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【餅】逆噴射プラクティス&自作創作物のまとめ

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自作の創作佛のまとめです。 逆噴射プラクティス参加作品とZINE的なヤツや一次創作、二次創作、Webサービス及び名状しがたい何かを収蔵します。
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#小説

『ジグジグ』

 アイツの告別式に会社からの出席者はひとりもおらず、自動生成の弔電が合成音声で読み上げられていた。息子の遺影と同じ顔の「俺たち」を見た老里親がギョッと顔を強張らせる。焼香を済ませた俺は里親に目礼をしてそそくさと式場を後にする。  式場のはずれにある喫煙所に俺たちが集まってきた。黙って煙を吐き続ける。俺たちのロットは紙巻きを吸う最後の自律治具らしく(後輩ロットは、そもそも喫煙習慣を持たない)自然と喫煙所にいるのは俺たちだけになった。  俺たちはロット不良と呼ばれる世代だった

『天使と眼棺(ひつぎ)』

朝、目を覚ますと所定の位置にメガネがなく背中に硬い感触がある時ほど恐ろしいことはない。俺は手探りでスマホのカメラを起動させる。 事故や災害で大切なメガネを失ってしまった時にはスマホのカメラ機能が役に立つ。たとえ50センチ先を判別できない視力でも、カメラ越しの映像は視界を鮮明に映し出してくれるのだ。 メガネを探すためファインダーを背後に向けると、そこには銃を構えた覆面男が映っていた。 「ア、アニョハセヨ~?」 「……」 向けられた銃口を咄嗟に払う。 耳朶をかすめた銃弾

逆噴射小説大賞2021 ふりかえり読書会ファイナルを開催しました。

いつもお世話になっております。お望月さんです。 逆噴射小説大賞の感想を募るために設置したDiscord「BARメヒコ」でファイナル打ち上げ懇親会を行いました。 #逆噴射小説大賞2021 とは?冒頭800文字を競う破天荒メキシコな小説コンクールです。賞品は名誉とコロナビールのみ。パルプ小説を募集しているものの、そのジャンルは実際多岐にわたり様々な作品が連なる由緒あるコンテストになっています。 打ち上げ懇親会のお知らせ 懇親会の様子 逆噴射小説大賞2021 ふりかえり読書

#逆噴射小説大賞2021 打ち上げ懇親会ファイナルのお知らせ(2022年4月2日21時~)

いつもお世話になっております。お望月さんです。 逆噴射小説大賞の感想を募るために設置したDiscord「BARメヒコ」では、今週末に打ち上げ懇親会ファイナルを予定しています。 開始時間は、2022年4月22日(土)21時からです。 #逆噴射小説大賞2021 とは? 冒頭800文字を競う破天荒な小説コンクールです。賞品は名誉とコロナビールのみ。パルプ小説を募集しているものの、そのジャンルは実際多岐にわたり様々な作品が連なる由緒あるコンテストになっています。 打ち上げ懇親

#逆噴射小説大賞2021 打ち上げ懇親会を行いました(読書会の報告)

いつもお世話になっております。お望月さんです。 逆噴射小説大賞の感想を募るために設置したDiscord「BARメヒコ」で打ち上げ懇親会を行いました。 #逆噴射小説大賞2021 とは?冒頭800文字を競う破天荒な小説コンクールです。賞品は名誉とコロナビールのみ。パルプ小説を募集しているものの、そのジャンルは実際多岐にわたり様々な作品が連なる由緒あるコンテストになっています。 打ち上げ懇親会の告知 懇親会の様子 読書会レポートこの記事では、打ち上げ懇親会のメインコンテンツ

#逆噴射小説大賞2021 打ち上げ懇親会のお知らせ(2022年2月6日予定)

いつもお世話になっております。お望月さんです。 逆噴射小説大賞の感想を募るために設置したDiscord「BARメヒコ」では、今週末に打ち上げ懇親会を予定しています。 #逆噴射小説大賞2021 とは? 冒頭800文字を競う破天荒な小説コンクールです。賞品は名誉とコロナビールのみ。パルプ小説を募集しているものの、そのジャンルは実際多岐にわたり様々な作品が連なる由緒あるコンテストになっています。 打ち上げ懇親会の内容 例年の開催の様子はこちらの記事に詳しいです。 メインコ

『発狂頭巾対からくり四十七士』

1「旦那ぁ、さすがにこの屋敷はおかしすぎますって。アッシはなんかいろんなところから見られているような気がして……」 「ハチよ、無駄口を叩くでない。一宿一飯の恩義ぞ」 固く雑巾を絞り、屋敷内に配置された墓石を磨く吉貝京四郎。 「ちげえねえ」 この「からくり忠臣蔵」と呼ばれる屋敷は投獄された稀代の発明家・平賀源内が手がかけたことで知られる遊戯施設だ。 邸内には赤穂浪士の機械仕掛け人形が四十七体設置されており、人々は吉良上野介に扮した衣装で出口を目指すと言うスリリングでリ

