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出版社はなぜそうするの?プロのボードゲーム出版社が、お客さん側の疑問に答える記事

1.はじめに

お世話になっております!!!!!!!
うちばこやの田中です!!!!
いやー、最近のボードゲームの値上がりは凄まじいですね。
最近買ったGWTニュージーランドとアルゼンチン、テラミスティカ革新の3つだけで4万円を超えちゃって、ボードゲーム、高なったなぁと日々感じているところです。
僕が始めた頃の7年前なんて「オーディンの祝祭」の1万円ちょいですら高いな〜と思ってたので、その頃の価値観のまま、だいぶ買う量が減ってきました。
友達と分担して購入し、新作をなんとか一通り遊べているような状況です。
1消費者としては、ちょっと買っただけで月4万以上かかる趣味ってしんどく、なるべく安くして欲しいところですよね。

ただ、この異常な値上がりも出版社をしてると理由がわかり「この状況、誰も悪くねえ〜!!」と感じています。

そこで!今回!
①出版社として、お客さんが持っている疑問について回答し、お客さん側の疑問や不満をなるべく解消する
②出版社として、お客さんの意見を聞き、今後の開発に役立てる

という2つの目的のために、以下のようなツイートを行い、いただいた質問を回答する記事を書くことにしました。

想像以上に沢山の質問をいただき、本当に感謝しています!興味を持っていただき、ありがとうございます!

2.筆者について

筆者は2019年7月から、4年間と少しボードゲーム出版社うちばこやを経営しています。

可愛くてとても気に入っている自社ロゴ


ローカライズの経験はほとんどありませんが、自社出版とリメイクを通して、ボードゲーム出版の全てのフローを複数回経験しています。
当社の代表作は「Amalfi」「Aqua Garden」「Ostia」などです。

筆者のスタンスは以下です。
①noteを通してお客さんに情報を透明・誠実に公開し、意見交換を通してお客さんの方向を向いた出版社を目指しています。
②より良い作品制作とメンバーの待遇改善、持続した事業運営のために、出版社には利益がなるべく出て欲しいと思っています。
③ボードゲームがめちゃくちゃ好きです。

3.質問への回答

本記事の執筆にあたって、ライセンス会社M.O.B vanguardの友人や、ローカライズ経験豊富なボードゲーム出版社の友人にご協力いただき、なるべく回答の正確性を保つように努力しました。
しかし、以下の回答は個々の経験に基づくもので、推測も含まれます。
特に自分の解答部分に関しては独学で事業を進めてきたため、実態と異なる場合があります。
この記事の目的を達成するため、有識者より指摘を受けた場合は記事の内容を変更する可能性があります。
有識者の方の指摘をお待ちしております!

謝辞

当記事の執筆にあたって「顧客の疑問をなるべく解決し、今後の開発に役立てる」という目標に賛同していただき、お忙しい中協力いただいた株式会社ケンビルの丸田さん、ライセンスエージェントのM.O.B vanguardのKevinさん、Michaelさん、質問に答えてくれた友人たち、ライティングに協力してくれたゴクラクテンさんに心より感謝します。


事前に知ってほしい概念

これから質問に答える前に、知っておいてほしい概念があります。

それが「MOQ」についてです。

「MOQ」とは「Minimum Order Quantity(最少受注数量)」の略です。
たとえば、MOQが1,000だと「生産は最低1,000個から受け付けますよ」という意味になります。

MOQは拡張セットのような需要が限られるものでは少なく、小箱のようなある程度の需要が見込まれるものは多くなる傾向にあります。
海外ボードゲームの出版権を得て生産する上で、必ず契約の中に含まれる数字です。

それではこの概念を踏まえた上で、質問に答えていきます😎
まずは株式会社ケンビルの丸田さんの回答を引用し、ローカライズ関連の質問に答えていきます!

Q1.再版はどうやって決まる?どうしたら再版されやすくなる?

