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ゲームアツマールという名の宝箱とその終焉

「昨今のネイティブゲーム市場拡大におけるブラウザゲーム市場の縮小を受け、今後ユーザーの皆さまにご満足いただけるサービスを提供し続けることが難しいと判断し、『ゲームアツマール』サービスの提供を「2023年6月28日(水)」をもちまして終了いたします」

暇な時間ができたら、ネットの海から変なゲームを探し出してプレイする。
そんな日課を持つ私にとって、その報せは悲報以外の何物でもなかった。

ゲームアツマールはドワンゴが提供するniconicoの自作ゲーム投稿サービスで、2016年から今日までの7年間クリエイター達の登龍門的、あるいは捌け口的存在として君臨し、私を含む数多のゲーム好きの時間を奪ってきたサイトだ。

スマホでもプレイ可能なゲームが大半を占め、シナリオのクオリティが高く何時間でも没頭できる名作も多く、そして意味不明だが謎の中毒性があるバカゲーも盛りだくさん。
「迷作ときどき名作」という言葉がよく似合うサイトだ。

そんなゲームアツマールが、あと僅か4ヶ月でなくなる。
突如突き付けられた残酷な現実に悲しむユーザーは私以外にも沢山いて、現在ゲームアツマールの公式Twitterに固定されたその報せは1.2万RTにも及んでいる。
それはなんと言うか、いつもカバンに付けていたキーホルダーをいつの間にか紛失していたことに気づいた時のような、得も言われぬ喪失感だった。

今から書くのは「ニコニコの楽しみ方」ではなく、もはや「人生の生き方」の話になるが、大人になってからの4ヶ月なんて、本当にあっという間だ。
その「あっという間」をどう生きるかは人それぞれだが、この記事を読んでくれた方のうち、一人でもゲームアツマールに時間を割いてくれれば私は嬉しい。何故なら「ゲームアツマールがサ終するまでの4ヶ月」はもう二度と訪れないのだから。

「忙しくてゲームなんかやってらんねぇよ」
そんなことはない。
仕事を終えて就寝するまでの束の間をピンポイントで埋めてくれる、手軽で、熱くて、奇妙で、時に作りの粗い、私たちを笑わせてくれるゲームの数々が、ゲームアツマールにはあると断言できる。

私はゲームを作る技術を持ち合わせていない。
だからゲームアツマールというサイトを見つけた時から今日まで一貫して「消費者」の立場だ。
そんな「消費者」が出来ることは、ゲームアツマール産でオススメのゲームを紹介することだけだ。
下記に5本の名作タイトルを紹介しよう。

1.キミガシネ ―多数決デスゲーム―

ゲームアツマールの中でも1,2を争う名作。
ロジカルサイコミステリーホラーアドベンチャーゲーム。
キャラクターが全員魅力的、ダンガンロンパが好きな人は絶対ハマる。
完結が待ち遠しい。つい最近steamでも発売された。
制作者:ナンキダイ様


2.ぶきあつめ ~なんでも武器になるRPG~

ゲームアツマール産のRPGといえばまさしくこれ。
人んちにあるタンスや、キッチンまでもがとにかく全て武器にできる、新感覚収集RPG。武器のステータスがいちいち細かくて楽しい。
制作者:kagaya様


3.きりたんVS月曜日

VOICEROIDの東北きりたんが月曜日を倒していくゲーム。
ドット絵のクオリティが高い、可愛い、シンプルで楽しい。
金・土・日曜日とは仲良く。
制作者:タマネギ修字様


4.【非公式】シンジ、エヴァに乗れ乗るな乗れ乗れ帰れ乗れ乗るな乗れ帰れ乗れ冬月に乗れゲーム

タイトルがもう面白い、超高難易度の覚えゲー。
一切の無駄をそぎ落とし抽象化された初号機の絵が面白すぎる。
エヴァを知らなくても楽しめる怪作。
制作者:ぬか漬けパリピマン様


5.【ウホ】🦍🦍🦍🐵【ウホホ】

なんだこれは。
ニホンザル、チンパンジー、オランウータン、ゴリラといった猿たちが一房のバナナを巡って戦うゲーム。操作はクリック(タップ)連打のみの、まさに猿でも出来るゲーム。
涙なしには見られないラストは必見。
制作者:あるふぁ様


最後に。
今紹介した5本以外にも楽しいゲームが、マジで山ほどある。
何度でも言うが、この記事を読んだ方は今日からの4ヶ月のうちたった数時間、いや数分でも良いのでゲームアツマールにアクセスし、ゲームをプレイして欲しい。
幾多のクリエイターたちの夢と意欲と妄想と悪ふざけが詰まった最高のサイトを、是非一目見て欲しい。

例えばあなたが誰かの葬儀に参列したとして、号泣している遺族から
「最期に顔だけでも見てあげてください……」
と言われ棺桶の前に誘導されたとき
「あっ、大丈夫です」
と断ることができるのか?
いや、できない(反語)
私は今、それと同じことをあなたに向けて書いている。
ゲームアツマールと、ゲームアツマールに群がるクリエイター達の勇姿を一目見てやってくれ。そしてゲームをプレイしてくれ。
それこそが最高の手向けなのだから。


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