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27. 響くセッション

オンタリオ湖の上を、鳥が列を成して飛んでいる。
湖畔には野生の狐。
人々はBBQをしたり、親しい友人とただ自然の中で遊ぶ。
僕はそんな湖を散歩しながら、豊かさとは何かと考える。
@カナダ、トロント




先日、とても響くセッションがあったので、そのことについて考えたいと思う。(守秘義務があるので、クライアントが特定されるような情報や具体的な話の内容は出しません。)

お相手は20代後半の仕事熱心な女性。
自分の考えを持ち、大切にしたいものを大切にしながら、一生懸命に今できることをしている方だった。

賢く、自分の思いに正直なタイプの人に多いのは、考えがまとまっていて、今の行動にもほとんど迷いがないということ。
すらすらとこれまでの仕事の話や、自分の価値観について語ることができる。

そんな話を聴きながら、このセッションでは感覚に焦点を合わせたいと思った。
まだ考えがまとまっていない、自分をもっと深掘りしたい、という方に対しては、将来をイメージし、ビジュアライゼーションしてもらうことでその将来像の具体化を手助けするようなセッションをすることもある。

だけど、今回の女性は、自分の選択や行動に確信に近いものを持っていた。
コーチングでは、気付けていることを再確認してもあまり価値がない。
だから、たっぷり仕事の話を聴いた後、抽象度の高い質問をまず投げかけた。

「どんな人生を歩みたいですか?そこでは、どんな自分で在りたいですか?」

そんな話の中から、大切にしたい価値観が伝わってきた。
いつもなら、その価値観がプラスに作用するような拡大質問をしていくんだけど、それは既に彼女の中で“既に気付いている”部類に入ると思った。
だから、今回はちょっと違った問い掛けをした。

「その価値観を意識した時、憤りを感じるようなことがあるなら、それはどんな時ですか?」

大切な価値観は、尊重されないとストレスになるし、憤りを感じるものだと思う。
だから、自分では意識的に考えないような、そんな問い掛けをした。

これが、今回の響くセッションでの一番のターニングポイントだった。

そこから話してくれたストーリーは、大切な価値観が強く反映されていて、それは今の行動にも無意識下で繋がっていた。

頭で考えたことは、まとまっているし納得がいく。だけど、表情に変化はない。気持ちにも動きがない。なぜなら、それは意識の中に元々あるカードをただめくって表にするような作業だからだ。

だけど、そんな行動の根底には、大切にしたい価値観がある。
そして、その価値観を作るに至るストーリーがある。

そんな話を、コーチとして僕は全力で傾聴している。
その話に感動した訳でもない。共感したという訳でもない。心の中心にある柔らかい核のようなものが、話してくれているその人の響きと同調したのだろう。僕は涙を止めることができなかった。

今回のセッションでは、コーチが意識的にセッションのハンドルを握ることで、クライアントがより深い気付きを得ることができる、ということを学んだ。
そして、改めてコーチングを通して人を応援したい、と強く思った。


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