向こう半年以内に在庫が尽きる見込みがある場合、再版が検討されます。

具体的には「残りの在庫本数」を「そのタイトルの月平均販売個数」で割って算出します。たとえば在庫が残り100個で、毎月平均して20個売れていたとすると「あと5ヶ月でなくなりそう」ということがわかります。

再版できるかどうかの判断は、先に述べた「MOQ」がキーになります。

「MOQ」を「そのタイトルの月平均販売個数」で割ると、最小数量で再版したときに、どのくらいで在庫が完売するかが求められます。

ここでもし完売までに10年以上かかるようならば再版は現実的ではありません。

コンスタントに売れ続けているタイトルならば、完売までにかかる期間が現実的な範囲となり、再版が検討されます。

ただし、すでに完売から何年も経っているタイトルは「月平均販売個数」のデータが古く、不確実性が増すため、再版されづらい傾向にあります。

そもそもの一般論として、再版されたタイトルよりも新作のほうがよく売れます。

そのため、売れ行きが怪しいタイトルは在庫がなくなり次第終売となり、出版社は新作の生産にリソース(現金や時間)を集中させることが多いです。

さらに現在は円安ということもあり、再版する場合、当時よりも値段が高くなることがほとんどです。そうなると在庫リスクが高まるため、ますます再版が難しくなってしまいます。

これらの理由から、完売から数年が経つタイトルは再版が難しくなります。

もしSNS上でそのタイトルが流行り、あちこちでそのゲームが遊ばれるようになれば再版の可能性はゼロではないかもしれません。

しかし現実的に考えて「無理なものは無理」と結論が出てしまっているケースも多いです。

Q2.拡張の日本語版が出ないのはなぜ?

基本セットは日本語版が発売されているのに、拡張セットは日本語版が出ていない。こういったケースはめずらしくありません。

拡張セットはその性質上、基本セットよりも多くの個数が売れることはありません。

そのため、基本セットが商業的にギリギリなタイトルだと、拡張セットのリリースを見送られることが多いです。

出版社としても在庫を抱えてしまうよりかは、リソースを新作に集中させたいのが正直なところです。
ゲーマーの1人として、ユーザーのために可能な限り拡張セットをリリースしたいと思っていても、事業として現実的でなければ慎重にならざるを得ません。

結論としては「基本セットの販売個数が伸びない限り、拡張セットの日本語版はかなり出しづらい」ということになります。

ケンビルさんは拡張割とちゃんと出してくれてありがたい
(引用元: http://kenbill.com )

Q3.和訳付き輸入版が流通した後に日本語版が出るのはなぜ?

和訳付き輸入版のメリットは販売リスクが少ないことです。

少ない個数を発注でき、さらに販売開始までの期間も短くなります。

デメリットは利幅が小さいことです。

日本語版を作ったほうが原価が大きく安くなるため、和訳付き輸入版を何度も再入荷するくらいならば日本語版を生産したほうが利益が大きくなります。

和訳付き輸入版は「MOQを売り切るのは難しそうだけれども面白いゲームだから日本のファンのために販売したい」「過去に出したタイトルの関連作品だから出したい」「売上の見込みが立たないから市場の反応を見たい」といった場合に販売されることが多いです。

和訳付き輸入版が市場調査でポジティブな反応が得られたので、そこから日本語版のリリースにつながったというケースも多いのではないかと思われます。

Q4.BGGランキングで上位なのに日本語版が出ないのはなぜ?

ローカライズする上で大変なのが権利の取得です。

「このゲームの日本語版を出したい」と思っても、どこが権利を持っているかがわかるまでに時間がかかることもよくあります。
また、ようやく権利者がわかり、コンタクトを取ってみたものの、何の反応もないこともめずらしくありません。

BGGランキング上位にもかかわらず、日本語版が出ていないタイトルは、面白そうに見えるものの売上の見込みが立たないことがあります。

その理由としては以下のようなものが考えられます。

  • 日本市場にマッチしていない

  • MOQが極端に多い

  • 翻訳コストが高い

  • 円安のために販売価格が高くなりすぎる

また、何らかの理由で海外のパブリッシャーがローカライズに消極的なこともあります。

これらの理由のいずれか、または複数が該当するために日本語版が出ていないことが多いです。

Q5.スターウォーズのような版権ものの日本語版はなぜ出すのが難しい?

