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合い言葉は「軽トラとチェンソーで晩酌を」 その2

前回の続き

木の駅の活動は素晴らしい。でも大きな課題が3つある。それを説明したい。

1.事業としての採算性
日本は国土の約70%が山岳地域になっており、森林も山間部に集中している。そのため、薪が広く普及している欧州のように大規模設備を使った効率的な木材の伐採、搬出が難しいのだ。伐採はチェーンソー、木材の搬出作業は人の手による作業がメインになる。自ら経験してみるとよく分かったが、これがなかなかに重労働だ。薪割作業には薪割り機を使うが、やはり人力に頼る部分は大きい。出荷作業も基本手作業。木材は非常に重いため、作業には常に危険も伴う。そして、こうして苦労して出荷した木材の価格はビックリするくらいに安い。1立米(立方メートル)、約500キログラムあたりが約1万円。つまり、1キログラムあたりわずか20円。逆にこれくらい安くないとエアコンの代わりにはなりえない。報酬は時間給で換算すると、アルバイトの最低賃金にも届かない。国からの補助がなければ大赤字の事業なのだ。

2.需要と供給のバランス
地域で採った木材は主に薪として出荷され、ボイラーやストーブなどで消費される。でも、日本ではこのような設備は高級品で、割合は非常に少なく、供給が有り余ってしまっているのだ。しかも、木の種類もスギ、ヒノキ、マツなど指定がありどんな木でも出荷できるわけではない。うちの地域ではせっかく切り出した木材の約半分しか薪として出荷できず、残りは産業用チップ用の木材としてタダみたいな値段で処分されてしまっている。需要と供給のアンバランスは平均出荷価格にも大きく影響する。

3.実行委員事務局の負担
作業者の手配から、保険の加入、出荷先の調整、地域通貨の発行、設備の保管メンテナンス、報酬の引き渡しに至るまで事務局の業務は非常に多岐に渡る。それらに対しての報酬を出す余裕はなく、ほぼボランティアになってしまっている。傍から見ていてもとても大変そうだ。メンバー高齢化に伴い、担い手も年々減少してきている。

素晴らしい活動でも続かなければ意味がない。事業採算性の改善が絶対に必要だ。正当な報酬が得られるようになれば、担い手も生まれ、法人化も可能だ。

ではどうやって事業としての採算性を改善していくのか。これはまた次回。

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