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認知症にやさしい交通に必要な6つの要素

高齢社会の中で認知症になっても安心して外出が行える社会作りを進める必要があります。当事者の現状、交通事業者の意識、日・英の取り組みの調査を行った中で6つの重要なポイントが明らかになりました。


きっかけ

認知症の人にやさしい交通とは「当事者の方が目的地まで安全に安心してたどり着ける環境」です。今回の調査のきっかけは認知症の人は一人で外出していないという社会の風潮に違和感を持ったことです。私が作業療法士として担当している当事者の方の多くが外出を行っており、そして周囲の人による少しの手助けで安心して外出が可能になります。小さなきっかけで大きく可能性が拓ける社会課題の一つです。

京都市岩倉地区でのSOSネットワーク訓練


何が問題になっているのか

認知症にやさしいまちが新オレンジプランの中で提唱され、少しずつ動きが出ています。これまで医療・介護による施設ケアが中心だったものが、コミュニティケアへ移行することとなります。これまで関わらなかった住民や交通事業者を巻き込んだ新しい地域コミュニティの課題と言えます。根本的な課題は社会と認知症当事者の信頼関係が希薄になっている点にあります。これはこれまで施設ケアを中心とした施策の中で接点がほとんどもてなかったことが原因であると思います。


調査で分かったこと

住民や交通事業者からは認知症の課題は身近でなく、接点が少ない状況です。これまで関わりのなかったため、どのように気付けば良いかわからない現状です。当事者の困りごとに気づける仕組みが第一歩になります。昨今の運転免許自主返納や道交法改正など認知症に理解のない対処療法では当事者の生活環境は悪化するだけです。この負のスパイラルを改善する必要があります。


認知症にやさしい交通に向けた社会実験

DFJI交通プロジェクトでは以下の取り組みを行ってきました。
あんみつツアー:当事者の困りごとを共有するために、一緒に外出するツアーを行いました。
やさしい交通の指標作成(リンク):やらなくてはいけない」ものではなく、「あると良い町のイメージ」など’アイデア創造するセッション’を実施しました。
認証制度検討(進行中):アイデアの具体的・持続的な取り組みにしていくための仕組みづくりが必要です。


認知症にやさしい交通に必要な6つの要素

1. 正しい認知症の理解があること
2. 当事者の参加と当事者の声への返答があること
3. 情熱のあるリーダーの存在とリーダーを育てる土壌があること
4. 行政の強いリーダーシップと横断的な支援体制があること
5. 取り組みを実施し、体験と知識をため、学習を進める環境があること6. わが町の(取り組みを進める)必然性があること


やさしい交通に向けた5つのポイント

様々な方からの意見を聞く中であるべき方向を検討しました。これから活動を進めていくためにより実情を明らかにし、活動を促進していく必要があります。そのポイントを取り上げます。

1. 軽度認知症当事者の外出状況に関する実態調査
2. 地域住民やセクターへの啓発と当事者との出会いの場作り
3. プロジェクトを進める上で当事者の参加の促進
4. 認知症×交通など行政の各課横断的な取り組みへの対応力強化
5. エビデンス作りとネットワーク支援活動の推進

最後に

今回は調査で集まった情報から一つの仮説を立てました。少しずつ広げ、深め、軌道修正をしながら進めていきたいと考えています。調査内容は以下にまとめてあります。ご一読いただけますと嬉しいです。ご感想やご意見をお願いします。

DFJI交通プロジェクトとしても活動を実施していきますので、ぜひご参加ください。

調査内容のまとめはこちら(リンク)



前田亮一(heyryo1(at)gmail.com) 

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