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[HipHop] MAVI 若きBlack Beauty の表現者

HipHopというのはアメリカも日本も世界どこでも地元の仲間を家族のように大切にするところがある。
しかし、最近よく聴いているアメリカのシャーロットの若いラッパー MAVIはどういうわけか孤独しか感じない。
もちろん楽曲を提供するトラックメーカーは何人もいるし、その中にはMAVI自身が敬愛する Earl Sweatshirt (アンダーグランドシーンで重要で尊敬されているアーティスト)も含まれてる。しかし、MAVIが表現する音楽にはどうしようもない孤独が含まれているように感じる。
調べてみると、MAVIは名門大学に通う学生でもあり、黒人のカルチャーを深く敬愛しているようだ。彼の音楽と詩は知性と芸術への造詣に基づいている。孤独というより孤高の存在のようだ。

MAVIは2020年時点で21歳の若者だ。ノースカロライナ州シャーロット出身で、いまはワシントン州の名門黒人大学ハワード大で生物学と心理学を学んでいるインテリでもある。詩はもちろんパーティーチューンではなく、抽象的な内容だ。単に単語を訳しただけでは真意をつかむことはできない。残念ながら僕の知識や英語の読解力ではとても解説できそうもない。
インタビューを読むと、本をよく読み、科学と芸術は表裏一体でバランスよく学び表現力を身に着けようとする様子が分かる。
科学を科学として学ぶだけではなく、神秘性をも感じ取り、MAVIにしか表現できない芸術性を生み出そうとしている。

I’m a biology student so I believe this: there is randomness in the world. When you conduct an experiment that aims to identify causes and effects, the observable stimuli are never certainly the cause. It is always only results in a probability of 99.999%. That percentage of uncertainty is randomness. It is godliness. It is immeasurability. That part of the world that we cannot access by manipulating the forces of nature is where godliness is held and stored.
私は生物学を専攻しているので、「世界にはランダム性がある」ということを信じています。原因と結果を特定することを目的とした実験をするとき、観察可能な刺激は決して確実な原因となることはありません。常に99.999%の確率で結果が出るだけです。その不確実性の割合がランダム性です。それが神性です。それは計り知れないこと。私たちが自然の力を操作することによってアクセスできない世界のその部分こそが、神々しさを保持し、保存している場所なのです
引用: https://www.ubspectrum.com/article/2019/10/artist-spotlight-mavi

僕は新しい音楽はSpotifyで知ることが多いのだけど、MAVIもSpotifyが教えてくれたアーティストだった。
Spotityでは国籍も年齢もレビューもSNS的な評価もまったく分からない中、単に曲だけで評価する。純粋に音楽だけで自分の好みを深化させる行為はとても楽しい。

最初に「No Fear」という曲を聴いて、個性と曲の良さに驚いてしまった。何十曲と知らない曲を聴くなかで耳にとまる曲と出会うことはなかなか無い。しかし「No Fear」は聴いてすぐに特別な曲だと感じることができた。2018年の曲なので18,9歳ごろの作品だ。

https://soundcloud.com/mavi704/nofear

soundcloud の最初の曲は2015年なので16歳前後からアーティスト活動をしているようだ。

https://soundcloud.com/mavi704/sights-and-sounds

他にはRestという曲にも心ひかれた。

https://soundcloud.com/mavi704/rest

2019年 にファーストアルバム 「let the sun talk」 をリリースする
Soundcloudには全曲が1つにまとまった32分のversionがアップされている。

https://soundcloud.com/mavi704/ltst

また、各種ストリーミングサービスにも配信されている


let the sun talk (太陽に語らせる)という不思議なアルバムタイトルに対してのインタビューがある

The sun is number one; that’s knowledge. Number two is the moon, which is wisdom, and number three is the earth, which is understanding. It’s a part of the Five-Percent Nation’s ideology—a political and cultural movement that was brought to Harlem to help little Black boys learn how to love theyself. One teaching is that you are the center, creator, and master of your own universe. You are the sun to your family. One in roman is “I.” Two is wisdom, which is I plus I. If you know anything about Jamaican or Rastafarian culture, they say “I and I” to reference the singularity between us, the universe, and God. Letting the sun talk is about getting in your ‘I and I’ bag. The album’s about me repurposing that framework to create my art. It’s about tapping into the singularity.
1は太陽、知識の宝庫だ 2は月、 知恵である。3は地球、 知力である 。
これは「the Five-Percent Nation」のイデオロギーの一部であり、ハーレムで黒人の少年たちが自分自身を愛する方法を学ぶために行われた政治的・文化的な運動です。一つの教えは、あなたは自分自身の宇宙の中心であり、創造者であり、マスターであるということです。あなたはあなたの家族にとっての太陽です。
1はローマ字の "I" です。 2はで知恵あり、それはI+Iである。ジャマイカやラスタファリアンの文化では、"私と私 "という言葉で、私たちと宇宙や神との間の特異性を 表現しています。
太陽に話をさせることは、人それぞれの「私と私」という入れ物の中に入ることなんだ。このアルバムは、その枠組みを自分のアートを作るために再利用しているんだ。特異点を利用している。

※ singularityを特異点と訳すことに違和感があるけど、他にいい言葉が思いつかない

引用 https://djbooth.net/features/2019-10-24-mavi-let-the-sun-talk-interview-black-music-in-2019

the Five-Percent Nation とは 1960年代にマルコムXがイスラム教団を離れたころに、同じく教団の人物が始めた活動。インタビューにある通り、一人ひとりが創造者であるという教えがあります(一神教のイスラム教とは相容れない)。
この運動とHIP HOP については非常に詳しい解説をしたblogがあります。

また、インタビューでは影響を受けたアーティストとしてMF DOOM (語彙が多いことでも知られるラッパー)を上げており、作家としては黒人初のノーベル賞作家トニ・モリスンさんをあげていた。

今回はMAVIというどこか孤独を感じさせる黒人の若い知識人のラッパーを紹介した。
黒人の若き知識人がどのように黒人の美を感じている、体現しようとしていのか少し分かった気がしました。

If you from the people, you gonna speak the language of the people. If you not from the people, you’re not gonna get it.
I’m from the people. I’m a messenger; I’m always gonna be about this shit.
However, as a student of Black expression, I also celebrate Black beauty for beauty’s sake.
民衆から来た者は 、その民衆からでなければ得ることはできない民衆の言葉を話すんだ。
俺は(黒人の)民衆から来た。私はメッセンジャーだ 。私は常にそれでいたい。
黒人表現の学生として、私はまた、美のために黒人の美を讃えている。
※shitはうまく訳せない。
引用 https://djbooth.net/features/2019-10-24-mavi-let-the-sun-talk-interview-black-music-in-2019

YouTubeで聴けるMAVI



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