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「THE LAST」

昨夜(2023年4月26日)はMalcolm Mask McLarenの現体制最終公演「THE LAST」で新宿Blazeでした。まるで夢を見ているかのようで、一夜明けても現体制が終わった実感がありません。

当日のウェルカムボード

「規制解除」のサブタイトルの通り、フロアルールは特にありませんでした。ステージとフロアの隙間にはダイバーキャッチがいて、SEから高いリフトとサーフが現れ、フロア前方は圧縮の繰り返し。瞬時にコロナ禍前のフロアを思い出しました。こうなると歌を聴くという感じではなくなりますが、このライブにかける熱い思いを会場全体から肌で感じ取ることができました。

OSSからの献花

スキルの伸びという意味で、りまさんには最後まで驚かされっぱなしでした。フロアがわちゃわちゃしていたにも関わらずどこか冷静で、エモい場面では歌声にしっかりと感情を乗せ、しかもその直後の笑顔との切り替えも感心するほどスムーズでした。ダンスのキレも増していたと思います。
未経験から1年強でこのレベルに達しているので、彼女には無限のポテンシャルを感じます。しかし、もしかしたら彼女の歌はもう二度と聴けないのかもしれません。再び彼女がステージに立つ機会があれば、どこかで観に行きたいと考えています。

時々ですが、えなさんは赤ちゃんのような顔をします。昨夜も「The idiot’s song」で、背後からダイバーキャッチの頭に本人に気づかれないように指で猫耳を作ってバブバブと笑っていました。
煽りも良かったです。前任のももさんはフロアを鼓舞しコントロールするような煽りでしたが、後任のえなさんはグループのストーリーを言葉に乗せてフロアの感情を巻き込むのが上手でした。試行錯誤の末にそこに辿り着いたようです。昨夜も気持ちがグッと引き込まれるようで、とても良かったです。

当日のセトリ
(渥美かなさんのTwitterより)

私が通い出した頃には既に、かなさんはマルコムの象徴でした。精神面でもパフォーマンス面でも先頭に立ってグループを率いていました。
エンタメ業界全体の受難、人気メンバーの卒業、二度にわたる個人での賞レース…。困難な状況に果敢に立ち向かいながらも幾度となく壁にはじかれ、「それでも」と笑顔を見せて立ち上がる姿がマルコムのイージーコアな楽曲と重なって見えました。そこがコロナ禍においても多くの熱心なファンの心を惹きつけて離さない独特の魅力につながっていたのだと考えています。
フロアに酸いも甘いも知る年齢のおじさんが多いのも、かなパートになると毎回かな推しが大波のように押し寄せて来るのも、マルコムがマルコムの楽しさを保ったままで昨夜まで存在していたのも、全部かなさんの功績です。

そのかなさんですが、昨夜は「Casablanca」の歌が素敵でした。その昔、サキドルのLINE LIVEで話していましたが、かなさんにはもう出せない音があるそうです。しかし、彼女の掠れた高音さえも一つの音楽的表現であるかのような、感傷的で素敵な歌声を昨夜は聴かせてくれました。混沌としたフロアにあって、この楽曲が再生されている間だけは誰もが彼女の歌声が放つ優しい光に聴き入っていたように見えました。

優先チケット特典の集合チェキ

プロデューサーがバラードを嫌っているみたいなので、マルコムにバラードはありません。
ただ、ミディアムテンポの楽曲が時にバラードに近い役割を果たすことがあります。昨夜はラストの「myself」がそうでした。
この曲にエモ味を感じたのは初めてで、その意味で特別な「myself」でした。その主な理由は、いつもは笑顔でこの曲を実演する詩乃ちゃんがぐちゃぐちゃに泣きながら、見知った顔を必死に探してレスを送っていたからです。この先、昨夜の「THE LAST」のことを振り返る度に、梅干しのような泣き顔で丁寧にファンを指さしていた詩乃ちゃんのことを思い出すことでしょう。

オタクを増やすにはどうしたらいいのか?

アイドル側がTwitterでこう問いかけているのをたまに見かけます。
身も蓋もない私見を述べると、タイミングが全てだと思います。つまり、オタク側の受け入れ態勢が整っている時に上手くその人の関心を掴めるかどうか。
仕事、家庭、金銭、時間に少し余裕があって、心に自分独りでは決して埋められない隙間が空いている時に、人は推しメンを求め・推しメンに出会うのだと思います。
だから、固定ファンを増やすためにアイドルにできることは、自分の強みを磨きながら露出のチャンスをいくつも作り、そして結局は、誰かの胸に刺さる素敵な楽曲をもらって誠実にステージに立ち続けるしかない…。そう言えるのかもしれません。

伊藤詩乃さん

私が推しメンの詩乃ちゃんに出会ったのは2020年8月10日の新木場のギュウ農でした。それが偶然だったのか必然だったのかは分かりませんが、ライブ後にふらりと立ち寄った特典会で彼女の意外にハスキーな声を聞いて、直観的に“この子のアイドル人生を最後まで見届けよう”と思いました。
たぶん、私自身が推しメンを必要としているタイミングだったのだと思います。

あれから昨日で2年8ヶ月と16日が経ちました。参加したライブは160本を数えます。特典会に行っても音楽の話はあまりせずに世間話をするのみで、険悪にもベタベタにもならない凪のような関係でしたが、ここまで併走できたのは間違いなく彼女に強い魅力があったからです。
まばゆいほどの才能をいくつも持ち、何事に対してもいつも一生懸命で、時に羨ましいほどあっさりした性格の持ち主。

個人的に、通っていたアイドルグループの解散もしくは全員卒業に立ち会うのは今回で3回目(CY8ER、WILL-O’、そしてMalcolm Mask McLaren)となります。
しかし、100回以上ライブを見たグループが解散状態になるのはマルコムが初めて。おそらく寂しさが襲ってくるのはこれからだと思いますが、今は詩乃ちゃんと出会ったあの日の決意の通りに、彼女が美しく卒業する姿を見届けることができたのでとても満足しています。
推しメンの最後の時間に寄り添い、卒業を見届けるのは、オタクの大切な矜持だと思っているので。

最後にマルコムの楽曲について一言。現体制の最高傑作は最新シングルの「Snowflake」だと思います。清涼感があってフックの強いイントロも、4人の個性を活かした歌割りも素敵でとても良くできています。
でも最も好きな曲は詩乃ちゃんが作曲した「手紙」でした。イントロの跳ねるようなピアノの音と、その直後の語り掛けるような詩乃ちゃんの歌い出しが素晴らしいです。推しフィルター抜きでいい曲だと思っています。


【2023年5月1日追記】
グループの公式Twitterから各メンバーの今後についてが発表されました。
渥美かなさん、松田えなさんは所属事務所に残り、しばらく休養。同じく伊藤詩乃さんも事務所に残り、そのままタレント活動を行うようです。
なお、美野部りまさんは事務所を退所するとのことでした。彼女のSNSアカウントは全て終了となるようです。

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