ヨーダの物語 57
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗し、レイゴウのもとで修行をする。
一方、ヨーダはギークの様子を見に行くと、家の前でギークがジェダイ・マスターふたりを殺すのを発見する!
「見ていたのか」
「ギーク、なんでこんなことを・・」
ヨーダは涙目で親友に問うた。
「おれはもっと強くなりたい。その道筋をあの方が教えてくれるんだ。おれは行く、どけ」
ギークは少し離れたところに立つレイゴウに目をやりながら言った。
ヨーダは燃えていくギークの家を見て、
「おまえの姉さん・・リンクはどうしたんだ?」
「死んだよ。病気でな。あっという間だった。おれは・・助けられなかった」
「リンクが・・」ヨーダは愕然とし、今にも涙があふれそうになったが、気をしっかりと持とうと努めた。
「なぜジェダイ・マスターを殺した?おまえをパダワンとして迎えにきたんだぞ」
「おれの目的は強くなることだ。ジェダイになることが強くなることとイコールだとは思わない。おれにとって、強くなるためにはライトサイドもダークサイドも関係ない。そこをどけ!」
「ギーク、強くなりたいのはわかる。強くなってツキシマを倒しに行くんだろ?また一緒に行こう」
ヨーダは必死で説得した。ツキシマとの戦いでとどめを刺すことができなかったのはヨーダにもわかっていた。
「そこをどけと言っている」
ギークは、立ちはだかるヨーダに近づいてくる。ヨーダは、強さに取り憑かれダークサイドに堕ち、自分の知らない者になってしまった親友へ恐怖を抱きながらも毅然と立ち向かった。
「いいや、おれはどかな・・」ヨーダはいきなり地面に突っ伏した。ギークがフォースを使ったのだ。
「ツキシマか。あいつならもう殺したよ」
ヨーダは地面に頬をこすりつけながら声を出そうとしたが、それさえできず、頭を潰されそうな激痛に耐えるしかなかった。
「今のおまえを倒してもおもしろくない。おまえはもっと強くなれる」
ギークと白いローブの老人は、それぞれスピーダーに乗り、去っていった。
ヨーダはふたりの姿が地平線に消えるまで見ていた。ヨーダの背後では、ギークと姉のリンクが住んでいた家が大きく燃えあがり、崩れ始めていた。
いつの間にか身体を抑えつけるギークのフォースは解けていたが、ヨーダはしばらく立ち上がることができなかった。
(ヨーダの物語 58につづく)