ヨーダの物語 72
【前回までのあらすじ】
少年ヨーダはジェダイ・アカデミーに通うジェダイ・イニシエイト。
親友ギークは、元シス・ツキシマとの戦いで顔に傷を負い、さらに謎の老人レイゴウと戦うが完敗する。そしてレイゴウのもとで修行をし、ダークサイドに堕ちてしまう。そしてジェダイ・マスターふたりを殺し、ヨーダにも圧倒的に勝つ。
ヨーダは、師匠となる(かもしれない)グラドゥの住む星へ到着し、グラドゥを知る老婆に出会う!
ヨーダはおばあさんに背を向けていたため、いま起こったことに全く気がつかなかった。
おばあさんは歩き続けた。ヨーダはやっとさきほどまであった殺気が無くなったことに気づいた。
「おばあさん、怖がらないで聞いて欲しいんですが、さっきまで何か殺気を感じて警戒していましたが、相手は去ったようです。安心してください。もしかしたらですが、何か命を狙われるような心当たりはありませんか?」
「あいつらに訊いてみるといいよ」
おばあさんは顎を上げて前方を示した。前方から猛スピードでいかついスピーダー6台が轟音とともにやってきた。それぞれのスピーダーにふたりずつ乗っているようだ。
ヨーダは一気に警戒心を強めた。みな軍隊のような格好をし、ライフルブラスターを背負っていた。なんでこんな星に軍隊がいるんだ?と思うと同時に、全員からものすごい殺気を感じた。さきほど感じた殺気とは別物だった。ヨーダは警戒心をさらに強めた。
スピーダーが、ヨーダとおばあさんから20mほど手前で止まると、12人全員がスピーダーを浮かせたままライフルブラスターをこちらに向けて構えた。ヨーダはライトセーバーをいつでも起動させられるように身構えた。
リーダーと思われる男が叫んだ。
「ばあさん!遠くから見させてもらったぞ!まえに森の中に入った仲間たちが全員倒されて記憶も無くしていた!魔法でも使うとんでもなく強い用心棒が森にいると思ったが、どうやら間違っていたようだ。あんたが森の用心棒だったんだな。しかも魔法使いではなく、ジェダイ・マスターだ」
ヨーダはわけがわからずぽかんとしたが、老婆を見上げていると、だんだんジェダイ・マスターの威厳のようなものを感じてきた。 QQ11は、腰を曲げたおばあさんとヨーダを首を振りながら交互に見ていた。
「ひいふうみい・・。ざっと12人といったところかい。修行を始める準備体操だ。あの12人の傭兵を全員倒しな。ただし、ライトセーバーとフォースは使っちゃいけないよ。代わりにこの杖を貸したげるわ」
おばあさんは自分の木の杖をポイっとヨーダに投げた。ヨーダは驚いて両手でなんとか受け取った。その杖は見た目より重く、本当に木なのか?と疑ってしまった。とても普通の老婆に持てるような重さではない。
「まさか、あなたがグラドゥ・・?」
「ボーッとしてたらやられちまうよ」
言っている間に12人の傭兵たちはライフルブラスターを一斉にふたり目がけて撃ってきた。
グラドゥはフォースでバリアを作りそれらから身を守った。光線群はグラドゥを逸れ、うしろの岩山にあたって崩れた。
ヨーダはフォースを使ってはいけないと言われたので、飛び上がってなんとかよけた。
「籠の中の山菜も落とさないように。落としたら失格だよ」
グラドゥは俯いたまま言った。
「失格?」
(失格って、修行させてくれないってことか?)空中でヨーダは思った。
次々と撃たれる光線群を空中でなんとかよけたが、山菜が飛び散ってしまった。着地したヨーダは、あとからばらばらと落ちてくる山菜を、高速で動き回り籠で全部受けとめた。
そんな様子を見て傭兵たちはゲラゲラと笑ったが、すぐにライフルを構えなおした。
「ガキめ、あの籠の中、まさか『原料』を持っているのか?」
「ガキも殺して原料をもらっちまおう」
またもやライフルブラスターの光線の乱射が始まった。ヨーダは覚悟を決め、光線をよけながら傭兵たちに近づくことにした。
自身のライトセーバーかあればこんな光線は跳ね返してみんな倒せるのに、それができない。しかしグラドゥが言うのだから仕方がない。
ヨーダは光線群をギリギリでよけ、服にも穴をあけられたが、縦横無尽に飛び回りながら敵に少しずつ近づいていった。傭兵たちはヨーダの機敏さに驚きながら、だんだん近づいてくる謎の少年に恐怖心を抱いていった。
光線の乱射によってヨーダの後方にある大きな岩などは穴だらけになって崩れていった。
(ヨーダの物語73 につづく)