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ヨーダの物語 97

【前回までのあらすじ】
 少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
 親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。その後ジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
 ヨーダは、師匠となるグラドゥの住む星へ到着し、フォースとは何かを学んでいく。そして修行は大詰めへ・・!


 光刃は青が三本、緑が二本、紫と黄色が一本ずつとなった。七本のライトセーバーは、ヨーダを取り囲み、それぞれわずかに揺れていた。
 「わしのもとでかつて修行したパダワンたちが新しいライトセーバーを作るからと置いていったり、ジェダイとして生涯を全うした者や、中にはダークサイドへ転向してしまった者もおる・・。それぞれのカイバークリスタルおよびライトセーバーには持ち主のフォースの残り香のようなものがあり、個性的な動きをする。私の制御を時には離れてね」
 ヨーダは青と緑のダブルブレイドを起動させて構えた。
 「いくよ」
 七本の光刃は一斉にヨーダに襲いかかった。ヨーダは体をのけ反らせてよけ、かつ攻撃をくりだした。二本の光刃を弾き返すと、ライトセーバーの持ち手の起動ボタンがそれぞれちょうど木に当たり、光刃はおさまった。グラドゥはニヤリとした。(今のは偶然かえ?それとも・・)すぐにグラドゥは光刃を起動させ、参戦した。もちろんヨーダが狙ってやったことだった。
 ヨーダは走りながら再び向かってくる光刃を見て、これではラチがあかないと悟った。
しばらく防戦一方となった。
 『グラドゥ、ぼくは最後の手段に出ますよ!これでは自分の命が危ない!』
 ヨーダはフォースを使って師匠に叫んだ。
 『勝手にせえ、遠慮するでない』
 グラドゥもフォースで応えた。
 ヨーダは走りながら意を決し、振り返って攻守交代した。紫の光刃を弾き返し、別の光刃に当て、自分の足元を狙ってきた緑の光刃を飛んでかわし、上からの青い光刃の攻撃を横に弾いてそれが回転するのと同時にその本体を両断した。青い光刃は消えて無くなり、残骸は地面に落ちた。その断面には青いカイバークリスタルがのぞいている。
 ヨーダはダダダッと木を登っていき,木のてっぺんからさらに上に飛んだ。それを六本のライトセーバーも追いかけて上がり、ヨーダを取り囲んで攻撃してきた。ヨーダは宙に浮いたまま自身のダブルブレイドと共に高速回転し、二本のライトセーバー本体を両断した。再び地面に降り、全速力で森の外へ出た。残り四本の光刃も追ってきた。走りながら片手を頭上に上げると、まわりの無数の岩が浮いた。
 四本の光刃は、離れた位置の上下左右から一気に攻撃してきた。ヨーダは大小さまざまな岩をフォースで操り、それを防ごうとするが、光刃はそれらを両断した。それもヨーダの狙いだった。両断された岩は落ちずにそのまま一本のライトセーバー本体を挟み込み、破壊した。
 ヨーダは止まって振り返った。無数の岩は、ヨーダを避けるように地面に落ちた。ゴツゴツゴツ、という音が辺りに響きわたった。
 残るは三本、紫と青のライトセーバーが横に並び、その後ろにグラドゥの黄色い光刃が見えた。それぞれ独立したようにヨーダに切っ先を向けたまま静止していた。
 そこで不思議なことが起こった。三本のライトセーバーに、それぞれ持ち主と思われる姿が見え始めたのだ。身体の輪郭が少しぼんやりしているので、実体とは思えない。
 紫の光刃の持ち主は若く、すらりと背の高い人間の男性だった。青の光刃の方は、縞模様が入ったツノのような触覚を持つトグルータの少年だった。その向こうに、黄色の光刃を持つ、若い頃のグラドゥがいた。
 
 (ヨーダの物語 98へ続く)