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[HipHop] Febb as Young MasonとFla$hBackS(JJJ, Febb, KID FRESINO) / この痛みはまだまだ愛せねえが

Febb as Young Masonが注目されたのは2013年のJJJ、KID FRESINO と結成したグループ Fla$hBackS のデビューアルバムだった。Febbはまだ19歳だった。そして5年後の2018年2月15日に24歳の若さで亡くなってしまう。その短いキャリアの少なくない時間を体調不良や治療で過ごしたのにも関わらず、Febbの残した曲や仕事は数多い。
HIP HOPは曲を作る人とラップをする人が分業することが多い。曲も作れてラップもできる人はアメリカを含めて多くない。Fla$hBackSの3人は3人とも曲も作れてラップもできる珍しいグループだった。デビューアルバムの後、それぞれのソロアルバムを出した後、Fla$hBackSの2枚目のアルバムは期待されつつも作られることはなかった。Febbの体調問題もあったし、KID FRESINOがニューヨークへ留学したことも理由の一つだったかもしれない。Febbの好むストリート感(JJJが言うところの「治安が悪そうな感じ」)と、後にモデルをこなすようになったり、多ジャンルのセッションもこなすようになるKID FRESION の感覚が合わなくなったことも理由だったかもしれない。同い年で小学生からの知り合いのFebbとKID FRESINOより4歳年上のJJJはグループを取りまとめようとしたが、個性が強すぎる3人をまとめるのは、それぞれ才能が溢れすぎていたし、やりたいことが多すぎて難しかったのかもしれない。
Febbが死んでしまったからそう思ったのかもしれないが、なんとなくFla$hBackSはニルバーナのようだったと思った。いや、違うか、、Fla$hBackSはメンバー3人の才能や実力は均等しているし、それぞれのカラーがある。Fla$hBackSは奇跡のようなスーパーグループだったのだ。

Fla$hBackS

この曲はKID FRESINOが作ったもの。KID FRESINOはアルバム制作まではラップをしたこともリリック(歌詞)を書いたこともなかった。アルバム制作中にJJJの薦めでラップをし、インターネット上で公開したところインディーズレーベルから「アルバムを作りませんか?」ということになり、Fla$hBackSのアルバムの3カ月後にソロアルバムを発売することになる。

JJJも良いがFebbのラップが光る一曲。

STUTS - Changes feat. JJJ

Febbが亡くなり、KID FRESINOに子供が生まれた2018年に発表された曲。STUTSというアーティストの客演だが、歌詞はFla$hBackSについてのことを書いている。またビデオもKID FRESINO(と、子供)、そして亡くなったFebbも出ている。
JJJは一番最初に一番大切なことを言うようにしているらしい(どこかのインタビューで読んだ気がする)。

全て罪に目を瞑る

Febbの死因は明らかにされていないし詮索するのも野暮だ。ただ周りの人間は「救えなかった」という気持ちがあるらしい。そして死んでしまったFebb自身、上手くいかなかった諸々、、そこにあったいろんなことをに対してそう言っているのかもしれない

未だにベッドの上のあいつにも
時が来れば許す心と会いに行こう
寝床を移した そして今日YACHTを流した
あの地に華のあるRhymeを送る

Febbのことを言っているのだろう。YACHTはJJJのソロデビューアルバム名でもあり、JJJにとって象徴的なもの。

風抜けてく手 乗せたはずの絵
散って砂になってさっき舞った天
PEN持ったRapper in the damn
このストーリーと息をして
千の感情と意味を超え
また交差する思い出
解いて
二度と戻らない今日
刻み込む

フック。何も解説はいらないだろう。「二度と戻らないもの」「今日も戻らない」ことを見事に表現している。

新たに生まれ落ちたその命に送るはピース&乳母車
運ぶ魂に未来
期待はしないが光を感じてんだ
この痛みはまだまだ愛せねえが
今はただ越えてく罰と正解

KID FRESINOの子供について、ビデオも子供を抱きキスするKID FRESINO が登場する。生の希望とFebbを失った痛み、すべてを飲み込んで進もうとする

ここからはフックが2回続くが、Febbが登場する。先ほどのFla$hBackSのビデオの映像を使っている。Fla$hBackSのビデオの撮影現場だったラゾーナ川崎へ電車で向かと当時のFebbと今のJJJ、ラゾーナ川崎で過去のFebbと今のJJJが向き合うような演出。


全て罪に目を瞑る
北沢の街灯 俺から伸びた影を辿る
未だにベッドの上のあいつにも
時が来れば許す心と会いに行こう
寝床を移した そして今日YACHTを流した
あの地に華のあるRhymeを送る
糞な歌に塗れたこのビッチな世界
また一人で歩きだす
剥がすポスター
光の次訪れた闇は深く深く...
ぶっ壊れそうなMIND揺れる
STUTS ON THE TRACK
孤独も良しと知る
俺は全てを知ったフリでSPIT
感情は殺せない。だから叫ぶ
人間だから 分かってんのか?
白い息と上がる
上野の路地 また回すペダル

