ヨーダの物語 87
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、フォースの真髄を学んでゆく!
「うーむ・・。レイゴウは、わしの設計図を基に、ドロイド兵を量産し、いろんな星や国に圧力をかけておる。弟子のギークも使ってな。もうすでにいくつもの星が降伏しているようじゃ。さすがにジェダイ評議会も動き出し、何人もジェダイ・ナイトを送っているが、ことごとくギークに倒されているらしい」
シューマ博士はうつむいて知っていることを話した。
「そうかい。ヨーダは早く強くなりたいとあまりにあせっていたから、それでは逆に強さから遠ざかることになるよとたしなめて、最近やっと焦りが無くなってきたところだよ。レイゴウやギークの動きについてはまだ伝えない方がいいね」
「そうしてくれるかい。ところで、昔あげた『リモート』たちは今も使えているかい?」
「あのトレーニング用の球たちね。ちゃんと使えてるよ。ヨーダは最初はダメダメじゃったが、少しずつ慣れてきたね。そうだ、それについて頼みがあるんだけどね・・」
翌日も、その翌日も、毎日ヨーダの修行は続いた。修行の合間にヨーダはごはんを作り、ふたり分の洗濯をし、家の掃除をし、森へグラドゥと行き山菜や果物を収穫したりした。
その日も、ヨーダは金属の球を使った訓練をしていた。球は四つに増え、ビームの数や出力を最大にしても、ヨーダは棒ですべて防ぐことができるようになっていた。
《この球を使っての訓練は今回が最後とする》
というグラドゥの声が頭の中に聞こえると、ヨーダは無数のビームを防ぎながらふたつの球を棒で叩いて飛ばすと、それらは木の枝に挟まって動きを止めた。すぐに残ったふたつも素早く叩いて飛ばし、球はピンボールのように木々を跳ね返り、ヨーダはひとつを棒で受けとめ、棒の先端に乗せた。もうひとつも木々を跳ね返り、棒のもう一端で受けとめ、先端に乗せてバランスをとった。
ヨーダの棒が、中央の持ち手を支点として天秤のようになり、棒の両端には、その役割を終えた金属のボールが乗っていた。それを静かに地面に置くと球は地面を転がった。ヨーダは布を頭から外すと、納得したようにニヤリとした。グラドゥも、満足そうにうなずいた。
(ヨーダの物語 88へつづく)