ミュージカル刀剣乱舞歌合乱舞狂乱2019のネタバレ感想〜にっかり青江推しの呻き風味 各種出典を添えて〜

観劇情報

ミュージカル刀剣乱舞 歌合乱舞狂乱2019

https://musical-toukenranbu.jp/pages/utaawase_ranbukyouran

日時:2020年1月4日(土)夜@埼玉公演
   2020年1月5日(日)昼@埼玉公演
   2020年1月23日(木)夜@東京公演ライブビューイング

会場

さいたまスーパーアリーナ!
1/4は200レベル。メインステージとサブステージの間くらい。通路。
1/5はアリーナ。サブステージのすぐ左横。通路。

さいたまスーパーアリーナは、2017年の真剣乱舞祭でも行きました。最推しのにっかり青江が百物語をし、仲間の手を取って光の中へ帰ってゆくのを目の当たりにして、華厳の滝のような莫大な感情に打たれ、マグカップ程度のキャパしかない心が爆発して痙攣しながら泣いてしまい、嗚咽を殺すために首から下げた青江タオルを口に突っ込んで震えている間に魂を落としてしまった因縁の場所。二年越しの魂の回収なるか。

背景知識

なくても楽しい。
【過去作品】
これといってなし。ゲーム刀剣乱舞をプレイしたことがあれば十分かと。
【古典】
古事記
事前に公開された動画(https://twitter.com/musical_touken/status/1196639476363100161?s=21)に関連。古事記に出てくる神の名前が並べられている。
古今和歌集
メインビジュアルに記された和歌「やまとうたは ひとのこころを たねとして よろずのことのは とぞなれりける」の出典が古今和歌集の仮名序。(参考:くずし字を知らない筆者が歌合メインビジュアルの和歌を必死で解読した話 https://pinnni.hatenablog.com/entry/2019/08/25/180823
他、作中の和歌の出典。
雨月物語
【芸能】
江戸落語と上方落語

※私にわかったのはこのくらい。他にもあるかも。

出典一覧

使われた和歌や物語の出典。筆者調べ。間違いがあるかもしれません。

メインビジュアル
やまとうたは ひとのこころを たねとして よろずのことのは とぞなれりける
古今和歌集 仮名序/紀貫之
平安時代前期

和歌は、人の心をもとにして、多くの言葉が生まれる(ことでできる)。

石切丸の御百度参り
天地(あめつち)の神を祈りてわが恋ふる君いかならず逢はざらめやも
万葉集 巻第十三 三二八七
奈良時代末期

天地の 神々に祈って 私が恋い慕う 君は必ず 逢ってくださるだろう:小島憲之, 木下正俊, 東野治之. 萬葉集③, 2002, 小学館.
※「神を祈りて」の「を」は「に」の意。
※「君いかならず」の「い」は「君」を強める助詞。「君/い/必ず」と解す。「君/いか/ならず」ではない。

蜻蛉切の金平糖
世の中は夢かうつつかうつつとも夢とも知らずありてなければ
古今和歌集 巻第十八 九四二

世の中は夢だろうか現実だろうか、夢とも現実ともわからない、(世の中は)あってないものだから。

青江の物語り
夏虫の身をいたづらになすこともひとつ思ひによりてなりけり
古今和歌集 巻第十一 恋歌一 五四四

夏虫が火に飛び込んで儚く死ぬのも、(私と同じく)ただ「思ひ」の「火」によってなのだ。

青江の話
「菊花の約(ちぎり)」
江戸時代後期『雨月物語』(上田秋成)に収録。中国の古典『古今小説』をもとにした一編。
参考: https://www.nikkansan.net/feature/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e5%a4%8f%e3%81%ae%e9%a2%a8%e7%89%a9%e8%a9%a9-%e5%8f%a4%e5%85%b8%e6%80%aa%e8%ab%87%e3%81%a8-%e5%b9%bd%e9%9c%8a%e7%94%bb/

明石と梅の花
梅の花折りてかざせる諸人は今日の間は楽しくあるべし
万葉集 巻五 八三二

梅の花を折りかざして遊ぶ人々は今日一日が楽しいことでしょう。
現代語訳: http://manyou.plabot.michikusa.jp/manyousyu5_832.html

