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3万年前も、2021年の今も - ubies Newsletter 庄野裕晃のコラム

アジアでの仕事が最初からすべてが上手くいくことなんて、ほとんどない。いくら現地の優れたクリエイターを起用するといっても、狙った成果が得られる保証はどこにもない。これは越境プロジェクトの現実だ。それでも、ubiesがこれまでやって来られたのは、一体なぜなのか考えてみた。

News Curationでも取り上げたが、その昔、危険を省みず、未知の島であった日本を目指し海を渡った人たちがいた。必要に迫られたわけでもないのに、彼らを突き動かしたのは "新しい世界を見てみたい" という好奇心だったと "3万年前の航海 徹底再現プロジェクト" を実現させた海部陽介教授(東京大学)は言う。

不必要なことに夢中になり、命をかける。言うなれば、かなり可笑しな人たち。新しいものに出会うことが喜びなのだから、自分と違う思考や価値観を持つ人を歓迎できるし、相手にも気持ちよく受け入れられるだろう。3万年前も、2021年の今も、こんな可笑しな人たちが様々な境界を越え、世界を、そして未来を切り開いていくのだ。

それは、ubiesの同志とも言えるアジアの仲間たちのことでもある。

"同じ釜の飯を食う" という日本ではお馴染みのことわざがあるが、欧米にはこれに類する言葉がないそうだ。それなのに、中国、韓国、インドネシア、タイにはあると聞く。やはりアジア人同士、とても近い感覚を持っていることの一つの証とも言え、実際に彼らと仕事をしていてもそのことは多分に感じられる。

世界人口の6割強を占めるアジアには、50に迫る国と地域があり、それぞれ異なる言語、文化、宗教を持ち価値観は多様だ。近いようで異なり、それでも根っこの部分で共感しあえる者同士だからこそ生み出せる新たな可能性と、それを共有できる仲間としての喜びがアジアにはある。

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冒頭で触れたように、アジアでの仕事が最初からすべてが上手くいくことなんて、ほとんどない。"儲かりそう" よりも "面白そう" に惹きつけられ、多少の失敗を痛みと思わず、試めすことを楽しみながら境界を越えていける人とでなければ、良い仕事をすることは難しい。

幸いにも、そんな越境者たちと数多く巡り会えたので、ubiesはやって来られたのだと思う。危険を省みずに海を渡り、まだ見ぬ日本列島を目指してしまうような越境者には、セレンディピティとも思える未知なる可能性が訪れ、この上ないロマンと幸せを獲得し、他者と共に喜び分かち合うことが出来る。

そんな素晴らしい体験が待っているのが、アジアでの仕事の醍醐味だ。いまこの文章を読んでくださっているあなたとも、その醍醐味を共有できる時が来ると信じて、共に新しい世界を探しに行くきっかけとなれるようなニュースレターをお届けしていきます。

📩  このコンテンツは、7月7日配信の ubies Newsletter vol.1 に掲載されたものです。

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