世界一マズい店に教わったこと

むかし、自分の大切な人に久しぶりに会う時に、僕のお気に入りのお店に連れて行きました。

スタッフさんは、いつもわがままを聞いてくれたり、他愛のない話にも付き合ってくれました。
僕の大切な人に、大好きなそのお店で一番好きなメニューを食べさせたかったから、何日か前に電話で、その日はそのメニューがあるか確認しておきました。

でも、その日、そのメニューはなかった。

人気のお店だし、忙しかったのかな?
実はお店も僕の態度を「オレの馴染みの店だぜ」「思い通りだぜ」みたいに感じて、快く思っていなかったのかな?
お仕置きのつもりなのかな?
その日はそのメニューに納得いってなかったのかな?

なんてグルグル考えていると、楽しみにしていた大切な人も、僕の心中を察してか、特に文句も何も言いませんでした。

寂しさ、悔しさ、怒り、いろんな思いが残りました。
たった一回かもしれないけど、大切だと伝えたことが、大切と思ってもらえなかった悲しさ。
僕はどんな仕打ちをされてもいいけど、滅多に会えない大切な人に悲しい思いをさせたことが許せませんでした。
それまでの関係性もあったから、なおさら。


思えば、あの店は僕が心から嫌いになった唯一のお店で、この感情こそファン心理なんだろうなーと思います。

・作品が好きだから作者も好き
・作者が好きだから作品も好き
・ブランドが好きだから作品、作者も好き
・客観的な質の高さを評価
・口コミを基準にしている

好きになる理由は沢山ありますが、どこかに「嫌い」という感情が入ると総崩れします。

僕はそのお店は客観的に素敵だと思うので、知り合いには今でもおすすめしています。
あれは僕のわがままが通らなかっただけの話だから。

でも、あのお店がいくら支持されても、嫌いなのです。
僕にとっては、最低のサービスで、センスが無くて、世界一マズい店なのです。

きっと、この先もずっと忘れられないのが悔しいですね。


どんなに質が良い物を提供しても、嫌いという感情の前では無力です。

聖人君子でいることは難しいので、嫌われる時は嫌われます。

せめて、出来るだけ人を傷つけることのないよう心がけていきたいものです。

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