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大阪市をウォッチしよう!! 17 「夢洲開発の厳しい現実」

 日本ジャーナリスト会議(JCJ)という団体が、毎月「ジャーナリスト」という機関誌を発行している。17年前より、この紙面に「月間マスコミ評」という記事を寄稿している。
 日頃は、日本政府の問題など全国的な話題について書いているが、大阪の実情を、もっと全国に知ってもらいたいという思いで、大阪の話題を取り上げてきた。
 今回は、夢洲開発の問題を全国のジャーナリストに知ってもらいたいと、万博、IRカジノについて取り上げた。

 今年の9月は記録的高温だった。「地球沸騰の時代」と言われ、温暖化対策は待ったなしだ。そんな中で,わが国では旧態依然の大規模開発が実施・計画されている。沖縄の辺野古新基地、リニア中央新幹線、明治神宮外苑再開発、大阪湾の夢洲開発など。夢洲開発の厳しい現実に焦点をあてよう。
 大阪湾の人工島・夢洲は、廃棄物・土砂で埋め立てられ軟弱地盤だが、開発の嵐で今にも沈みそうだ。ここで2025年万博が予定されているが、開催まで1年半後というのに、準備が大幅に遅れている。その象徴が海外パビリオン建設の遅れだ。建設が始まった国はまだない。広い会場予定地は閑散としている。岸田首相は8月末、「万博の準備は極めて厳しい状況だ」と指摘し、政府主導で推進する意向を表明したが、果たして間に合うのか。
 問題は開催準備の遅れだけでない。万博会場の建設費、運営費の上振れも大問題だ。建設費は18年の誘致決定時1250億円、20年に会場デザイン変更などで1850億円、さらに2度目の計画修正で2350億円になるという。東京五輪と同じような展開だ。朝日10月1日社説も「万博の経費増 国民にツケを回すのか」「万博開催の是非が問われている深刻な事態」と警鐘を鳴らす。

 大阪府と事業者は9月28日、IRカジノ実施協定を締結。夢洲の万博会場隣に、2030年にIRカジノを開業する計画だ。事業者の要求により、3年後まで違約金なしで撤退できる「解除権」を認め、夢洲の地盤沈下対策などで、事業者は最終決定を先延ばし。こんな曖昧な実施協定を認めた国の責任が問われる。地元では底なしの財政負担、不当な格安賃貸料について、大阪市を相手にした住民訴訟に注目が集まる。ギャンブル後遺症に対する府民の不安は根強く、「カジノはあかん」の声がやまない。
 読売10月7日社説は、「大阪カジノ整備 万博準備への悪影響は必至だ」と問う。万博の開催準備が遅れているのに、その隣で大型工事を始めるのは、さすがに無謀であると。万博開催の本気度も疑われる。
 万博・カジノという夢洲開発は、当初から維新が主導してきた。ここにきて責任逃れをしているが、維新と維新が牛耳る大阪府・市の責任きわめて大きい。

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