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推しが演出家になりまして  ー『HIGH CARD the STAGE-CRACK A HAND』ー

推しの一慶くんが、ついに2.5次元舞台の演出をする!? しかも脚本はミュージカル「憂国のモリアーティ」のなどでおなじみの西森さんだと!?!?!? てかキャストも好きな人ばっかじゃん!

と、茶番みたいな説明くさい驚きはさておいて……行ってきました、『HIGH CARD the STAGE』。千秋楽を迎えて何日経ってんだよって感じではありますが。

この『HIGH CARD』は「メディアミックスプロジェクト」ってことで、アニメも小説もコミカライズもある作品(おそらく2.5次元舞台もこのプロジェクトが立ち上がった時点で組み込まれてるはず)とのこと。そんなかでもメディアとしていちばんとっつきやすいだろうアニメをベースにすると、この舞台はアニメ1期をぎゅっと凝縮したストーリー。彼らがどういった存在で、どういった関係性で、どんな想いを抱いているのか、みたいなのが描かれます。

セットは開演5分前まで撮影OK

さて、一慶くんの演出。2.5は初だけど、所属事務所案件ではちょこちょこやっていたし、西森さんとタッグを組むなら多分大丈夫だろうとは思っていました。思っていたけれども、想像以上に良かったんですよね。推してるから贔屓目ももちろんあるっちゃあるんですけど(そりゃそうだ)、一慶くんがこれまで出演した2.5のさまざまな作品が確実に血肉になってるんだなーと。
たとえば、はちゃめちゃに動きまくる階段って2.5の演出ではそこまでめずらしくなかったりするんだけど、だからこそ使い方や見せ方なんかをちゃんとしないと、テクニカルなことをしていても凡庸になってしまうんだよね。その辺は徹底的に「かっこいい」に振り切っていてよかったです。その一方で、たとえばカーチェイスのシーンなんかは映像のサポートはあったけれども、「車だと思わせる」っていうアナログかつ無敵の“想像力”で押し切ったのも個人的には好きでした。てか、あぁいう階段とかの動きって、演出がどこまで関わってんだろね。殺陣師みたいにいるのかな、階段動かし師みたいなの……。

そんで、これは全然悪い意味じゃないんだけど、『HIGH CARD』って特殊能力モノではあるんだけど、実は能力バトルがそこまで緻密ではないんだよね。ギリギリのバトルの中でミリの勝機をみつけて……っていう、特殊能力モノ特有の爽快感があるわけじゃない。じゃあ何が魅力なのかっていうと、結局のところキャラクターの関係性と人間ドラマなんだよね。ハイカードのチーム感が愛おしくなればなるほど、ラストの展開にギュッとなる。その辺がちゃんと丁寧に作られていたので、西森イズムと一慶くんの相性の良さを感じました。

そして、そんな人間ドラマを描く上で大切になるのがそのキャラクターなんだけど、これは見た目も魂もかなり“本人”ですごく良かったです。せっかくなんでハイカードのメンバーそれぞれの感想も忘れないように書き留めておこうと思います。

まずはフィン役の赤澤遼太郎くん。
あんステ~エーステ~モリミュなどなど、わりとコンスタントに見ているんだけど、澄んだお芝居をする子だなっていうのは常々思っていて。今回もそのピュアさを存分に発揮していました。どうやったら悪意に染まらずに生きていけるんだ……? こんな子が真ん中に立ったら、応援しないとか無理なんですよ。

クリス役のハルちゃんこと丘山晴己くん。
好き放題やっているように見えて、ちゃんと魅せ方がわかっているプロなんで、ここに関しては期待しかなかったです。クリスのチャラさと、その底にある空虚さがちゃんと同居していてよかったなーと。アタシが見た日はめっちゃターンしてたんですけど、たぶんちょいちょいこういうのもぶっ込んでたんだろうな。

レオ役のばしこちゃんこと石橋弘毅くん。
まさかのゲラが発覚して、なかなかに苦戦するシーンも多そうだったけど、ノーブルかつ愛らしくてクソ生意気な感じがキュートでした。ビスクドールみたいなお顔の可愛い子ちゃんがでかい武器抱えるって絵面は、オタクみんな好きだと思うの(クソデカ主語)。

ウェンディ役の七木奏音ちゃん。
抜刀したら妖刀に精神を乗っ取られてしまうウェンディ。アニメの表現としてはメイクなどのビジュアルでその変化がわかるようになっているんだけど、舞台版で変化を表現するのは奏音ちゃんのお芝居のみ。だからこそどうなるのか楽しみだったんですが、これまた期待以上でよかった! お当番回も見たかったな~(ただのファンじゃん)。

ヴィジャイ役の松田岳くん。
ここも何も心配はなかったんですけど、いい具合にクセが強くて(100で中の人のせいだと思います)最高でした! アドリブもいろいろぶっ込んでたね。レオくんってかばしこちゃん、大丈夫だった? アニメをみたときに一番ときめいたのが彼だったので、もう少し見せ場が欲しかったとこではありますが、全体的なバランスをみたら妥当なんだろな~。欲しがってすみません。

キリがないのでハイカメンバーに絞りましたが、MVPは5役(!)こなした、くぼひでさんですかね。なんならくぼひで無双だったぜ!

アンサンブルがアンサンブルじゃなくて、いち役者として扱っているのもすごくよかった。モリミュのイズムはこの辺にも出てるのかなーなんて。座組の雰囲気って想像以上にお芝居に丸っと出るので、見ていて心地いいってことは“そういうこと”なんだろうなと思います。は~楽しかった!

この日はウェンディの名刺が配られました
スート柄の半衿と帯とピアスで概念コーデよ

推しの演出がもっと見たい! でもお芝居も見たい! どっちも見せろ~~~~って思えるのは幸せだよね。役者仕事もコンスタントにありそうなので、これからのお仕事にも期待しつつ、ゆるっと推していこうと思います。ゆるっと、ね。

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