『垂乳根(タラ・チネ)』

戸塚区原宿、国道に挟まれた小さな森に有名な大木がある。"岩田家の垂乳根"と呼ばれる大銀杏だ。 その大銀杏の前に、紋付道着を襷掛け、後退した頭部に鉢を巻き、時代劇から抜け出してきたかのような姿をした男が陣取っていた。感染防止の不織布マスクをした男の口元は窺い知れないが、吊り上がったまなじりの角度が怒りのボルテージを示している。 「岩田さん……何をしてるんですか?」 「何って、決まってるじゃないですか! この木を切り倒されたら、私の奉公が終わってしまうんですよ!」 岩田と

『発狂頭巾対黄金魔人』(偽教授黄金杯 参加作品)

本作品は「偽教授黄金杯」へ参加した作品をNoteに移植したものです。ルビ等は取り除かれています。 【この物語は】江戸に出現した黄金魔神、偽金騒動、お金配り騒ぎ。それぞれの事件の快刀乱麻を吉貝京四郎が勘で断つ! 【登場人物】吉貝京四郎(発狂頭巾):長屋暮らしの浪人。身なりはよく金には困っていなそうだが、どことなく目線が奇妙である。悪を察知すると容体が急変して発狂頭巾として成敗に向かう。 ハチ:吉貝の長屋メイト。危うさに満ちた吉貝を放っておけず事件に巻き込まれること多数。 大

『S級パーティから追放された俺は覚醒スキル【すたみな太郎】で送別会を無双する。飽きたからって帰ろうとしてももう遅い。まだ110分残ってる。』(全セクション版)

※本作はフィクションです。実在する人物・飲食店・異世界等とは関係ありません。 本作は、カクヨムに投稿された作品を再掲載したものです。 【この物語は】S級パーティを円満追放されることになった俺は漂着神コラーボの導きによって、送別会を限定ダンジョン【すたみな太郎】で行うことになったが完全に油断していたS級パーティは10分で全滅。生き残っているのは追放された俺ひとり! 残り時間は110分。恐怖のダンジョンアタック、食うか食われるか。 ※本作はフィクションです。実在する人物・飲

『バンブーエルフとヌカハウスの賢者』(全セクション版)

本作は「6月13日はバンブーエルフ1stアニバーサリー」イベントの一環でカクヨムに掲載された作品を移植したものです。(バンブーは地下茎でつながり繁殖をする) 【この物語は】勇者一行に崖の下へ突き落とされた俺は彼らが探し求めていた謎の部族バンブーエルフの里に拾われる。鑑定スキルのおかげでバンブーエルフの里に迎え入れられた俺は長の娘・カグヤと婚約。傷がいえるまで里でゆっくり過ごそうとするのだが、そこへ勇者一行がたどりつく。 【登場人物】勇者グレイル:七王討伐を目指す冒険家。

カクヨムのなろう作品に学び、実践してみた

前回、こんな感じのカクヨム入門記事を投稿した。 カクヨム初心者として、一般的に「なろう」っぽい(異世界・転生・スキル・ざまあ)ジャンルへの入門をしたのだけれど、切り込み方が悪く、画一的な視点になっていたと思う。(本記事はその反省も兼ねています) 何を学んだのかカクヨム・なろう作品は、王道(スタンダード)に対する亜流(オルタナティブ)であり、主な創作の動機は、王道を大喜利にした小ボケの連打である。ゆえに同一設定の小手先をいじったような作品が連発される。 それでいて、大ヒット

『親切・オア・ダイ』第一章(全セクション版)

本作品は、カクヨムに掲載された『親切・オア・ダイ』の第一章を全掲載したものです。また逆噴射小説大賞2020に応募した『超高速《蜘蛛の糸》』と世界観を共有しています。(約8500文字。20分程度で読めます) 第1話「交通安全の注意喚起」 思えば俺はずっと走り続けていた。懸命に死神に追い付かれないように振り返らずひたすらに走り続ける。返り血を浴びたまま、このクソ寒い夜に汗水たらして逃げ回っているのも、その一環だ。このまま俺は走り続け、やがてモルモットのように死んでしまうのだろう

『狂気山部屋にて』

「発狂用意」行司の声がそのように聞こえた、と大関・群馬灘は語った。だが、それ以降の記憶が曖昧だという。 「初めは強く当たって――その後のことはよく覚えていません」 取組のVTRを見ると幕内最重量の巨漢大関が小兵・土根性(どこんじょう)に突き当たり、廻しを取った途端に膝をついて敗れている。決まり手は「腰砕け」とされ、幕内下位の土根性が八連勝で勝ち越しを決めた。 今大会の台風の目となった小兵・土根性。長年膠着した上位陣を切り崩す若手の台頭に相撲界が沸いたのも、わずか数日間だ