版権ものの日本語版が出せるかどうかは、ボードゲーム版を企画した海外出版社のサポートに依るところが大きいです。

たとえばケンビルさんでは「Slay the Spire」ボードゲーム版のローカライズを担当しています。

この作品はボードゲーム版を企画した海外出版社がデジタル版のリリース元とすでに話をつけていました。
「どの言語でもデジタル版と同じカード名を使ってもいい」という制作環境になっていたため、ローカライズもスムーズに進みました。

もしもっと「Slay the Spire」の市場規模が大きく、さまざまな権利を管理する日本法人がいて、商品名などに高額な使用料や細かい規則などが定められていれば、ここまでスムーズにはいかなかったはずです。

元作品の市場規模に対して、海外出版社と上手く協力できるかどうかが版権ものの日本語版を出せるか出せないかの基準となることが多いと考えられます。


ここからは、僕の意見を回答します👇

Q6.どうしてカードをスリーブに入れるとインサートに入らない?

スリーブに入れると入らなくなってしまうにはいくつかの理由があります。

1つ目は慣習に従っているためです。

これまでと同じようにやって特に売上に影響がないならば、対応する必要はないと考える事業者は少なくありません。

2つ目は製造時のデータ受け渡し時の変更エラーです。

一般的な紙媒体の印刷物と異なり、ボードゲームにはさまざまなもの(インサートやボード、タイル、紙、プラスチック、レジン等)が入っています。
そのため、印刷データを入稿側で完全に用意することは困難です。

そのため、入稿されたデータを工場側で製造用のデータに整える工程があります。
その際、細かなサイズやレイアウトが変更されてしまう可能性があります。

例えば、以下の画像が提出したデータで、その次が実際に届いた製造用データ、その次が届いたインサートの写真です。

提出したデータ(設計:うちばこや)
製造用に調整されたデジタルプルーフ
実際に届いたサンプル写真

ご覧の通り、明らかにレイアウトが異なっていることが分かると思います。(特に、スタートプレイヤーマーカーを入れる丸いスペースが顕著です。)
こうなると、本来の設計の意図とは全く異なったものが出来上がってしまい、カードスリーブは入らなくなってしまいます。

そもそもデジタルプルーフとは「製造用データを出版社側が確認・承認し、今後何か印刷時にミスが起きた時の責任の所在を明確にする」という意味があります。
それ以降でも変更されてしまうケースも多々あり、これを後から修正するとなると、2-3週間など結構な時間がかかります。
納期等含め、製造はアンコントローラブルな事が多いです。(念のため、今依頼している工場は他の多くの工場よりエラー率の低さ等で優れており、多数ある中から選んでいます。)

3つ目はデータ設計を委託することが多いためです。

ボードゲームの出版社の多くは小規模な事業者で、ゲームを作る専門家として日々鍛錬に励んでいますが、3Dデータの設計の専門家ではありません。
社内に3Dデータの作成ができる人がいないことも多く、データの作成を外注することが多いです。
依頼相手がGametraysさんのようにボードゲームに詳しい方であれば問題ありませんが、多くの場合、製造工場のモデリング担当者がデータを制作します。(基本的に同じ委託先に一括で依頼した方が楽なためです。)
担当者さんがボードゲームにあまり詳しくない場合(担当者さんは割と頻繁に辞めて変わったりするので、ゲームを一切やらない方もいます)、スリーブなどは考慮されない場合が多いです。

Q7.どうして内容物の項目にカードサイズが書かれていない?

