衝撃の朝

衝撃の朝

宇多川ゆうき
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人生は、衝撃的な出来事によって大きく変化する。

ミナミハジメは、どうしても通勤電車で『大』がしたくなった。
『大』だ。
『小』ではない。

ただ、したくなってしまった時の災難度はどちらも同等だと、僕は思う。

しかしながら、当の本人であるミナミにとってそれが『大』か『小』か
は全く問題ではない。それがしたくなってしまったこと、そのものが問題なのだ。

次の駅で降りて、トイレに駆け込むか。

降りずに職場のトイレまで粘るか。

2つに1つ。

最終的に、ミナミは我慢を選んだ。

職場のトイレに駆け込んだときには、顔面蒼白、『大』は飛び出す寸前だった。

その日以来、ミナミは便意を恐れる人間になった。

通勤電車は30分早いのに乗り(当然のことながらそのぶん早く起きる)
映画館では必ず通路側に座り(その分、階段の存在が気になる)
トイレのついていない長距離バスには乗らない。

そんな人間になった。

たった一つの朝の出来事が、ミナミの人生を、大きく変えてしまった。

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