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<Motives for Travel in Domestic Medical Tourism 国内メディカルツーリズムにおける移動動機>の要約

■出典
https://www.jstage.jst.go.jp/article/marketing/39/4/39_2020.020/_pdf/-char/ja


・健康関連消費は下記2種に分けられる
①メディカルサービス:疾患の予防・発見治療を目的とするもの
②ウェルネスサービス:身体的・精神的・社会的健康の維持、健康増進に係るもの


・メディカルツーリズムとウェルネス ツーリズムでは動機に違いがある
①で長距離移動をすることはあるが、治療が最優先である。②では旅として名所見物や手土産購入などの行動を伴う。
メディカルツーリズム,ウェルネスツーリズム,ヘルス ツーリズムと呼ばれている。


国際・国内ウェルネスツーリ ストに共通する消費の傾向として,一般旅行者の平均に 比べ国際ウェルネスツーリストでは1.5~1.8 倍,国内 ウェルネスツーリストでは2.7~3.6倍支出している


・メディカルツーリズムの動機
自身の健康に関わる現状を理想の状態に近づけるため

目的地, 提供組織,享受するサービスに関する意思決定には消費 者間で違いが見られる。

移動動機は, レジャー,イベントやお祭り,自然や公園,海洋,買物 の5つのカテゴリーに整理できる
自己実現や休息, 楽しみ,社会相互作用などの内的感情的動機が関係し, pull要因には景色やホスピタリティなどの外的認知的動 機が関係する(Correia, Kozak, & Ferradeira, 2013)。

移動という視点でpush/pull要因を捉えると,発地に起因する 要因が push 要因に,着地に起因する要因が pull 要因に 関係するとされる


push 要因(移動の必要性):ニーズ階層,個人的要因,人口
pull要因(移動の誘引):統計的属性などによると, 情報,魅力,インフラ,食事,もてなし,輸送
 ⇒旅に対する動機付けに影響し,その動機付けは目的地のイメージに影響するという


メディカルツーリズムにおけるpush/pull要因5変数 (目的地,提供組織,価格,利用しやすさ,ビザ手続き)

サービス品質に対して提供組織より も利用しやすさ/プライバシーへの配慮の方が強く影響している


・例)医療法人A 富山県魚津市(2007年開設)と石川県 金沢市(2017年開設)の2拠点

ポジティブな口コミによる利用者の増加
健診サービスのホスピタリティと オプションの品揃えに加え,特製ランチ,フットマッサー ジ,温泉,フィットネスクラブなどに対する高評価

金沢の施設の選択理由として,患者からは「東京の人 間ドックの費用が高い」「知人から勧められた」「検査項 目が豊富」「他の施設にない検査がある」「検査価格が安 い」「検査結果だけでなく,予防のための総合的なアドバ イスを受けられそう」「複合施設内での付加サービスが良 い」「金沢の食事が楽しみ」「健診に加え金沢観光もでき るのは良い」「差額が交通費や宿泊費と考えれば,金沢観 光を兼ねられるから良い」などの意見があった


・東京から有名人が受診することもある。そ の有名人の書籍やSNSによる情報発信によって金沢の施 設の情報を取得し,遠方から訪れる患者もいる。そのよ うな情報探索経路をたどる患者の特徴は,若年層で健康 意識が高く,予備知識が豊富であることである


[push]
患者の健康に 対する関心の高さ
健康関連サービスに対するリテラシーの高さ
情報収集のしやすさが
(金沢の施設と居住地の施設を比較し,品 揃え,価格,サービスにおいて金沢の施設の優位性が認 められれば,居住地の施設に対する評価が低くなり, push要因となると考えられる)

[pull]
金沢という土地が持つ魅力
複合施設がメディカル部門とウェルネス部 門を併せ持つこと
提供施設のホスピタリティ

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