内容物の項目にカードサイズが書かれていることはあまりありません。

カードサイズが書かれていない理由は、主に制作のフローとリスクの問題だと思います。

グラフィックデザイナーさんに依頼する時は、可能な限り仕様を確定させてから依頼します。
ですが、カードサイズが指定した物だと小さすぎて情報過多になったり、より良いアートにするために製作中に仕様からサイズを変更する場合があります。
そうなってしまうと、仕様で指定した数字と実際のコンポーネントの数値が異なってしまう場合があります。
そうなると「カードサイズを記載したものの、実際のカードサイズと異なる」という目も当てられないエラーが起きてしまいますので、記入するサイズの指定は最後のタイミングで行う必要があります。

ですが、このタイミングでは他にもやることが沢山あり、売り上げや利益、販売数のアップにつながりにくい情報の記載に関しては気やリソースが回らないことも多々あります。
また、記載しなければ上記のエラーが起こる可能性は0なので、変えることでエラーが起こるリスクが上がります。
そういった背景があり、特に変える必要を感じていない出版社が多いのだと思います。
個人的な意見としては、製造する工場や工場側の誤差、ミスで製造後にカードサイズが変わってしまうこともあるのであまり載せたくありません。

最近では、僕の友人の経営する韓国のUnder Dog Gamesさんなどでは、箱裏にスペースがあるなら記載するようにしているようです。

Q8.カードサイズにバリエーションが多いのはどうして?

ウイングスパンのようにボード上にたくさんカードを乗せる場合など、面積に何らかの制約がある場合、通常よりも少し小さくすることもあります。
それ以外のケースでは、特にカードサイズを変える合理的な理由はあまりないので、工場やアートワーカーとのコミュニケーションエラーや誤差がほとんどではないかと思います。

Q9.得点シートを入れられるインサートにゴルフ鉛筆を入れるスペースがないのはなぜ?

ゴルフ鉛筆はコンポーネントに含まれないためです。
ゲーム出版社は様々な要望を寄せられますが、そのすべてに対応するのは不可能です。
一律で不対応とした方が問題が起きにくいため、コンポーネント以外が入るようなインサートはほとんどの場合設計されません。

Q10.インサートにはどうしてどこに何を入れるかが書いてない?

インサートの作成は、製造時の誤差を加味して、実際のサンプルを測定しながら行います。

そのため、他の印刷物と入稿タイミングが異なります。

そうすると箱の側面や中に入れるのはデータ差し替えのコストがかかってしまいます。
一度入稿したデータの差し替えは、工場、入稿側共にかなりリソースがかかる作業のため、なるべくならば避けたいところです。

最近ではストーンマイヤー社のゲームや、イーグルグリフォン社のLacerda大箱シリーズなどでは表示するケースも増えています。

うちばこやは、今後はなるべく写真をBGGなどにアップするなどして対応する予定です。

Q11.拡張セットの箱に基本セットが入るようにするのは難しい?

箱を大きくすることで輸送費が高騰するため、難しく現実的なアイデアではないと思います。

基本セットに拡張セット用のスペースを確保しておくことも、なかなか難しいです。
拡張セットは基本セットの反応を見ながら制作することが多いため、輸送費の増加を吸収できないリスクがあるからです。

Q12.ボードゲームの箱はなぜ規格がない?いろいろなサイズの箱があるのはどうして?

300×300×70などの所謂大箱サイズ、アミーゴ小箱サイズなど、いくつかの規格のような箱はあります。

ですが、他会社と揃えることで価格が安くなるなどのメリットが特にないため、製品に合わせて最適だと考えられるサイズをそれぞれ指定します。

オインクゲームズさんやラセルダ氏の大箱シリーズのように、箱のサイズを統一して、ブランド認知のパーツとして用いられることもあります。

Q13.ボードゲームの箱が正方形だったり、長方形だったりと統一されていない理由は?

