忘却

 書こうと思っていた記事を忘れる。
 昨日は記事を書くこと自体忘れていた。

 幼少期から認知症の話をよく聞く環境にあった。ボケる。色々なことを忘れてしまう。忘れてしまうだけでなく認知にも問題が出る。自分が自分でなくなってしまうのではないかという恐怖は大きかった。今も大きい。だけどふと思う。人は、忘れることが幸福なのではないだろうか。不幸を忘れたいと願う人は多いだろう。それなら願ったり叶ったりだ。幸福も。いずれ壊れてしまうなら、と思わないではない。これはきっと、抗えない運命への諦めなのだろう

 最近、あの人の研修レポートの推敲を手伝っている。誤字や脱字のチェックがメインだが、文章の構成や表現の揺れ、句読点の調整まで。本人の表現を逸脱しない範囲で改変の提案をする。採用するかしないかは本人次第。なんとなく、役に立っている感があるけれど、私の書く文章は人にウケない。ウケないことなんか分かっているから、なるべくあの人の表現を活かす。なぜこんなにも。何も出来ないのだろう

 テレビから流れてくる。 "努力すれば道は開ける" 努力か。努力、か。その言葉だけでどっと疲れて絶望するよ。もういいかな

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