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盗撮された話。

事件。

大学生(20)の頃の話。

私は,脱衣所で鼻歌を歌いながら,髪を乾かしていた。
なんとなく窓を見ると閉めたはずなのに開いている。

何かレンズのような光が見えた。
恐るおそる窓に近づくと,カメラを向けている男と目があった。

数秒して,状況が飲み込めないまま叫んだ。
「キャーーーーーーー!!」
自分でもびっくりするくらい叫んだ。
カメラを向けていた男は跳ね上がり,暗闇に消えていった。

そのあとのことはよく覚えていない。
ただ,犯人の向けるiphoneのレンズが頭にこびりついてよく眠れなかった。

次の日,警察に通報した

「恨みを買った覚えはないですか?」
「元カレとか心当たりないですか?」
事件の状況を話し,質問される。そんなものはない。
得体の知れない犯人が,とにかく怖かった。

近所付き合いは良好だったが,人間不信になった。
笑顔が怖い。話しかけないで欲しい。
全員が犯人に見える。
どこにいても誰かに見られている気がして,家から出れなくなった。
バイトも大学も休んだ。
静かな部屋でうずくまって,物音が立つたびにビクビクしていた。
これから先どうしたら良いのか分からなかった。

どうやって立ち直ったか

このままでは病んでしまうと思い,実家を離れることにした。
大学の友達とルームシェアをすることにした。
「○○が一番安心できる環境に身を置いて欲しい。」
両親も友達も快く受け入れてくれた。
犯人のいる地域から離れられることになり,少し気持ちが軽くなった。

事件の捉え方も変わっていった。
はじめは,起こってもない不安で身体が蝕まれていた。
ネットに晒されているかもしれない。逆恨みされて刺されるかもしれない。
犯人と遭遇したらどうしよう。etc…。

そして,ふと我に返る。
「なんで犯人のために時間使ってんだろ。」
バイトも学校も休んで,やりたい事を出来ていない自分に気づいた。

必要な対策はするべきだけど,自分にできることは限られている。
盗撮魔なんてアホみたいな奴のために使う時間も気持ちも勿体ない。
自分のやりたいことに時間を使おうと思った。

そこからの回復は早かった。友達と一緒に外に出れるようになり実家でも普通に生活できるようになっていった。

この件を通して

支えてくれる人や周りに頼れる人がいて良かった。あのまま自分を追い詰めていたら本当にどうしようもなくなっていた。
立ち直るのに数ヶ月かかったけども。今もたまに思い出しちゃうけども。

一生犯人を許す気はない。
被害者にも非があるなんていう奴がいるけど,
犯人が100%悪いに決まってる。


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