箱のサイズは、さまざまな要素を加味して決められます。

たとえば、売り場でどのくらい目立つか、どのくらいの価格で販売するか、どのくらいのウェイトなのかなど、いろいろな要素が考えられます。

基本的には同じ箱サイズにしたほうがブランドの統一感が出るため、同一出版社内であれば、特段の理由がなければ揃えた方がメリットは多いと思います。

うちばこやの場合は、あまり小売店の棚に並ばないビジネスモデルのため、売り場での目立ちやすさは特に考慮せず、輸送費と内容物の詰まり具合、持った時の満足感、販売したい価格などを加味してサイズを決めることが多いです。

Q14.箱ばかり大きくて中がスカスカなゲームがあるのはなぜ?

上記の回答と被る部分もありますが、箱サイズは様々な要素で決まっているためです。
箱を大きくするとその分輸送費も上がってしまうため、必ずしも大きい箱が優れているわけではありませんが、満足感という点で見れば大きい箱の方が多くのお客様に好まれる傾向にあると思います。

Q15.箱のサイズを業界で統一すればコストが下げられるのでは?

共通のサイズを使ったとしても、特にコストは下がらないと思います。

また、ボードゲーム業界は大多数が中小企業のため、横の繋がりが弱く、多くの企業でサイズを統一するのはまず不可能だと思われます。

ゲームによって中身がぎっしり詰まりすぎてしまったり、スカスカになってしまったりすると満足度が下がってしまうため、それぞれのゲームにあった箱のサイズを採用するほうがメリットが大きいと思います。

Q16.ボードゲームが昔よりも高くなってきているのはなぜ?

円安と輸送コストの増大が大きく関係しています。

ボードゲームを製造する上での支払いは、ほとんどドルで行うため、円安の影響をモロに受けます。
具体的には為替レートがここ2年で約1.4倍になったため、出版社が負担するコストは1.4倍になっています。

2年前くらいに重いゲームを1000部作ろうと思うと諸々込みで200-300万円くらいかかっていたので、今は1.4倍して280〜420万円くらいかかることになります。
上がった分の80万〜120万円を1000部で割ると、1セットあたりの原価が800円〜1200円値上がりしてしまいます。

また、コロナ禍で上がったコンテナ価格もなかなか下がらず、3-4年前と比較して輸送費は3倍以上かかるケースもあります。

コンテナは、基本的に行きも帰りも荷物を積むことで効率的に利益を上げます。
中国の海産物の輸入停止などによって、日本から中国に向かうコンテナが減ると、当然中国から日本に向かうコンテナ数も減ることになります。
他にも燃料価格が上がり、燃油サーチャージが値上がりしていることも要因の一つだと思います。

また、ボードゲームが複雑で多要素を内包するように進化したことにより、内容物が増え、そもそものベースの価格が上がっていることも要因の一つだと思います。

Q17.ダブルレイヤーボードは普通のボードよりどのくらい高い?

製造する上でのコストはだいたい1.3~1.5倍程度です。

これは意外かもしれませんが、製造費よりも問題になるのは輸送費です。

ダブルレイヤーにすることで、重さが約1.8-1.9倍になるため、輸送費が上がってしまう可能性が高いです。

ボードゲームの原価のうち、輸送費が占める割合はかなり大きく、製造費4割、輸送費4割、その他2割程度となります。

国をまたぐような流通をする場合、重さはかなり重要なポイントになってきます。

Q18.ボードゲームはデジタルゲームと比べて遊ぶまでのハードルが高い。どうしてもっとわかりやすい方法を取り入れないの?

デジタルゲームと比較すると、ボードゲームはどうしてもハードルが高くなってしまいます。

その大きな理由が、ボードゲームは遊ぶまでに処理を含むすべての情報を正しく理解しなければならないからです。

人間が処理をするボードゲームとCPUが処理するデジタルゲームでは、遊ぶまでに理解すべき情報の量が大きく異なります。

ギャラクシートラッカーのチュートリアル風ルールなど、ボードゲームでもルールをわかりやすくするようなさまざまな試みがなされてきましたが、決定的な答えはまだ出ていないように思えます。

BGAでは比較的短いルールで理解し遊ぶことができるので、やはり処理の部分がネックになっていると認識しています。
この部分が改善できれば、大きなブレイクスルーになり、より多くの人がボードゲームを遊べるようになるかもしれません。
誰か賢い人、解決策を考えて教えてくれ〜!!!

