朗読会で感じた二つの可能性

先週2022年7月2日、推しの吉宮瑠織がビーフェクトと言う事務所に所属となったことが発表された!決まっているだろうとは思っていたが待ち望んでいた発表があり、嬉しさと安堵でいっぱいだ。それを記念して、と言う訳ではないが吉宮瑠織が出演した「キミに贈る朗読会」という朗読会で感じたことをまとめておこうと思う。開催されたのは2022年6月4日と5日の2日間。オンラインで2公演、現地で1公演参加してきた。想像以上に素晴らしい朗読会だった。

ストーリー

朗読の題材となっているのは「無人駅で君を待っている」小説だ。オムニバス形式で全5話で構成される小説だ。まだ原作は未読なのだが、朗読会で読まれたのはそのうちの1話と5話らしい。朗読会のポスターには以下のように書かれている。

浜名湖を臨む静かな無人駅。そこにあるベンチには、不思議な伝説があった。
「会いたい…」オレンジ色の夕焼けの中、ベンチに座り、強く願えば、やさしい奇跡が訪れて…。
切なくも温かい「再会」の物語。

ストーリーはとても分かりやすい王道の感動ものだ。気を衒うようなことはなく、とても素直なストーリーでとても入り込みやすい。朗読会というフォーマットにこの分かりやすいストーリーの小説はとても相性が良かったと思う。

朗読会と言う表現の可能性

朗読会自体は観劇をするのは私自身2回目となる。朗読会と言っても色々とあるようで、前回は壮大な音楽と派手な演出、作りこまれた衣装で、大規模な予算をかけた朗読会だった。演技以外の情報量が多く、役者が動かない舞台といった感じだ。一方で今回は小さな会場で、言ってしまえば低予算の朗読会。派手な演出はない。衣装は上下白で統一され、演技以外の情報は基本的にない。世界観のほとんどは役者の声と表情に限定された演技で作り上げられ、僅かな照明と効果音はその補助にすぎない。言わば引き算の演出で役者の演技を最大限に活かす演出になっていた。

小さな会場を役者の演技が別世界へと変えていく。最小限の演出ゆえに、観客の想像力が掻き立てられる。女性が男性を演じようと、人が猫を演じようと、何ら違和感がない。むしろ幻想的な世界観を作り上げ、クライマックスに訪れるであろう奇跡を期待させてくれるものとなる。

役者の演技力がなければ実現できないことだが、演技力によって無限に広がり、何よりも壮大な演出となる。自分が読むだけでは得られない感動があり、小説とはまた一味違う読書の楽しみがそこにあった。朗読会と言うエンターテイメントであり芸術に、表現としての可能性を感じずにいられなかった。

吉宮瑠織の可能性

推しの吉宮瑠織は一話目の主人公を演じた。ごく普通の女子高生だが、物語の中で親友との別れを経験し、精神的に大きく成長する役柄だ。

正直なところ、私は反省した。彼女は演技ができる人だとは思っていたが、最小限の演出だった朗読会でここまで感動させられるとは思っていなかったからだ。自分は推しているだけに過大評価気味なのではないかと思っていたが、それ自体が過小評価だった。

母親との関係や親友の変化に悩み戸惑う姿から始まった。序盤の感情の動きは静かであったが、物語が展開していくにつれ徐々に感情が昂ぶっていく。だんだんと役が乗り移り、クライマックスとなる親友との別れのシーンでは役そのものとなり、涙を誘う。その後、シーンは急に変化し、日常へと戻るのだが、精神的に成長した主人公を爽やかに演じきった。一話目が終わり無音となった会場には、観客のすすり泣く音だけがしていた。

役者の素晴らしい演技で会場が感動で満ちていた。その素晴らしい演技をする役者の中に主人公を演じた吉宮瑠織がいた。おそらく経験も実績も上回る実力のある役者たちと見事に渡り合い、素晴らしい朗読会の実現に貢献していた。声も表情も会心の演技だった。

それでも、まだまだ伸びしろがあるように感じた。それはこの朗読会での演技が、今まで見た演技の中で一番良かったからだろう。彼女は見る度にその演技力が豊かになっていく。「今まで見た演技の中で一番良かった」を更新し続けてくれることに、これから声優、舞台俳優として成長していく未来が垣間見える。朗読会の感動とは別に、吉宮瑠織の可能性にも衝撃を受けた時間となった。

この記事を書いている時点では、次の舞台はギミトリックバードだ。今まで出演してきた舞台とは系統が違いそうで、こちらも心底楽しみにしている。そこでも新たな一面を見せてくれることに期待している。

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