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41. 『本質的な変化』を考える

凸凹の道を走る、軽トラのようなバイクのような乗り物を、若者が運転してる。
概ね行きたい方向に進んでいたので、「ヘイ!乗せてくれ!」とスペイン語で声を掛け、荷台に一緒に乗せてもらう。こういうのはフローが大事なのだ。
何を奪うでも与えるでもない、何を期待するでも警戒するでもない。
僕らはただ同じ空気の中にいた。ただそれだけだった。
@パラグアイ、イグアス居住区



コーアクティブ・コーチング

僕が学んでいるコーチングスクールのCTIでは、コーアクティブ・コーチングというものを提唱している。
CTIは様々あるコーチングスクールの中でも老舗の部類で、世界最大のコーチングの組織であるICF(国際コーチング連盟)から、世界で初めて認定されたプロコーチ養成プログラムを提供するスクールでもある。
ちなみに、スクールの費用がとっても高いことでも有名で、1年7ヶ月の世界一周に掛けたお金の半分くらいを、これまでに支払った。

その分、中身はかなり濃く、深い。
比較しても仕方ないし好みもあるかもしれないけど、別の有名どころスクールで中盤くらいまで学んだ内容と比べると、深みが全然違うと感じた。

そして、本当にその人の内側から感覚が変わっていくような、そんなアプローチをするのもCTIの特徴と言える。瞬間的にモチベーションを上げるとか、小手先の方法論では全くない。
これが僕の求めていたコーチングの在り方だと信じられている。


CTIにはコーアクティブ・モデルというものが存在する。
一見すると魔法陣のような謎のマークだけど、そこにはコーアクティブ・コーチングにおける大切なもの全てが描かれている。

タイトルにもなっている『本質的な変化』も、その内の一つ。


本質的な変化とは

最近考えているのは、コーチングを通して目指すものは、行動や考え方が変わることではなく、その人が本来持っている感覚に戻ることなのではないか、ということ。
そして、それを『本質的な変化』と呼ぶのではなかろうか、と。

イメージするのは水晶玉。
コーチングを提供していると、人の心の奥には必ず美しい価値観があり、それを発揮させたいという願いが潜んでいることがわかる。
だけど、普通に生活をしていると、常識だとか周囲の目、自分の成功体験失敗体験からの思い込みなどによって、その水晶玉が汚れたり傷ついたりしてしまう。
そんな状態から本来の感覚を感じ取ろうとしても、上手くはいかない。
本質的な変化とは、水晶玉を綺麗にして、本来潜んでいる本当の価値観に気付くこと。更にその価値観に従って生きていくことなのだと今は信じている。

自分の感覚にフィットしていない考え方や行動を一時的に取ったとしても、そこに違和感があるのであれば、すぐに元に戻ってしまう。生き物には恒常性(ホメオスタシス)があるし、これまでの在り方や行動を変えたくないという生存本能があるから、それは当然のことと思う。

だから、コーチングでは事柄にフォーカスをせずに、その人に焦点を当てる。特に、その人の感覚に焦点を当てる。
その人自身の持つ感覚を具体的にイメージし、広げ、展開させ、内側の奥の奥に入り込んでいく。そんなアプローチ。

そうすることによって、自分が本当に望む状態での感覚を、ある意味疑似的に体感することが出来る。(ここまではコーチングセッションで到達する。)
そして、その感覚を持った状態で、現実での課題に対して行動してみる。(こちらはクライアントがセッションとセッションの間にやってみること。)
ここでは、”その感覚を持った状態で”というのがミソ。これが無ければ、先に書いたような恒常性によってそれまでの状態に簡単に引き戻されてしまう。
だけど、”その感覚を持った状態で”行動を取ることによって、本当は自分はどう在りたいのかに気づき、また何を学んでいくことができる。

こうして、”その感覚”を自分自身の身に染み込ませていくことで、コーチングで扱ったテーマ以外についても、自分にとって違和感のない”その感覚”で生きていくことができる。
考え方や行動が変わるのは、その先のこと。だから、恒常性に引き戻されにくい。自分の感覚にフィットしているから。


何よりも結果が大切?

ちょっとショッキングなことを言うと、コーチングを受けても元々望んでいた結果を得られるかどうかはわからない。

だけど、考えてみて欲しい。
人生は結果を得ることが何においても大切という訳ではなく、その人が自分の生き方や行動に納得感を持ち、自分らしく生き、そして充実感や喜びを感じて生きていくことが大切なのではないだろうか。
そう考えると、元々望んでいた結果を必ずしも得なければいけない訳ではない。
むしろ、結果だけは得られても、自分の感覚にフィットしていないのであればそれは本末転倒ではないか。

もちろん、結果にこだわるべきシーンもあるかもしれない。
そういう時には、コーチングよりもティーチングやコンサルティングの方が機能するシーンもあるでしょう。コーチングは癌も骨折も同時に治すような万能薬ではないし、物事には使いどころというものがある。


「今の自分を変えたいとは思ってないんだけど」

これは、先日友人にコーチングの説明をした時にもらったコメント。
それから、時々このことを思い出しては考えていた。

ところで、生きていく上で違和感がなく、納得感や確信を持ち、「こうやって生きていきたい!」と、あなたは思えているだろうか?
誰しもがそんな風に思い続けているだろうか?

実際にはそんなことは無いと思う。
コーチングを受けることは、今やこれまでの自分を否定することとは違う。
生きていれば悩みはあるし、物事の捉え方の視野が少なからず限定的になることもある。水晶玉の比喩を用いるなら、汚れが付くこともある。目標に対してもがくこともあるでしょう。
そんな時、自分が本当に大切にしたい感覚を掴み、それを大切にして生きていったら、きっとあなたの人生はもっと充実感に溢れた豊かなものになる。


人生をより自分らしく

感覚を本来持つ美しい状態に戻し、その上で価値観に沿って人生をより自分らしく生き、充実感を感じながら日々を暮らしていく。
それがコーチングの効果であり、本質的な変化と呼ばれるものなのだろう。


コーチングホームページ - rashiku -

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