Q19.日本独自のゲーム賞はなぜ開催されない?

海外ではさまざまなゲーム賞が存在しており、賞の受賞を購入の目安にしている人も少なくありません。

日本でも業界関係者が立ち上げたゴールデンボックス賞という賞が開催されています。

引用元( https://x.com/goldenboxbga?s=21&t=o9J7embS_8uaaHZhiN8gag )

僕も以前お声がけいただいたのですが、僕は自社ゲームにとても時間をかけており、子供のように大切に思っています。
自社と他社のゲームを混ぜた際に、正確に評価できるほどバイアスを排せないため辞退しました。

権威のある賞を設けるためには、公正な評価ができるかどうか、ゲームを批評するだけの経験と知識の蓄積があるか、運営資金、バイアスを排せるか、どのような人選であれば公平かなど、さまざまな問題をクリアする必要があります。

また、ゲームの好みというのは多様です。
「自分たちがどういったゲームが好みなのか」といった内容を明確に発信する必要があります。
一緒くたに語るにはボードゲームという言葉はあまりに意味が広すぎるので、明確な層分け、評価した理由なども記載できるオープンで権威・影響力のある賞の登場に期待しています。(ゴールデンボックス賞さんがんばれ〜!)

Q20.ボードがとても大きいゲームがあるが、どのくらいの大きさのテーブルを想定して作られている?

うちばこやは1400×800のテーブルを想定しています。

Q21.商談から実際にユーザーの手元に届くまでは平均してどのくらいかかる?

早ければ4ヶ月、遅ければ2年以上かかります。

コストを下げるために、いくつかの出版社が集まって同時に製造するプリントラン形式の場合、さらに時間がかかることもあります。

Q22.初回の生産数はどうやって決める?

MOQか、市場調査に基づいて売れると判断した数、またはクラウドファンディング等で必要な製造個数を確定して決めます。

作りすぎてしまうと毎月保管費用がかかったり、新しいゲームのための運転資金が減ってしまうため、少し少なめに決定されることが多いです。

場合によっては再販できなくなる可能性を考慮して、少し多めに作って時間をかけて売ることもあります。
(1000セット印刷して1300人欲しいお客様がいた場合、300人のためにまたMOQ分印刷することはほぼ不可能です。よって、最初に少し多めに1500部くらい刷っておけば欲しい人に届けることが出来ます。)

Q23.ゲームごとの初版の流通数はどのくらい?

1,000~2,000部であることが多いです。

Q24.重量級ゲームはすぐに売り切れることが多いが、どのくらい製造されている?

1,000~2,000部が多いです。

大ヒットしたものだと再版を繰り返し、国内10,000~30,000部販売できることもあります。

Q25.うちばこやのゲームはどうして水っぽいイメージのタイトルが多い?

特に理由はありませんが、自分が綺麗だと思うものにそういったものが多いのかもしれません。

Q26.昔と今とで考え方が変わった点はある?

昔はどんな人であっても丁寧に説明すれば理解してもらえると思っていました。
しかし現在では、本人のバックグラウンドなどこちらではコントロールできない要因で、いくら説明しても理解してもらえないことがあるということを理解しました!

また、今まで様々な痛い目を見てきて、一緒に仕事をする人をちゃんと選ぶことの重要性を理解しました。
依頼費用の安さではなく、担当領域におけるクオリティ、コミュニケーションや責任感、仕事に対する取り組み方など、様々な要素を総合的に判断して一緒に仕事をする人にお声がけしていきたいと思っています。

以上!
皆様の疑問を少しでも解決できたら幸いです!
他にも何か質問があったらコメントしてくれると嬉しいです😋

うちばこや
代表 田中潤平

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