時計

好きな人と一緒に買った時計が今も私の腕で針を打っている。居酒屋で選んで一緒に買った。その日は神社に行っておみくじを引こうとしたら100円が機械に吸い取られておみくじは出てこなかった。神さまそんな商売やめてくれ、と思った。私は帽子をかぶっていた。

時計はお互いのクリスマスプレゼントになった。私は何も買わなかったのに、あなたは別のプレゼントを買ってくれていた。

初詣は一緒に少し遠くにある小さいけれど立派な神社に行った。本堂までの道が長くて綺麗な神社。私は人生で初めて、初詣で他人の幸せを願った。快挙だと思った。

そのあとは海辺へ。
石ころに願い事を書いて海に放ってあそんだ。毎年恒例になったらいいなと思った。とっても幸せだった。真っ直ぐにあなただけを見ていた。

今年は、私はあなたと離れている。物理的にも、心理的にも。大好きなのに。
時計が針を打つ度に、悲しくなってしまう。あなたにもらったものを眺める度にあたたかい気持ちになっていたのに。


ああ、心から幸せになって欲しい。お願いだから。

あなたが幸せになれれば、私は解放されると思ってしまう。奈落に落ちたい。私が不幸になることでしか、あなたのやさしさに応えられないの。

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