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想定外の相続手続き その2 遺言の有無を調べる

 前回は、戸籍関係書類を取得して、相続人を確定するところまでお話しいたしました。

ここまでお読みいただいて、「あれ、うちの親父の相続人と言ったら、俺たち子供3人だよ。そんなの調べる必要あるの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
相続手続きを行うに際して、法務局や金融機関へ添付書類として相続人を確定させる資料となるものが「戸籍関係書類」なのです。
中には、親に婚姻歴(親の前妻や前夫など)があり、そこに子供がいたりすると
想定していない相続人が浮上してくるケースなどもあります。

さて本論に入ります。

この後は、相続人の方が遺言を遺していたかの確認になります。

遺言は主に次の2種類で作成されるケースが大半です。
①自筆証書遺言
②公正証書遺言

①については、家の中に保管してあったり、家族のどなたかに預けていたり。
そして2020年7月以後の分については、法務局による自筆証書遺言の保管制度が始まりましたので、そちらに照会もします。

②公正証書遺言については、同じ内容のものが3通出来上がります。「原本」は
公証役場に保管してあり、「正本」と「謄本」は遺言者ご本人に渡されます。
なかには信託銀行等を通して作成した場合は、信託銀行等が正本を保管しているケースがあります。そちらにも照会をかけても良いです。

何故、ここまでやるのかとお思いの方もいらっしゃるでしょう。

遺言書があった場合、遺言書は、遺産分割協議に優先します。また遺言書は日付の新しいものが優先しますので、厳密に言えば、相続手続きの初めに、遺言書の有無と遺言書があれば、それが最新のものなのかを確認するのがベストだと思います。

特に手元にお持ちの遺言書で、ご家族のどなたかご自身が遺言執行者に指定されていた場合は、他の遺言の有無を相続人全員に確認するのが、望ましいでしょう。

時として途方にくれる手続き、果して相続の森から脱出できるのか?

大袈裟な話かもしれませんが、他の遺言の有無の確認を怠り、手続きをした遺言者より日付が新しいものがあった場合、
それに関して不当利得の返還など思わぬ事態に発展する恐れもまま、あるようです。

相続人が親子関係などお互いがよく知っている間であれば、まだしも、被相続人が独身で相続人が兄弟姉妹や甥姪などあまり交流の無い間柄の場合は、相続人間でコミュニケーションが取りづらいケースなどは、特にご注意された方が良いケースもあります。
             続く

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