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#76 肉牛用の配合飼料を設計してみた件

肉牛用配合飼料について考えてみます。


①私が設計した和牛育成用配合飼料【弁慶】の話し。

弁慶はルーメンを意識して設計しました。

育成期はまだルーメンが発達していきますから、あまり溶解性タンパク(SP)の利用が得意でない(SP⇒アンモニア⇒ルーメン微生物合成)と考え【加熱大豆】を使用しています。これはルーメンをバイパスタンパク質の高い飼料です。

合わせて名脇役?の燕麦を採用しています。
これも非常に特徴のある飼料です。センイ源、デンプン源の両方を合わせ持っています。また、その形状からルーメン上皮を刺激する物理性も兼ね合わせています。

まだまだ、狙いはありますが、この二つが大きな特徴です。
私と付き合いが長い農家さんは圧倒的に弁慶を使ってくださっています。

但し、スペシャルな飼料のオンパレードなので価格が…別々に集めて使うよりはずっとリーズナブルだとは思っていますが。

②私が設計した和牛肥育用配合飼料【頂】の話し。

増体は悪くないのですが、肉質が若干負けているかもしれない…
増体が悪くないので、枝肉の売上は負けていないと思います。

もう少し大麦と加熱大豆の割合を増やせば良いかも…!?

大麦はコーンに比べてセンイが高く、デンプンが低い、また、カロチンも少ない。デンプンの発酵自体は早め。

加熱大豆はバイパスタンパク源でアミノ酸バランスも悪くない(ややメチオニンが足りない)。それに、必須脂肪酸(リノール酸、リノレン酸)が多い原料です。リノール酸、リノレン酸は不飽和脂肪酸でルーメン微生物により、水素添加されますが。ルーメンpHが低い時はその作用は少ないでしょう。


センイがあるデンプン源+低いカロチン+バイパスタンパク+必須脂肪酸で肉質上がらないかな?

③私が設計した和牛繁殖用配合飼料【黒の絆】の話し。

コンセプトは子牛の健康と繁殖性です。

もう、加熱大豆のタンパク質はルーメンバイパス率が高いこと、アミノ酸組成も良いことはお解りと思います。それに加えて、リノール酸、リノレン酸は発情ホルモン、黄体ホルモンの材料で、加熱大豆に加えて、βカロチンを添加したことが大きな特徴です。

穀類はトウモロコシ、大麦、えん麦を使い、センイ源として大豆皮を加え、ペプチドミネラルと酸化マグネシウムも使用し、細部にもこだわりを入れています。

これらの配合飼料が皆さまのお役に立てていれば幸いです。

最後にこれらの配合飼料をなぜ作ったのか?

全てセールスパーソンの熱意がスタートです。
とにかく和牛農家さんに役立つものを作りたい。その気持ちに応えるべく設計をしました。やはり、人は心で動きます。


牛の健康と笑顔溢れる牧場を共に

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