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ヨーダの物語 85

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、修行が始まった!!


 ヨーダは、グラドゥの家の横にある井戸から桶で水を汲み、顔をバシャバシャ洗い、手ですくって水を飲んだ。
 (あの攻撃をよけるためには、フォースを使って球の位置を読み、さらにビームが出るのを一瞬前に感じ取り、よけるか棒で防ぐんだ。これができなければ到底今のギークにかなわないだろう)
 ヨーダは覚悟を決め、グラドゥと、浮遊している球に向かって歩き出した。
 (しかしシューマのじいさん、やっかいなモノを作ってくれたな・・)
 ヨーダは、今度は自ら布で目と耳を覆い、棒を構えた。目を覆った闇の中に、アカデミーで一緒に訓練したギークの姿が見えた気がしたが、すぐに消えた。
 宙に浮かぶ球がどの位置にあるか、視覚と聴覚が失われた世界でフォースを使い、その位置を感じようとした。それは先日、グラドゥの森全体をフォースを使ってスキャンし、残骸を見つけるのと同じやり方だった。心を一点に集中するのではなく、世界全体に心を開くような感覚だ。そこの空間全体をスキャンし、球が浮かぶ位置を把握する。
 ふたつの球は回転しながら上下左右にランダムに動いている。それを感じ取り、棒を地面に対して平行に構えたまま、攻撃を待った。 
 ヨーダは考えるともなく棒の角度をわずかに変えると、棒に微小なビームが当たる感覚を捉えた。これだ、と思った。
 ビームはひとつの球から次々と発せられた。もうひとつは待機するように浮遊している。ヨーダは時にはかわし、時には棒を振って当て、ビームを防いでいった。そのまま続けていると、背後にもうひとつの球がまわりこんだのを感じた。その時点でヨーダは体力の消耗でものすごい量の汗をかき、息が上がっていたが、ギークとの戦いではこんなもので済むまい、と自らを鼓舞してつづけた。
 ふたつの球は縦横無尽に攻撃してきたが、たまに当たったもののそのほとんどを防ぐことができた。
 《このへんでよかろう、少し休みなさい》
 ヨーダの耳は塞がれている状態にも関わらずいきなりグラドゥの声が聞こえた。洞窟の中で響くような声だった。その声と同時に球からの攻撃は止まったので、ヨーダはやっと動きを止めて布を取ることができた。

 (ヨーダの物語 86につづく)