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04. 心開く斜めの関係

フィリピン海沿いの田舎町でバスケをする少年たち。
物は多くない。だけど豊かに過ごしている。


今日は斜めの関係についてお話していきたいと思います。

誰かと何かを話すとき、相手との関係性によって話す内容や、自分のキャラクター、口調は変わるものですよね。
例えば上司部下のような上下の関係であったり、友達や家族のような横の関係の場合には、相手との関係維持や自分の見え方みたいなものも意識されるので、正直に何もかもを話す、というのはなかなかできないものです。

何をどんな風に話すという以前に、自分の内側にある考えや感情すら、相手によって変わるかもしれません。


ところで、僕は以前カタリバというNPO団体の活動に一時期参加していました。世界一周をする少し前のことです。
活動には、大学生や社会人が参加していました。
僕たちが高校に出向いて、大学生/社会人が1人+高校生5名前後のグループを作る。
そういった”斜めの関係”の人が、進路などについての話を聞く。

そんな活動をしているNPOでした。

なぜ敢えて知りもしない大学生や社会人に話をする必要があるのか。
それは、良くも悪くも、自分とはあまり関係のない人には心の内を話しやすいからだと思います。
そこには、壊される恐れのある関係性は元々存在しないし、友達や家族に話した内容が漏れる心配もない。

だから、安心して話すことができます。


先日読んだ、LISTEN(Kate Murphy著)という本には、
『バーテンダーに対しては、饒舌になる人が多い』と書かれています。
直接関係のない人だからこそ、普段人には話さないことも話してしまうのでしょう。

僕がコーチングを終えた後にお相手から頂いたフィードバックでも、同じようなことを言われることがよくあります。


いくつかの教派のキリスト教では、自身の罪を告白する告解の為の小さな部屋が教会内に設けられています。もちろん外からは内部を見ることは出来ず、声も聞こえません。
世界を旅する中で、告解のために教会訪れる人々を何度も目にしました。

そこは、安心の場です。
何でも話して良い。
自分の罪や心の内を人に話すのは、普段であればなかなか難しいもの。
だけど、それを話すととても気持ちが楽になるし、口にする前の自分から一段階良い状態になれるものだと、経験則からも信じています。

「王様の耳はロバの耳!」
穴を掘ってそう叫んだ彼も、きっと本当は誰かにそのことを話したかったのでしょう。
だけど、安心して話せる人は誰もいなかった。


コーチングは、知らない人と話すケースが多数派です。
「知らない人に何を話すの?」と思われるかもしれませんが、知らない人にだからこそ話しやすいという側面があるようです。

また、コーチングの大原則として、コーチには守秘義務があります。
コーチは、そこで得たクライアントの情報や話を、クライアントの許可なく漏らすことはありません。
妻にすら、コーチングで得た内容は話していません。

それが、クライアントの安心を作り、そして自分の心のできるだけ内側にリーチすることに繋がるからです。


家族も友達も、上司も部下も、もちろん大切な関係です。
それに加えて、あなたにとっての”斜めの関係”も、有意義な存在になるかもしれません。


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