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ACE HOTEL と 柚木沙弥郎さん


ACE HOTELを知ったのはBRUTUS Casaの記事だったと思う。
その時には既にに共同創業者のアレックス・カルダーウッドは亡くなっていた。

ACE HOTELは世界中の人々が注目するホテルブランドだ。しかし、他のホテルブランドとは趣きが大きく異なる。
ホテルブランドといえば、豪華な内装、レベルの高いホスピタリティ、美味しい料理など、大きな資本とノウハウが必要なものというイメージがある。

アレックス・カルダーウッドの手掛けた最初のACE HOTEL(シアトル)は型破りだった。
共同シャワールームの部屋があったり、ロビーに誰でも使えるワーキングデスクがあったり、インテリアもユーズドだったりと既存のホテルの概念を覆すようなものだったらしい。
それだけなら単なる安宿だけど、不思議なことにACE HOTEL がポートランド、パームスプリング、ニューヨーク、ロンドンと新しいホテルを作る度に世界中の人々が注目し熱狂するようになった。
ACE HOTELは「宿泊者のための場所」というホテルの概念を、宿泊客も近隣に住んでいる人も「地元の文化を共有する場所」に変えたのだ。

特にアメリカ・ポートランドのACE HOTEL は特に注目をあつめた。ポートランドはサードウェーブコーヒー発祥の地であり、2000年以降のLife Style文化(自分らしい豊かな生活)の中心地でもある。ACE HOTEL はそのポートランドの象徴的存在なのだ。
ポートランドのロビーでは宿泊客も、地元の人も、一緒の空間でコーヒーを飲み思い思いの時間を過ごしている。

どのホテルも建物自体は昔からあるものをリノベーションしている。その土地のものを取り入れたいからだ。ポートランドのACE HOTELは1912年に建てられたものだ。メンテナンスはなかなか大変のようで、ときどき大規模メンテナンスをしながら営業しているようだ。

さて、そんなACE HOTELが京都にできた。僕はまだ行っていないが評判は良いようだ。
NTT都市開発がホテルを建てるためにあちこちのホテルブランドと交渉した結果、ACE HOTELになったらしい。

天才的な直観でACE HOTELをリードしたアレックス・カルダーウッドはもういないのでハチャメチャさはない。しかし、その土地の文化を大切にする想いは受け継いでいる。アレックス・カルダーウッドと親しく3つのACE HOTELを手掛けたデザイン集団「COMMUNE」がACE HOTEL KYOTOのデザインも手掛けており(建物は隈研吾氏)。COMMUNEはしっかりと日本の文化とACE HOTELの文化を結びつけたようだ。

ACE HOTEL KYOTOのロゴは97歳の柚木沙弥郎さんが手掛けた。柚木沙弥郎さんは民芸運動の柳宗悦さんとも関わりのある染色家だ。

手描きのような味わいのある(Ace Hotel Kyoto)のロゴが柚木沙弥郎さんのもの。英数字すべてのデザインをしたのでフォントとしてACE HOTEL KYOTOのあちこちで使われている

COMMUNEのInstagramで柚木沙弥郎さんについて以下のように紹介している。

柚木沙弥郎さんのアートワークは、ACE HOTEL KYOTO の客室の一つにあります。97歳の伝説的な民藝家である柚木沙弥郎は、このプロジェクトのグラフィック・ソウルとなった。4年間の関わりの中で、客室用のプリント、スイートルーム用のオリジナルコラージュ作品、パブリックスペース用のテキスタイル作品、ホテルのフォントとロゴタイプなどを制作した。彼は常に情熱的で、エネルギッシュで、寛大な性格の持ち主であり、幸運にも彼と一緒に仕事をしてきた私たちすべての人たちにインスピレーションを与え続けています。

とある、他のインタビューでもCOMMUNEのRoman Alonsoが同じようなことを言っている。

2020年に発売されたCOMMUNEの本にも柚木沙弥郎さんの作品が収録されている。


また、COMMUNEのブログに、2017年に柚木沙弥郎さんのスタジオを訪れたことが記載されている。交流の深さを感じる記事だ。

日本の文化とACE HOTELの文化を結び付けようと思ったときに、柚木沙弥郎さんを選んだACE HOTEL (COMMUNE)は凄いと思いました。

こちらのBrutus CasaにCOMMUNEのRorma Alonsoの日本語のインタビューがあります。柚木沙弥郎さんは一番最初に参加したアーティストとのこと。

ACE HOTELについては韓国の雑誌(英語版)も良い。英語を読むのが面倒だけど写真の質もいいのでそれを眺めているだけでも十分面白い。

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