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ヨーダの物語 78

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。そしてジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、賞金稼ぎ集団(傭兵)に襲われるがみごと全員倒し、いよいよグラドゥのもとで修行が始まる!?

 グラドゥは、杖こそついているものの平らな岩場の道を選び、ヨーダの前をすたすたと歩いていった。向かっている方角から察するに、森へ向かっているらしい。
 「昨日の、あの軍隊みたいなやつらは、何が目的であの森を狙っていたんです?」
 ヨーダは、昨日疲れ切っていて問うことを忘れていた疑問をぶつけてみた。昨日はわけも分からず傭兵十数人と戦っていたのだ。
 グラドゥは前を向いたままそっけなく応えた。
 「広大な銀河の中で、この星の、あの森にしかない植物に特殊な加工をすると、とても高価なスパイスができるんだとさ」
 「だからあの森の持ち主であるグラドゥが狙われていると・・?」
 「そういうことさ」
 「・・でも命の方が大切だから、争わずに譲ってしまえば・・」
 ヨーダは恐る恐る提案してみた。
 「先祖代々伝わるあの森を渡してなるものかいっ!あたしの夫も必死で守ってくれたんだ。もう死んでしまったけどね」
 ヨーダはそれ以上問わなかった。

 森の中に入ると、地面に壊れたスピーダーが散在していた。昨日ヨーダは傭兵たちを殺さぬ程度に叩きのめし、その後意識を回復した者がかろうじて救援部隊に連絡し、助けられたらしい。傭兵は森の中ではひとりも転がっていなかった。救援部隊がスパイスの素となる植物を盗りはしなかっただろうかと心配した。そんなヨーダの考えを読んだかのようにグラドゥは言った。
 「やつらの記憶を消すとともに、別の記憶を入れ込んでおいた。森に大きな化け物がいて、それに襲われたという記憶じゃ。
 やつらは恐ろしくて救援部隊が来たとたんすぐにこの星を出ただろうて」
 そこでヨーダはハッとした。ヨーダが森で傭兵たちを倒してグラドゥのもとへ着いたあと、グラドゥが森に向かって手をかざしたのは、それだったのだ。
 ジェダイ・アカデミーでは、ジェダイの使う能力にそんなモノがあるなんて教わったこともなかった。ジェダイには、そしてフォースにはまだまだ未知の領域があるのだと思った。
 「さて、やつらとおぬしが派手に森を散らかしてくれたから、これらの残骸を片付けることにしようかの。森の外に運んで並べておけば、鉄くず回収業者が持っていってくれる」
 「どうやって鉄のかたまりを森の外まで運ぶんです?トラックなどは無いですよね?」
 グラドゥはヨーダに人差し指を向けると、ヨーダは浮きはじめた。ヨーダは動揺し、手足をバタバタさせた。
 「ちょっ、グラドゥ、なにをっ」
 ヨーダは浮いたまま数メートル移動し、グラドゥが手を下ろすと、落ちて尻もちをついた。
 「これでやり方はわかったね。夕方までに全部終わらせるんだよ」

(ヨーダの物語 79につづく)