明石の噺
元ネタがありそうなんだけど、調べがつかない。
「梅の枝を折る 落語」とかのGoogle検索サジェストがすごい。審神者たちも気になっている。

和泉守・蜂須賀・青江の湯上がり談議
ぬばたまのわが黒髪に降りなづむ天の露霜取れば消(け)につつ
万葉集 巻七 一一一六/作者不明

私の黒髪に降る空からの露霜は、手に取るとすぐに消えてしまうことだなあ。

小狐丸ともう一人の小狐丸
ふたつなきものと思ひしを水底に山の端ならでいづる月影
古今和歌集 巻十七 八八一

二つはないものと思っていたのに、水底に、山の端でもないのに現われた月の姿よ。

場面の感想

石切丸と御百度参り
石切丸の碁石の音!! それは参道を歩く音じゃん! とすぐに気がついてしまった。石切劔箭神社には3回ほど行ったことがある。

鶴丸「これだから三条の連中は」
私「やめろ(そういう言い回し、大好きです)」

鶴丸、小狐丸、石切丸が囲碁してるの見て脳がバグる うちの旧一軍でっかいトリオだ……!!

「たまには私も、祈る側に回ろうかな」ハァ〜〜??(床に頭を打ち付けて悶える絵文字)(いつも皆の祈りを聞く側であることを当然とする御神刀attitude、そういうところですよ)(好き)
石切丸が神に祈ってどうなるのか、石切丸は人の願いを神と共に聴き続けて何とするのか? それは人が神に祈るように、なんだかわからないがやっているだけ? それが神道の本質(謎の畏敬)だから? 石切丸にとって祈りとは何なの??

あと石切丸は鶴丸との囲碁の勝敗をお預けにしましたよね。石切丸はいつでも、勝敗を決しないのですよ。真剣乱舞祭2017でも、「百物語は百やらなくてもよい」と言ってにっかり青江を止めました。真剣乱舞祭2018では、行司の巴型薙刀に「心が決まったら、一番に私に言うんだよ」と言いました。そういう〜!! ところです!!!

青江の物語り
出典の「菊花の約」は池澤夏樹編集の「日本文学全集11」に円城塔の訳で経済あり。序文を引用する。
『青々とした春の柳は庭に植えるものではなく、軽薄な者と交流を持つものではない。柳はひととき美しくとも、秋風にすぐ葉を散らしてしまい、軽薄な者は寄るのが早くとも離れるのも早い。柳は春が巡ればまた葉をつけて目を楽しませるが、軽薄な者はそれきりである。』
※池澤夏樹=個人編集 日本文学全集11 好色一代男 雨月物語 通言総籬 春色梅児誉美 島田雅彦、円城塔、いとうせいこう、島本理生 2015,株式会社河出書房新社.

柳!!!!

円城塔訳の「菊花の約」(『雨月物語』)で号泣した。にっかり青江が「幽霊は思いが凝った存在だ」と言いました。左門の前に現れた宗右衛門が宗右衛門の形をしていたのはそれだけ思いが強かったからだ……。

2回目の観劇で、小ステージに席が近すぎて青江の肉声が聞こえた。マイクを通す前のやつ。脳がパンクした。でもできるだけ聞き取るようにしました。

以下何となく覚えていること。
「軽薄な人と付き合うのはやめたほうがいい」で終わる教訓話があった。それには同意するけれど、羨ましくもある。僕は、鍔迫り合いや刃こぼれさせる興奮は知っていても、その結果、斬ることしかない。交わることは知らないから。
人魂は純粋なもの。幽霊は怨念が凝って形を持ったもの。人魂はまだ女を知らない青年のよう。

青江は最後に「夏虫の身をいたづらになすこともひとつ思ひによりてなりけり」と詠んで、「僕もそう思うよ」と言う。
青江、「刀である自分は、他者に触れれば傷つけてしまう。人のように、他者と交わる感覚を知らない」のようなことを言った。でも、想いにより身を滅ぼすもの(夏虫、あるいは宗右衛門)を「僕もそう思うよ」と肯定する。
青江は人を否定することはない。蜻蛉切が「金平糖!」と言っても「さすがの決断だ」(うろ覚えです)と言い、和泉守が「胡麻油を髪に塗った」と言えば「勇気を讃えるよ」と言う。でも、必ずしも「僕もそう思う」と同意するわけではない。
それを!! 「想いにより身を滅ぼす」存在のことを、「君はそう思うんだね」ではなく「僕『も』そう思う」と言う!!!

