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ヨーダの物語 104

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星でフォースとは何かを学び、ついにギークのいる稲妻の星、ザンダーへ到着した・・!


 ギークのいると思われる方へ向かうにしたがって雷の数はどんどん増えつづけた。ホバーボートの足元にいるQQ11とミルクボールを見ると、ミルクボールはQQ11の胴体の下に小さくおさまり、白い毛の奥で目だけキョロキョロさせている。
 落雷に当たったらギークのところに着く前に死んでしまうのでフォースを使って雷をよけつづけた。地上には避雷針はもちろん、木もほとんど無いため、無数の雷が容赦なく疾走するヨーダの方へ落ちてきた。シューマ博士が「ファルコンちゃん」と呼んでいたこの奇妙な形のホバーボートは、かなり小回りが効いたので命拾いした。

 やがてギークの発する意志の『糸』の根っこの部分にだんだんと近づいてきた。根っこの部分は、目をつぶってフォースを使って見るとやはり霞がかかっていた。そこには巨大な岩山があり、正面には岩山をくり抜いて建設したと思われるドス黒く巨大な鋼鉄の壁があった。
 さあ、どのようにあの中へ入ろうか、と思いながら近づいていった。すると、鋼鉄の壁が真ん中から横にスライドしゆっくり開き始めた。やはりギークはヨーダの来訪を知っていたのだ。そして基地である岩山を隠そうともしていなかった。
 『ヨーダ、ついに来たか』ヨーダの頭の中にギークの声が直接響いた。
 『おれはフォースを使い気配を消していたはずだが、なぜこの星にいるとわかった?あのジェダイのばあさんの入れ知恵か?』
 『直接グラドゥにきいてみたらいいよ』
 ヨーダもフォースの声で返した。ヨーダの乗るホバーボードはどんどん進んでいくが、岩山は相当巨大らしく、近づいているようで、なかなか距離が狭まらなかった。雷は何度も巨大な岩山に落ちていた。鋼鉄の扉が開ききると、暗闇の中からドロイド兵が数十体も、何百体も次々とでてきた。みな両手には長い槍、その先には超音波発生装置で強化された光る刃がついていた。赤い眼を光らせ、全身鈍い銀色の体の、がっちりとしたドロイド兵たちだ。ギークの今の師であるレイゴウが作ったものに違いない。
 『コルサントに向かうまえに、ドロイド兵の実力を試したい。なにしろコルサントが初陣だからな。まずは、戦いの中でも最も原始的な方法、至近距離での攻防戦といこう。おまえが前に会った時からどれほど成長したか、この目で確かめるとしよう。
 さあ、ドロイド兵たちはすでにおまえに照準を合わせているぞ。おれのいるところまでたどり着けるかな?おまえがおれと戦うのは、こいつらを倒せたらの話だ』
 ギークのフォースの声は皮肉たっぷりにヨーダの心に響いた。それはダークサイドがヨーダの心に揺さぶりをかけてくるトーンだった。
 (心を乱されてはならない。ギークの狙いはぼくをダークサイドへ誘うことだ。心をしっかり持て)
 ヨーダはホバーボードに乗ったまま、ドロイド兵数百体の列につっこんだ。ドロイド兵たちは長い槍を構え、一斉にヨーダ目がけて走ってきた。ヨーダはライトセーバーを腰の後ろにつけたままダブルブレイドを起動させると、水平に光刃がでて、低空でドロイド兵の間を猛スピードで通り抜けて十数体のドロイドの足を斬った。

 (ヨーダの物語 105へつづく)