ヨーダの物語 106
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星でフォースとは何かを学び、ついにギークのいる稲妻の星、ザンダーへ到着し、戦いが始まった・・!
「おまえらは下がっておれ!何百体いたところであいつの敵にはならない!おまえたちは無限にいるわけじゃあない。コルサントの戦いに備えておけぃ!」
野太い声が岩山にこだまして地平線まで届くようだった。ライフルブラスターの攻撃は一旦やんだので、ヨーダは立ち止まってダブルブレイドをおさめ、呼吸を整えた。
(どうやらあの半分以上サイボーグの男を倒さなければ、ギークのところには辿り着けないらしい)
ヨーダは呼吸が整うと覚悟を決め、巨体の男の方へ早足で歩いていった。
「なにを調子にのってライトセーバーをしまっとる!!ナメとるのか!」
巨体の男は、超巨大な連発式ライフルブラスターを振りかぶって構えた。
「おれは武者修行中にギーク様に出会い、愚かにも戦いを挑み、敗れ、ご慈悲により命を助けられてこの体にしてもらったぁ!おれのあの方への忠誠心は銀河イチだ!おまえなんぞに負けてられるか!」
野太い声がザンダーの星の裏側まで響くようだった。男のまわりでは、ライフルブラスターを持ったドロイド兵たち数十体が銃口を上に向け、臨戦態勢で待機している。
「うぉーー!!!」男は叫びながら特注のライフルブラスターを連射してきた。ブラスターの巨大さにふさわしい、ドロイド兵の放つビームの十倍ほどの威力はあると思われるビームの連射だった。
ヨーダはすぐさまダブルブレイドを起動し、その連射を光刃で弾き返した。ライトセーバーを振るうまでもなく、最小限の動きで、最適な角度で光刃を当てることで、ブラスタービームを地面に向かって弾くことができた。凄まじいパワーと連射のために、地面には無数の穴があいて土煙が舞った。
ヨーダは弾き返しながら一歩ずつ巨体に近づいていった。巨体は叫びながらブラスタービームを雨のように連射してくる。ヨーダは相手の攻撃に少しずつ慣れてくると、前に進みながら光刃の角度を微妙に変え、地面ではなく巨体のまわりのドロイド兵たちに弾き返していった。次々とドロイド兵たちは倒れていったが巨体は気にすることなく、尚も叫びながら攻撃の手をゆるめなかった。ライフルブラスターに付いているダイヤルを回し、ビームの出力を最大値にした。銃口付近は熱で赤くなり、煙を上げていた。ヨーダは男にビームを弾き返したが、ライフルブラスターにはシールドが付いていて、ビームを吸収した。
「ギーク様はおまえに一目置いているようだが、ここを通しはしないぞ!!」
巨体の大声がヨーダの大きな耳に届くと、頭が痛くなるほどだった。まわりのドロイド兵たちが全員倒れても巨体は攻撃をやめず、ヨーダは一歩一歩着実に近づいていった。弾き返したビームは岩山にも当たり、一部を崩していった。
とうとう相手がヨーダの間合いに入ってくると、ヨーダは光刃をライフルブラスターの銃口に突き立てた。するとビームのエネルギーと光刃がぶつかり、ライフルの銃身は一気に赤く溶けて飛び散った。
巨体はあっけにとられるがお構いなしにヨーダは相手のサイボーグ部分を斬りまくり、相手は崩れ落ちた。
「お、おお・・!」
巨体は肉体部分を仰向けにしたまま図太い右腕を天に上げ、何かを掴もうとする仕草をするがすぐ腕がバタンと倒れて絶命した。
辺りには千体ちかいドロイド兵と、巨体の上半身ひとりが倒れていた。銃声はもう聞こえず、雷の音だけが遠くからこだましていた。
岩山は、巨大な鋼鉄の扉が開いた状態で、雷の光によってわずかに中を見ることができた。ヨーダはそこへ向かって歩いていった。その中にギークがいることは間違いなかった。これだけのドロイド兵を投入してあいつは自分を倒そうとしてきた。それらを全て倒さなければギークと会う資格さえも無いとでも言うように。ギークは果たして自分の話をきいてくれるだろうか?不安を抱えながらヨーダは岩山の中へと入っていった。
中は非常灯が点いているだけの暗い空間だった。奥の方は暗くてよく見えない。
(こんなことではダメだ。ぼくが信じなくてどうしてギークがもとのギークに戻れると思う?)と自分を責めた。ふいにヨーダの身体は後ろに吹っ飛ばされて一気に岩山の外に出てしまった。ヨーダはゴロゴロと地面を転がったが、なんとか姿勢を立て直した。
(ギークだ!)ヨーダは心の中で叫んだ。
(ヨーダの物語 107へ続く)