にっかり青江自身は、女幽霊と共にあります。幽霊は魂が「こうありたかった」という姿になったもの。けれども、自らを(人でも神でもなく)刀と見なす気持ちが強いように見える青江は、自分の熱情を信じているようには見えない。刀として斬り結ぶ、敵を倒す、それだけを知っているように話す。
それでいて、死んだ者の思いまでもを肯定する。人らしい激情に憧れてすらいるかのように。(この辺は妄想です)

円城塔の訳による「菊花の約」は「軽薄な者と付き合って何になるだろう」という結び、
にっかり青江は、軽薄でない者(思いの強い幽霊)と共にある。そして「ひとつ思ひによりてなりけり」を肯定する……おま……江……(灰になる)

あんなにも自らを「刀」とばかり思っている、それを誇っているにっかり青江が、他者の感情に寄り添い優しいのは、自分が「感情」の塊(姿をもつまでになった死者の想い=幽霊)と共にあるから?
その幽霊がいるからこそ、自分が自分であるから??
おま おま江

1. にっかり青江は「交わることを知らない」
2. 幽霊は人間の強い思いの現れ
3. にっかり青江は幽霊を斬った=にっかり青江は幽霊(強い思い)と溶け合わなかった(交わらなかった)
4. にっかり青江は幽霊(強い思い)と共にある
5. にっかり青江は人の感情を解さないが、人の感情に寄り添える(寄り添う業のもとにある)

無理 はい無理 ありがとうございます この脚本を書かれた方に何らかの形で報いたいです
あと真剣乱舞祭2017でもそうだったけど、暗闇ににっかり青江をひとりにして白い光を浴びせかけるの本当に最高だから 最高すぎる ありがとうございました 100万回のありがとうを君に

和泉守・蜂須賀・青江の湯上がり談議
椿油買いました(食い気味)
毎日ヘアケアが楽しくて仕方ないです!
お風呂あがりに3滴取って髪に伸ばしてドライヤー。
朝は1滴取ってなじませて。
それだけで、悩んでいた切れ毛も枝毛もなくなって、しばらく失せていたキューティクルが復活して天使の輪が三重に出ています。ありがとうミュージカル刀剣乱舞歌合乱舞狂乱2019。

小狐丸ともう一人の小狐丸
面の小狐丸は岩崎さんだろうか……?
代役が立った小狐丸に、ああいう演出を用意してくれたこと、深く感謝します。「私は私 あなたも私」って歌詞、「小狐丸」という(大きな)存在が、北園狐と岩崎狐を許しているように感じました。現実を許すもへったくれもないんだけど、何か人智を超えた神々しいものを感じたの。良いものを見せてもらいました。

ライブ/歌パート
金平糖の歌。一回目の「星のような〜」(うろ覚え)で、にっかり青江がバレリーナみたいに優雅に身体を伸ばすんですよ! あれ缶バッジにして!! ネタバレ禁止令のためか誰が描いているのも見なかったので歯を食いしばって3Dモデリングアプリを入れたりアイビスペイントを起動して描こうとしたりした。
ライビュでは映らなかったので絶対に全景を見てください。

どっかのライブパートでで石切丸の喉仏を視認した。ああ、トライアル公演の時から、プレミアムライブのお見送りの時からずっと、この石切丸のことが好きだったと思い出した。ありがとうございました。

「獣」で石切丸が口で手袋脱いだの見ました? 歯を立てる前の顔を見て「あ、この石切丸には殺されるな」とわかりました。そしてしんだ。大太刀の暴力。

新刀剣男士顕現
新刀剣男士顕現後の「あなめでたやめでたや」でまず降りてくるのがにっかり青江で感極まってますます号泣してします。めでたい

埼玉公演では顕現するのが桑名江でしたが、ライビュでは松井江になっていました。
Twitterの様子から、愛知公演で何かが起こっているのは察していて、新作公演でハテナになってるのが一振りとは限らない、もしかして松井かなあ、とは思っていたので、あの水色のリボンが見えた時に「あぁ……っ! 本当に来ちまった……!」と思ったのでした。

しかし、恋をしてしまったね。松井に。
あの儚げですきっとしたお顔立ち、穏やかなお話ぶり、上品な身振り、フリフリとかリボンとかの付いたお召し物、すべて好きだね……。
ゲームでそんな気はしていたけど、落ちてしまったね。恋にね。
豊前江、好き、桑名江、とても良いし個人的に深く感謝している、篭手切江、今回でますます好きになった、松井江、恋。葵咲本紀の先輩も好きだよ。ああ、忙しい……。GOの里、忙しい……めでたい……!

全体の感想

歌合乱舞狂乱2019、とても楽しかったです。私はめでたいものが好き。好きにならないわけがない。ああ、楽しかった。おかげさまでたまアリに落としてた魂も回収できました。めでたくて。

ありがとうございました!
円盤とか写真集も楽しみ!(気が早い)

ごきげんオタクライフに使わせていただきます🌱