を受けて呆然としたことも多いと思います。たとえ相続人であったとしても、それを証明しないと先に進まないのです。(この場合は、戸籍関係等を一通り提示すれば、基本的には受け付けてくれます。)

民法990条は、包括受遺者の立場を相続人と同一の権利を有すると記しています。つまり包括受遺者だということを証明すれば(遺言書の中で包括受遺者として記されていることを見せ、また包括受遺者自身の本人確認も)
死後の手続き等もハードルは低くなると推測します。(携帯電話等の解約等の手続きも包括受遺者であれば、前に進むでしょう。併せてこういった死後の事務手続きも「死後事務委任契約」を結んでおくと良いようです)

誰しも亡くなった後の事を想像するのは、ピンと来ないのですが、、、大変な事が多いのです

また相続人不存在の方で、農地を所有されている方の場合も厄介です。農地は相続人が承継するという原則があり、遺言書の中で相続人以外の人に特定遺贈した場合、農業委員会は認めることは原則無いようです。こういった場合も「包括遺贈」で相続人以外の方に承継するように話しています。

相続人全員と相続人全員と没交渉な方及び相続人不存在の方、またはそういった境遇の方の近くで普段サポートや介助されている方は、その方の亡くなったあとの事態を想定した場合、一考に値すると思います。なかなか財産を託せる方が思い当たらないと言う気持ちもあるとは思いますが、まずは考え始めてみましょう。

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