見出し画像

オーストリアで見かけた注意書き  

オーストリアで見かけた、注意書きについて、思いつくままに綴ってみました。

1.来た時よりも美しく

ドイツ語 英語 フランス語 イタリア語の順に書かれています

「来た時よりも美しく」という言葉は、日本ではかなり浸透していると思いますが、これに近い言葉がドイツの高速鉄道 ICE( InterCity Express )で見かけました。フランクフルトから、オーストリアのザルツブルクへ移動していた車内のトイレ付近です。

フランクフルト中央駅

うまく翻訳できませんが、

「この部屋を、あなたが出会いたいような状態にしておいてください」

                のような意味になりますかね。

この4つの言語の注意書きは、来た時よりも美しくしてほしい、トイレが汚れていたらきれいにしてほしい、ということまでは要求していないので、「来た時よりも美しく」とは厳密には異なりますね。

「来た時よりも美しく」は、サッカーの国際試合などで日本人サポーターが帰る前に、座っていた観客席周辺のゴミ拾いをする姿を、メディアで取り上げられる時に話題になった標語ですね。

なぜ他の国の人は多くの場合、試合後のゴミ拾いをしないのか、ということについて、ある人が、「もしゴミ拾いをしてしまうと、このスタジアムの清掃をする人の仕事を奪ってしまうことになるからだ」と言ってた人がいました。

そういう考え方もあるのだと、少し納得したことがあります。

おそらくこの「来た時よりも美しく」という標語については、私は半世紀以上前の小学校時代から知っていたと思います。遠足の時など、昼食で使った場所にすでにあったゴミも一緒に拾い集めて全部持ち帰り、来た時の状態よりも美しくして帰りましょう、という主旨だと教えられたような気がします。

ICEの車窓から

自分の通った小学校だけの標語かなと思っていたのですが、なんだ、世間一般に言われている言葉なんだと思ったことがありました。

でも、この標語にはもっと深い意味がある、という説もあります。

今、自分たちの世代が生きている世の中を、子孫に引き継いでいくのだたら、次世代が困らないように、地球をより良い状態にしておきましょう、という考えです。

ICEの車窓から 名も知らない小さな村 教会だけはあります

でもこの考えも、後から取ってつけたような主張にも思われますが、誰が最初に「来た時よりも美しく」と言い出したかは、おそらく解明しようがないでしょうから、真相は誰もわからないということになりますね。


2.球根が眠っています

みんなの公園です
注意してください
ここに球根が眠っていますから

この注意書きがあったのは、旅行パンフレットなどでウィーンを象徴する写真として、よく使われる場所です。ウィーン市立公園のヨハンシュトラウス記念像のまわりの、花壇にあったのです。(この像をモーツァルトだと勘違いしている人もいます。モーツァルト像は別のところにあります)

球根が埋まっていますので
立ち入らないでください   

    と書くよりは、植物に対する愛情があふれる言葉だと思います。

おそらく、市立公園内の草花を管理するスタッフの方が、考えた言葉ではないかと私は推理します。

では、なんの球根が眠っているのでしょうか。これはご自分で調べてみてください。
「ウィーン ヨハン・シュトラウス記念像」とでも画像検索すれば、答えは一目瞭然です。

ヨハン・シュトラウス2世は、ヴァイオリンを演奏しながら指揮もしたそうです。この黄金色の像は、1921年に完成・除幕式があったそうですが、その後1935年に黒に塗り替えられたそうです。

オーストリアにも「贅沢は敵だ」という風潮や運動があったのですね。しばらくは黒色のままだったのですが、1991年にあらためて黄金色に塗り替えらえたというエピソードがあります。


3.open fireを使わないでください

ウィーンのホテルの部屋にて (ドイツ語 英語 フランス語)

ホテルの部屋での火の取り扱いについての注意書きです。

・寝タバコはやめてください
・自分独自の暖房器具や熱器具を使わないでください
・open fireを使わないでください

一つ目の「寝タバコ禁止」は当然ですね。夜間の火災の大きな原因ですから。

右側の建物が、Hilton Vienna

寝タバコ、ホテル火災といえば、年配の人は1982年に発生した、東京都千代田区永田町のホテルニュージャパンの大火災を思い浮かべるのではないでしょうか。英国人宿泊客の寝タバコが原因で、死者33人、負傷者34人が出た大惨事でした。

スプリンクラーがほとんど設置されていなかったというのもショッキングでしたが、社長の蝶ネクタイ姿も印象に残っています。時代を代表する大惨事だったと思います。

3つ目の“open fire”とは、どんな火のことを指すのか、調べてみると、

例えば、ロウソクに火を灯す、マッチを擦る、キャンプファイアーをする

といった火を指すようです。

ライターなどでキャンドルに火を灯してムードを出して食事をする、というようことはをやりそうな宿泊客が、いそうですね。

ホテルのロビーには こんなオブジェ

このホテルはヒルトン系のホテルでしたが、様々な国籍の方が泊まっているので、常識では、考えられないようなことをする客も、中にはいるかもしれませんね。だから、あらゆることをカバーするような注意書きが必要になるわけです。

このホテルに宿泊したのは2018年だったのですが、ロビーに安倍晋三総理(当時は現職の総理)にとても似ているホテルスタッフの方(オーストリア人)がいたので、英語で「日本の安倍総理に似ている、と言われたことないですか」と尋ねてみました。

そうすると、彼は「よくわかったね。実は、私は彼の隠し子なんです、でも秘密だよ」と返してきたので、私は大笑いしました。おそらく、これまでも同じようなことを聞かれたことがあったのでしょうね。

ウィーンのリング大通りのトラム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?