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ヨーダの物語 70

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となる(かもしれない)グラドゥの住む星へ出発した!


 ヨーダはQQ11とともに宇宙船の運転席に乗っていた。 小さい四つ足の相棒、QQ11は、言葉を出せないのでジェスチャーでワープボタンを指差した。いよいよワープをする時が来た。
 イニシエイトの仲間たちとともにカイバー・クリスタルを探すために宇宙船に乗って、初めてワープを体験したことを思い出した。
 それはたった数ヶ月前の出来事だったが、今では遠い昔のように感じられた。あの頃に戻れたらどれほど良いか・・。もしギークがツキシマと戦わなければ、もしレイゴウと出会わなければ、ギークはダークサイドに堕ちることもなかったのではないか・・。ヨーダは少し泣きそうになったがら今は感傷にひたっているときではないと気持ちを切り替え、ワープボタンを押した。
 ヨーダは、QQ11が付いているとはいえ初めて自分の操縦する船が宇宙空間をワープしていることの緊張感で落ち着きがなく、モニターなどを確認しながら、さまざまな計器を見て問題がないか目を忙しく動かしていた。
 一方QQ11は、手足を収納して一枚の板状になり、副操縦席で「休止状態」になっていた。はたから見れば、タブレットを操縦席に伏せて置いてあるとしか思わないだろう。

 やがてワープが終わり、周りに星々が見えるようになると、QQ11は再び起動して四つ足に変形し、モニターや計器を確認しだした。どうやら進んでいる方向にまちがいはないようだ。
 ヨーダはQQ11に話しかけた。
 「これから行く星の基本情報を教えてくれるかい?」
 QQ11は、車の格納できるヘッドライトのような目をまばたきさせヨーダを振り返り、前足でキーボードに高速で打ち込むと、モニターに情報が出てきた。
 「知的生物の人口は全体で約200人か、ジャクーより相当田舎だな。ジャクーと比べると湿度はかなり高く、気温は低いと。緑はジャクーほどではないけどほとんど無い。酸素濃度も少し低いけど、普通に生活はできそうだな。ありがとうQQ11」
 小さい相棒はどういたしまして、とでも言うように、まばたきを2回した。
 いよいよヨーダの師匠となるかもしれない(なってもらわなければ困る!)ジェダイ・マスターがいる巨大な岩だらけの星の大気圏に入った。船は大きく振動し、QQ11はヨーダの膝の上に乗って再び小さいタブレットになり、振動から守ってもらった。

 厚い雲を抜け、巨大な岩が並ぶ大地が見えてきた。QQ11に、グラドゥがいると思われる付近を探してもらったが、着地までに家や人影は見えなかった。ひらけた大地、と言っても地面もすべて岩だったが、そこに船を着地させた。
 初めてくる辺境の星にドキドキしながらヨーダは船を降りた。QQ11も四足歩行でヨーダの足元についてきた。
 太陽光は弱く、空は青いが雲は多かった。遠くを見ると、ドス黒い雲が高い岩山を覆っていて、極地的に降っている雨の柱が見えた。雷も見える。
 乾燥した砂の星ジャクーではまず見ない光景にヨーダは目を輝かせた。QQ11がヨーダの足をチョンとついてきて、太陽のある方向に生体反応があると教えてくれた。
 ヨーダは目を閉じ、フォースを使ってジェダイがいるかを感じ取ろうとしたが無駄だった。卓越したジェダイは自分の持つフォースや存在を隠すことができるとジェダイ・アカデミーで習ったことを思い出した。
 ヨーダとQQ11は、新しいホバーボートに乗ってグラドゥがいると思われる方向へ向かった。

 (ヨーダの物語 71へ続く)