見出し画像

#54 肉牛飼養管理~胎児から肥育まで~

肉牛について考えてみる!


牛をいかに大きくして、良い素牛に仕上げるか?

出生~育成

①母牛の栄養管理
どうしても母牛のMPを上げると難産があると考えがちですが…挑戦すべきポイントです。
子牛を大きなフレームな牛にするには、母牛の栄養からです。
母牛の妊娠後期の適切なMPを牧場で決めましょう。飼料設計やカウコンフォート、牛の大きさを良く観察し調整していく。

②新生子牛管理
ミルク、スタータ、粗飼料の3点セットを確認し、牧場のガイドラインを作りましょう。
ウルソ、生菌材も反応すれば使いましょう。その後、この群にはスペシャルな粗飼料(センイ消化率が高い)をカット(口の幅くらい)して給与する。
粉ミルクのCPが高いほど、冬はそれに見合うエネルギーが必要です。増体の低い個体には中鎖脂肪酸の給与を検討でしょうか。

③移行期(第四位~第一胃)
乳牛の移行期は乾乳から泌乳に変わる時期ですが、子牛では哺乳期から育成期に変わる時期。
キーワードは酪酸でしょうか。
まだ検証していませんが、実践してみます。酪酸菌、宮入菌、ビオスリー…使っています?

VFAはプロピオン酸、酪酸、酢酸です。酪酸は分子量が小さいのでルーメン絨毛でエネルギーへと変わり…要は絨毛を伸ばす可能性があるようです。

酪酸と言えばケトン体に含まれるβヒドロキシ酪酸…子牛の血中BHBAと増体の関係…検証していきます。


①~③が上手くいけば離乳時(生後90日程度)に3㎏濃厚飼料を摂取可能になると信じています。当然、カウコンフォートの確認もお忘れなく。

育成~素牛出荷

①この時期は牧場ごとにかなりバラエティに富んだ飼い方がなされています。私はまず、3か月(90日齢程度)で配合飼料3㎏摂取することを目標にしています。

②そして、その後は体側。
目標とする出荷日齢、体重を決めます。
初産の産児であっても280日、350kg(去勢)を目標としています。
DG1.25(去勢)です。
90日齢100kgくらいでしょうか。

その後、定期的に体側を行います。体重計を買いましたからね。
全ての牛を体側する必要はありません。定期的に基準となる牛たちを測定します。

③飼料設計で予測DGを確認します。
DG1.3を実現するにはどのくらい飼料を与えるか…を検討します。粗飼料のセンイ消化率が重要です。これが高いと配合飼料は少ない量でOK。センイ消化率が良くない場合は配合飼料を使った方がコストパフォーマンスが良いことも。

④市場で成績を確認します。

素牛~肥育

和牛肥育のガイドラインの作戦を良く頼まれます。これは牛を見ながら作成しますが、基本となる私のガイドラインはまず350kgの素牛が500kgの枝肉になることです。


私のサポートでは常時A5ランクのお肉は出来ません。だから、枝肉重量と廃用あるいは瑕疵を無くすことを心がけます。

幸い素牛で粗飼料を十分に食べ、適切な濃厚飼料で350kgまで育った素牛であれば、

①肥育前期は濃厚飼料の制限給与でも粗飼料を食べてDGを維持。牛は健康的でβカロチン、ビタミンAを蓄積します。

②肥育中期は若干のビタミンAコントロールですかね。採血を実施して確認します。
一日の肥育牛のビタミンA要求量は3万程。

③肥育後期は1カ月1週間1kg乾草を給与します。


そして、550kgで単価が2,000円となれば、110万円です。
いつも目指したいところです。


牛の健康と笑顔溢れる牧場を共に…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?