風抜けてく手 乗せたはずの絵
散って砂になってさっき舞った天
PEN持ったRapper in the damn
このストーリーと息をして
千の感情と意味を超え
また交差する思い出
解いて
二度と戻らない今日
刻み込む

あのクレイトスも親になる
過去、今、あの日が重なる
誰の上で立つ言葉
胸を張れ
自由を振りかざす
無い足に枷
お前が見る映画にはない景色
リアルはそこで動いて
俺を紡いでく
My Lyricsには2つの意味
2つとないDAYとNIGHT
駆け巡り生きる日々

新たに生まれ落ちたその命に送るはピース&乳母車
運ぶ魂に未来
期待はしないが光を感じてんだ
この痛みはまだまだ愛せねえが
今はただ越えてく罰と正解
水飛沫を上げて走りぬく
抜け出すこの狭い世界 Right?

風抜けてく手 乗せたはずの絵
散って砂になってさっき舞った天
PEN持ったRapper in the damn
このストーリーと息をして
千の感情と意味を超え
また交差する思い出
解いて
二度と戻らない今日
刻み込む

(歌詞 JJJ)

Febbについての自分の曲としてはMIND(feat. KID FRESINO)をインターネットに無料で公開している。


Febbが亡くなる1年前の2017年に発表されたJJJのアルバム HIKARIに Fla$hBackS最後の曲「2024 feat. Fla$hBackS」がある。2024年にはJJJとKID FRESINOには何かやってほしいと思う。


JJJのインタビューはFebbを知る上で貴重だ


おまけ

Febbは楽曲提供も数多く行っているのだけど、KANDYTOWNのYoung JUJU(現KEIJU) とのコラボレーションは秀逸だったと思う。何故か内省的へ行きがちなYOUNG JUJUと、ストリート感を重視するFebbが組み合うとお互いの持ち味を活かしつつも少しポップな印象になる気がする。今のYOUNG JUJU(KEIJU)もいいのだけど、Febbが参加していたら、、と思う。

また、インタビューを見るとFebbがいかに精力的に活動していたか分かる。

JUJUへのプロデュース曲

Fla$hBackSのFEBBがプロデュースした「Tap This feat. FEBB」、「First Things First」も、今回のアルバムの軸になってくれたという。
「このアルバムを作るとき、KANDYTOWNのアルバムも同時進行であって、正直ヒップホップのビートに飽きてた。飽きてたというか、なにか新しいことに挑戦したくなってた。だから最初はちょっと変わったものを選んでたんですよ。それで優しい音が増えてきて、そうなってくるとちょっとヒップホップ要素というか、もっとドープでヘビーな音が欲しくなった。それでFEBBにスタジオに来てもらったら、持ってきてくれたビートが、なんていうか、自分が求めてるものに、すごく近かった。叩きも音の鳴りもヒップホップだなって。改めて聴いてみても、この曲があったからまとまったなって感じがするんです。FEBBのスタンスもかっこよくて、来てすぐに一発でパッとレコーディングして、俺もうできたよって。そういう音楽に対してのモチベーションというか、パッと集中してこなせるところはYUSHIに似てるなとも思った。なんか昔に戻った感じがして、すごく刺激になりましたね」
(YOUNG JUJU)はい。ジョン・スパークスさんという、アメリカにいる人で。カレンシーとかフレンチ・モンタナとか。ハリー・フラウドのエンジニアをやっている人で。
(渡辺志保)すごいね! ハリー・フラウドのエンジニア? ヤバい!(YOUNG JUJU)これは本当に、困り果てて。いろんな人にお願いしようと……当時、イリシット・ツボイさんにお願いしようとしたんですけど、KANDYTOWNの方もやっていてもらっていて。本当に忙しそうで、ちょっとたのむのも申し訳なかったんで。「どうしよう? どうしよう?」って思っている時にFEBBがたまたま電話で「ミックス、いい人いるよ」っていう話をしてくれて。
(渡辺志保)すごいね(笑)。「いい人」のいいレベルがさ、もう最高に段違いの(笑)。
(YOUNG JUJU)それで本当にすぐ……でも、本当に困っていて。正直、あと4日でやんなきゃいけないっていう状態で。「ちょっと、どうにかならないか?」っつったら、「じゃあ俺、すぐやってみる」っていったら、本当に30分、40分ぐらいで返ってきて。「JUJUのラップ、OKだって」って言ってくれて。
(渡辺志保)すごいね!
(YOUNG JUJU)で、そっからもうFEBBがジョン・スパークスと英語でやり取りしてくれていて。で、どんどん進めてってくれてっていう感じで、本当にFEBBに助けられたアルバムで。



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