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HipHop KANDYTOWN 「Local Service2」とRyohu「Debut」


2/14はKANDYTOWNのリーダー YUSHIの命日。KANDYTOWNは毎年2/14に作品やMVを公開している。

2021年はミニアルバム「Local Service2」を配信した。

2019年に発売した2nd Album「ADVISORY」がアメリカで流行っているようなビートが多かったのに対し、今回の「Local Service 2」はKANDYTOWNならではのメロディアスな中音域に特徴がある作品が多い印象がうけた。個人的な感想としてはこちらの方がKANDYTOWNらしくて好きだ。

収録作品の「One More Dance」がYouTubeでMV公開されている。この曲は2020年の非常事態宣言中にONE MORE DANCE(STAY HOME EDITION)として配信されていた曲をブラッシュアップした作品になり、IO, Gottz & Holly Qがラップしている。
Holly Qは上杉柊平として俳優としても活躍しているのだけど、KANDYTOWNのMVではっきり映ってラップしているのは珍しいかもしれない。

HOLLY Q(上杉柊平)は2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の室町幕府御供衆の一色藤長としてちょっとだけ出演してた。大河ドラマ出演はなかなか凄いことです。
俳優「上杉柊平」は映画「リバーズ・エッジ」の観音寺役が素晴らしかった。原作の岡崎京子のグロさとポップさの両方を出すのは役者としても演出としても難しいと思うのだけど、観音崎のキャラクターは凄く良くできていると思った。観た後でKANDYTOWNのHOLLY Qと知ってかなり驚きました。
また、話題になった蜷川実花監督のNetflixオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」でも、凄く重要な役で出演していました。俳優としての活躍も期待してます。


「Local Service」+「Local Service2」はCD化も予定されている(2021/4/21)

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KANDYTOWNは大所帯なのでソロ活動も盛んだ。

最近では中心メンバーRyohuがメジャーデビューアルバム「Debut」を2020年にリリースしている。良い意味でHIPHOPらしくないPOPよりの楽曲が多い。それでもRyohuがラッブすることで違和感なく聴けるので驚いた。とてもいいアルバム。


Ryohuはズットズレテルズという高校生時代のバンドにYUSHIと共に参加していた(他にはオカモトズのオカモトレイジやハマ・オカモトも参加)。ズットズレテルズは卒業も少しだけイベント的に再活動したり、限定アルバムをリリースした。
また、KANDYTOWNの母体となったBANKROLLにもYUSHIと共に参加している。音楽的にも友達としてもYUSHIにとても近い人だったのだと思う。
現在のKANDYTOWNでもNEETSと共にサウンド面を支えてる。
そしてとにかくラップが上手く、1フレーズでRyohuだと分かる特徴的な声をしている。今回のアルバムもRyohuのラップでなければ成立しないのではないかと思いました。

このアルバムの楽曲の多くは中島美嘉、松任谷由実、キリンジ、スガシガオ、 秦基博などの少し尖ったPOPアーティスたちのプロデュースも手掛ける富田ラボがRyohuと共に手掛けている。そして、このアルバムに発売にあたりRyohuと富田ラボの面白い対談インタビューがあった。

「HIPHOPは音楽になりすぎてはいけない」

という内容だ。

これはなかなか面白い話だ。音楽という枠の中にHIPHOPがあるという解釈が普通だけど、普通の音楽の作り方からするとHIPHOPはかなり異質じゃないか?ということだ。

「ヒップホップって、「音楽」になりすぎちゃいけないと思うんですよ」
Ryohu:最近すごく思うんですけど、「音楽」というすごくざっくりとしたジャンルと、「ヒップホップ」っていうはちゃめちゃなジャンルがあって、このふたつはかなり別物なんですよ。本来、「音楽」の中に「ヒップホップ」が入っているはずなんですけど、僕のなかではかなり別物で、ヒップホップって、「音楽だけではないなにか」なんですよ。

冨田:なんとなく、わかるような気がする。

Ryohu:ヒップホップって、レコーディングのときにブースに入らないで、卓の横で録っちゃう人とかもいるんです。「音楽」の現場で、そういうことって普通ありえないじゃないですか。

冨田:そうだね。僕が「音楽」の側の人間だとすると、そこが、ヒップホップの面白いと思う部分なんだよね。たとえばサンプリング文化にしても、演奏や作曲とは違う脳の使い方だけど、同じくらい高揚できるからね。

富田ラボは、「音楽」側としてのPOP&ROCKの最高峰アルバムの一つ、ドナルド・フェイゲンのアルバム「ナイトフライ」の製作者視点の解説本を書いて話題になった。

その人がHIPHOPへのアプローチをRyohuのように楽器を演奏できないHIPHOPのビートメーカー&ラッパーとチャレンジしているところが面白い。

そもそもHIPHOPは他の音楽が楽器を演奏することで成立しているのに対し、他のレコードから音を抜いて組み合わせて曲を作るサンプリング文化と共に進化した(今はサンプリングは権利関係でいろいろ大変なので別の方法で作ることが多くなっている)。
しかも、90年代のサンプリングマシンは5分くらいしか音をとれず、制作中に外部記録媒体も使えなかったので、レコードを高速回転でかけて録音して、サンプリングマシン側で低速に戻して使ってたりした。当然、音の品質はかなり落ちるのだけど、「その粗さがいい!」としていた。
対談でいう「音楽」側からすれば有り得ないくらい滅茶苦茶な制作方法だ。

HIPHOPは不思議な音楽だと思ってきたけど、その不思議さが少し自分の中で消化できたような気がした。

僕のnoteは本来は土曜日にUPするルールを課しているのだけど、「Local Service 2」の配信を待ってからUPするために日曜日にUPした。

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